エピソード1 タタル渓谷からバチカル
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左舷昇降口まできたルークたち。
ティアはふと振り返った。
どこかからか聞いたことのある歌が聞こえる。
「あれは…譜歌…?一体誰が…?」
左舷昇降口がついに開く、その音でティアは前を向き身構えた。
******
譜歌を歌い、襲ってきたオラクル兵を眠らせた。
「片付いた、よし!」
眠っているオラクル兵を避けながら左舷昇降口へと走った。
左舷昇降口前ではすでに緊迫した状態が続いていた。ジェイドたちが六神将の1人とオラクル兵を抑えている。
昇降口のすぐ前に居るティアの様子がおかしい、背後からライガが迫っている。
「ティア!危ない!」
ニッドは間一髪でティアを抱いて飛び、地面に着地する。
「え、あ、ありがとうございます…!」
驚きながらもティアは礼を言い、構え直すが妖獣のアリエッタが来たことにより形成逆転してしまった。
「魔弾のリグレットに妖獣のアリエッタですか。六神将が2人とは困りましたねぇ」
ジェイドが呟くのが聞こえた。
「アリエッタ、タルタロスはどうなったの?」
「制御不能のまま…このコが隔壁を引き裂いてくれて…ここまれで来れた…」
「よくやったわ。さあ彼らを拘束して…特に死竜は丁重にー」
上空から何者かが降りてくるのが目の端に映る。リグレットも気づいたが、その何者かに弾き飛ばされた。その間にニッドはイオンを奪還、ジェイドはアリエッタを押える。
そして、再び形成逆転。
「…さあ、もう一度。武器を捨ててタルタロスの中に戻ってもらいましょうか」
リグレットは一瞬迷いつつもタルタロスに乗艦。
「次は貴方です、魔物を連れてタルタロスの中へ」
ジェイドは槍をアリエッタに突きつけたまま後ろへ下がる。アリエッタはイオンを見る。
「イオン様…あの…あの…」
「アリエッタ、言うことを聞いてください…」
アリエッタは泣きそうになりながらタルタロスへの階段を上がっていく、そのあとに他の兵士たちも続く。
完全に乗艦したのを見送って、ニッドはパネルを操作して階段を上げて隔壁を閉じた。
「ガイ!よく来てくれたな!」
「やー、探したぜ。こんなとこにいやがるとはなー」
ルークの嬉しい気持ちが伝わってくる。
ニッドはジェイドの隣に戻ってくる。
「お友達ですか?」
ジェイドが聞いた。
「ルークの家の使用人だよ。そういうあんたらは?」
「ご覧の通り、マルクト帝国の軍人ですよ」
「右に同じ」
ニッドも軽く手を上げて答えた。
ジェイドはイオンのほうを振り返る。
「ところでイオン様、アニスはどうしました?」
「敵に奪われた親書を取り返そうとして船窓から吹き飛ばされて…ただ、遺体が見つからないと話しているのを聞いたので無事でいてくれるかと…」
「それなら…セントビナーだな。合流地点になってるし」
「そうですね、アニスとの合流が先です」
ジェイドが頷く。
「そちらさんの部下は?まだこの陸艦に残ってんだろ」
ルークの友達の言葉にニッドはタルタロスを見上げる。
「…」
「生き残りがいるとは思えません。証人を残してはローレライ教団とマルクトとの間で紛争になりかねますからね」
「…何人、艦に乗ってたんだ?」
ルークが聞いた、彼は鳥肌が立っているようだ。
ニッドは静かに答えた。
「百四十名ほどだ。今回は極秘任務でこれでも常時の半数だ」
みんなの表情が微かに曇る。
「百人以上が殺されたってことか…」
「百人…」
長い沈黙をティアが破る。
「行きましょう。私たちが捕まったたら、もっとたくさんの人が戦争で亡くなるんだから…」
みんなは静かに歩き出した。
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