エピソード1 タタル渓谷からバチカル
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8話 突きつけられた疑惑
次の日フーブラス川に到着した。
「ここを越えればキムラスカ領なんだよな…」
ルークが川を見下ろして言う。
「カイツールのあたりは非武装地域だからオラクルも手は出せないだろうな」
ニッドが言うとルークは盛大なため息をついた。
「早く帰りてぇ…もう色んなことがめんどくせー」
「ご主人様、頑張るですの!」
「おめーはうぜーっからしゃべんなつーの!」
ルークがミュウをいじめ始める。
ティアがルークを止める。
「八つ当たりはやめて、ミュウがかわいそうよ」
「そうだ、ミュウに八つ当たりしても状況は何も変わらない」
「ちっ、偉そうに説教すんなよ…」
ニッドに注意されたルークは舌打ちする。
「面倒ごとに巻き込んですみません…」
イオンが謝って、ようやくルークはミュウを放した。
『一体どんな育て方をしたらこうなるんだ…』
周りに聞こえない声でノルンが呟く。
「ルークのわがままも終わったようなので行きましょう」
ジェイドが先に歩き出す。
「わがままってなんだよ!」
ルークは不満げに叫ぶが、誰もそれに構わずに川を渡っていく。
渡りきった先で、何かが飛び出して来て彼らの頭上を通過する。
『ライガだ!』
ノルンの鋭い声に全員が武器に手をかける。目の前に着地したライガに前方を塞がれる。
「後ろからも誰か来ます」
ジェイドが槍を出しニッドは後方を振り返る。女の子が歩いてきた。
「あれは妖獣のアリエッタか!」
ニッドはノルンを構える。
「アリエッタ!」
イオンが声を上げる。
「見逃してください!あなたならわかってくれますよね?戦争をおこしてはいけないことを」
「イオン様の言うこと、アリエッタは聞いてあげたい…です。でもその人はアリエッタの敵!」
アリエッタはニッドを指す。
「は?なんだって?」
ニッドは面食らったように驚く。
「アリエッタ!彼もみんなも悪い人ではないんです」
「ううん…悪い人です。だって、その人…アリエッタのママを殺したもん!」
「!?」
『待て!ライガの娘!』
「あなたは…」
アリエッタは激しく光る譜銃剣を見る。
『それはおかしい、わたしはライガクイーンと話し合い、お互いに理解した。戦闘にもなっていないぞ!』
「だって、ママ死んじゃったもん!この子たたちがあなたがやったって言ってた!」
ライガも肯定するように咆哮する。
「何言ってんだ?ライガが親??」
ルークは首を傾げている。
「彼女はホド戦争で両親を失ってライガに育てられたと聞いています……」
「じゃあ、あのライガが…!」
「それがアリエッタのママ!アリエッタはあなたを許しません…リグレットたちに止められても地の果てまであなたを追いかけて殺します」
「俺が殺した…?」
ニッドはあまりのことに呆然とする。
突然、地震が起こった。今のでニッドも我に帰る。地面から毒々しい煙が吹き出す。
『瘴気だ、早く避難しろ!』
ノルンが叫ぶ。
「きゃっ…」
アリエッタが倒れる。ニッドがアリエッタを振り返り、彼女に向かって歩き出す。
「ニッド」
『何をしている!』
ジェイドが呼び、ノルンが怒って叫ぶ。
「このままにはしておけないだろ!」
ニッドはアリエッタを抱えてみんなと同じ方へ戻る。だが、瘴気に囲まれて逃げ場を失う。
ティアが歌を歌い出す。ニッドはこの旋律を知っている。
「(これは!姉さんの譜歌…何故ティアが…まさか…!いや、今はそれより…)」
地震で吹き出した瘴気が消滅した。
「ユリアの譜歌で瘴気と同じ固定振動を当てて消滅させたのか」
ニッドは驚きながらも言った。
「その通りです。でも一時的な防御策なので、長くは持たないわ」
ティアの譜歌にはニッドもジェイドも興味はあったが、とにかく今はその場から離れることにした。
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