ーーある日の放課後



帰りを告げるチャイムが鳴り、生徒たちは一斉に下校をはじめる。
そんな中、私は幼馴染の蘭ちゃんと新一くんと今日も一緒に帰っていた。



“高校生探偵また事件解決！！その名は工藤新一”



「ククク、ハッハッハ」



新聞だけじゃなく、街行く人やテレビからも自身の活躍の声が聞こえ、それにご満悦の様子で高らかな声をあげている新一くん



そんな新一くんの姿に不満げな蘭ちゃんは、持っていた空手着を新一くんに投げつけた。



『ら、蘭ちゃん…』


「バッカみたい…ヘラヘラしちゃって…」


「なに怒ってんだよ、蘭？」


「べつにー…新一が活躍してるせいで私のお父さんの仕事が減ってるからって…怒ってなんかいませんよー！！」


「あれー？蘭の父さんまだ探偵やってたのか？でも仕事が来ないのは、オレのせいじゃなくてあの人の腕のせい…」


『し、新一くん！』



そんな風にいったら…



「ホホホ…だから、怒ってないって言ってるでしょー！！」



新一くんの言葉を聞いた蘭ちゃんが近くにあった電柱にドコッと音がするくらいのパンチをした。



「瑠璃ー！もうこんな推理オタクおいていきましょ！」



蘭ちゃんがすこし前を歩きはじめる。



『もうっ！新一くんってばそんなふうに言わないの！』


「だって事実だろ？」



さらっと答える新一くんに、もうっ！と思いながらもこんな風に2人と笑っていられる日々がずっと続いたらいいなと思っていた。