「あなたの会社を閉鎖して、得をする会社の心あたりは？」


「角紅商事か、四井物産あるいは…」



小五郎さんと谷さんの会話を聞いていると、コナンくんが大きな木の方に歩いているのが見えた。
あの木は犯人が逃げるのに使ったって言ってた木だよね…？



「うわ！？わわわ…また犬だー！！」



と思ったらコナンくんが木の陰にいた犬に吠えられていた。



『コナンくん大丈夫？！わんちゃんも大丈夫だからね、よしよし…』


「うん…ボクは大丈夫…」



大丈夫、怖くないよと言いながらわんちゃん達をなでていると、



「ジャンボがうちの者以外に懐くなんて珍しい…」


『そうなんですね…！ジャンボくんよろしくね！』



手に擦り寄ってくるジャンボくんをよしよしとなでる。
ふふっ…かわいいなぁ…



しばらくなでているとポンポンという音がして振り返る。
どうやら、コナンくんがリフティングをしていた音みたい。



『わぁ！コナンくんサッカーとっても上手だね！まるで…新一くんみたい…』


「う、うん…まあね…」


『新一くんも考え事している時、よくそれをやってたよ…』



ポンポンとリズム良くリフティングをするコナンくん
新一くんの小さい頃をみているようで懐かしい気持ちになる。



しばらく見ていると蘭ちゃんに呼ばれ、コナンくんの元を少し離れる。
蘭ちゃんと話していると、ガウガウというジャンボくんの声が聞こえ、視線を声の聞こえた方へ向ける。



「うわっ、なんだ！？またおまえかー！？」


「木のそばに転がったボールを取りに行ったら、いきなり、この犬がー！」


「なに！？木のそばに犬…？当たり前か…こんなでかい家なら犬の一匹や二匹…」


「この犬、よその人なら誰でも吠えるみたいだね…」


「ああ…うちの番犬は優秀だからな…」



コナンくんと谷さんの会話を聞いた小五郎さんはなにかをひらめいた様子



そーっとこの場を立ち去ろうとする麻生さんに小五郎さんが声をかける。



「どこに行くんですか、麻生さん？」



ギクッと固まる麻生さんに近づいて推理を始める小五郎さんをみんなが見つめる。



「何か変ですなー、あなたのいってることは…」


「犯人が、あの木を登って逃げたのなら、番犬は吠えまくってるはずだ！！おそらく犯人が逃走した後も！！」


「だが、後でかけつけたお手伝いさん達は、あなたの叫び声以外何も聞いていない…それに、犯人を見たはずのあなたの証言は、あやふやな点が多すぎる…」


「黒ずくめの男なんて、最初からいなかったんじゃないですか？麻生さん？いや…誘拐犯人さんよ！！！」



そういって麻生さんの胸ぐらを掴む小五郎さん



「麻生…きさま…」


「も、申し訳ございません、だんな様ー！！！」



小五郎さんの推理は当たっており、麻生さんが谷さんへ膝をついて謝罪をする。
どうやら、麻生さん1人でやったらしく、晶子ちゃんは近くのホテルにいるという…



「よーし、事件解決だー！！お嬢さんを迎えに行くぞー！！！」




事件が解決しほっとしていると、お手伝いさんが切羽詰まった様子で電話を持ってやってくる。



「だ、だんな様お電話が！！」


「ん？何だ、こんな時に！？」


「そ、それが…」


「"3億円は用意できたかな…？"」


「だ、誰だ！！おまえは！？」



電話から聞こえる真犯人と思われる声に緊張感が漂う…