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小咄 うらばなし

「令」
名前を呼ぶとこちらを振り向く、すこしはにかんで「はい」と返事をする。その仕草に愛おしいという感情を抱くようになったのはいつからだろうか。

楽園に雨が降った。しとやかに優しい雨だが、ずっと止まない雨だ。庭の花々はすっかり元気でない。私も塔の中にこもりきりでピアノを弾いていた。令の声は透き通って美しい、透き通っていて綺麗。はその歌声を浴びるほど聴きたいと思っていた。
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