エピソード1 タタル渓谷からバチカル
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全員がいなくなったのを確認してようやく街に入る。
「そういや、あつらの言ってた死竜ってなんだ?」
ルークが振り返って聞いた。
「おいおい、目の前にいるのに知らないってか?」
ガイが驚きながら言うがルークはわかっていない。
「それはニッドの通り名ですよ」
ジェイドがそう言った。
「死霊使いと並ぶマルクトの強大な将校よ」
ティアが付け加える。
「そういうことだ。ところでさっきの六神将、1人足りなかったな」
これ以上詮索されないようにとニッドは話題を切り替える。
「【 黒獅子ラルゴ】に【死神ディスト】だろ、【烈風のシンク】、【妖獣のアリエッタ】、【魔弾のリグレット】…いなかったのは【鮮血のアッシュ】だけだな」
ガイは指を折って数える。
『ほう、詳しいんだな』
ノルンの関心したような言葉にガイは肩をすくめる。
「彼らはヴァン直属の部下よ」
ティアが言った。
「なら、戦争を起こそうとしているのはヴァン謡将なのか…いや、この話は今はどう…」
腕を組んで言うニッドにヴァンの名前を聞いたとルークは顔を上げ、言葉を重ねてきた。
「ちょ、ちょっと待てよ!」
「そうだとしても、六神将は大詠師派です。モースがヴァンに命じているのでしょう」
イオンの言った言葉に異議を唱えたのはティアだった。
「大詠師閣下がそんなことをなさるはずがありません!」
「ヴァン師匠だって戦争を起こそうなんて考えるはずがないだろ!」
「兄ならやりかねないわ」
「なんだと!」
「ルーク、ティア。今は誰が戦争を起こそうとしてるかはどうでもいいだろ」
「2人とも落ち着いてください」
ニッドとイオンが止めに入る。それにガイも頷く。
「そうだぜ。今はモースもヴァン謡将もどうでもいい。六神将の目をかいくぐって戦争を食い止めるのかが一番重要だろう」
「そうね、ごめんなさい」
ティアは撤回はしなかったが小さく謝った。
「師匠を悪く言う奴は認めねぇ」
聞こえるようにルークは言った。
「終わったようですね。それでは基地へ行きましょうかニッド」
「アンタ、いい性格してんなぁ」
ガイが呆れたように言い、ニッドは苦笑する。
「それじゃ、行ってくる」
ニッドが歩き出す。
「俺も行くよ」
ルークの申し出にジェイドが首を振る。
「いえ、今回は極秘任務ですからあなた方を連れて行くと説明が面倒です」
「オラクルは撤退したけど、あまりふらふらしないように」
「なんで2人とも俺を見て言うんだよ」
ルークは不満げだが、そう言い残して2人は基地へ入っていった。
基地のマクガヴァン元帥とその息子であるグレン・マグガヴァンに挨拶し、導師守護役であるアニスからの手紙を確認してルークたちのところへ戻る。
ジェイドは手紙をルークに渡す。
「半分は貴方宛のようですよ」
「アニスの手紙だろ、イオンならともかく、何で俺宛なんだよ」
「まあまあ、読めばわかるって」
ニッドに促され、ルークは渡された手紙を読む。そして読み終えると白目を向いて「目が滑る」と一言。
「第2地点というのは?」
ティアが聞いた。
「カイツールのことだ。ここから…南西にあるフーブラス川を越えた先だな」
とニッドが説明する。
「カイツールか、ひょっとしたらヴァン謡将と合流できるかもしれないな」
ガイの言うことにティアが「兄さん…」と反応する、彼は慌てて言った。
「おっと!何があったか知らないがヴァン謡将とは兄妹なんだろ?バチカルの時みたいにいきなり斬り合うのは勘弁してくれよ?」
「わかってるわ…」
「じゃあカイツールに向かおう。アクゼリュスの南の橋は落ちて通れないからフーブラス川を越えるしかないな…」
ニッドが腕を組んで言った。
「そうですね、アクゼリュスの西の谷なら今の季節、水流も穏やかで水嵩も高くありません」
ジェイドも頷く。
「じゃあその道で行こう」
「ええ…」
ガイもティアも納得する。ノルンが口を開いた。
『待て、イオンの顔色が悪い。休ませたほうがよくないか』
「ん?ほんとだ顔色悪いな。おい、宿に行こうぜ」
ルークがイオンを見て頷き、イオンは「すみません…」と謝る。
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