胸に手を当てて新一くんの無事を噛み締めている。



「瑠璃…」


『ん？コナンくん、なにか言った？』



ボソッとコナンくんがなにかを呟いていたみたいだけど、私にはよく聞こえなかった。
聞き返すとコナンくんは下を一度向いてから、顔を上げ意を決したように口を開いた。



「じ、実はオレ…ほ、本当は…」



その声は玄関のドアが開く音にかき消されてしまう。
どうやら、蘭ちゃんが新一くんを心配してきたみたいだ。



『蘭ちゃんっ！』


「瑠璃！来てたのね！」



書斎に入ってきた蘭ちゃんにコナンくんを紹介し、新一くんが無事に帰ってきていたことを伝えると蘭ちゃんもほっとした様子をしていた。



「おお、そうじゃ、蘭君！！すまんが少しの間、この子を君の家で預かってくれんか？」



どうやらコナンくんの親御さんが事故で入院したみたいで博士がお世話を頼まれてたけれど、一人暮らしではなにかと大変なことも多いみたい…



「いいけど、お父さんに相談してみないと…」


「おー、そーか！そーか！引き受けてくれるか！！」



コナンくんは博士を引っ張って、私たちに聞こえないように何か話してるみたい。
私は蘭ちゃんと顔を見合わせて首を傾げる。



話し合いが終わったのかコナンくんがこっちにきたと思ったら、私の足元にぴたっとくっついてきた。



「ボク、おねーちゃんたちと一緒がいいー！」


『わぁ！かわいい…！』


「コナンくんは瑠璃のことが大好きみたいね！」



えへへと笑うコナンくんがとってもかわいくて、こっちまで笑顔になってしまう。



『でもごめんね…私は一緒には暮らせないの。でもときどき会いに行ってもいいかな？』


「私は瑠璃なら大歓迎よ！いつでも泊まりにきて！！」


『ありがとう、蘭ちゃん！お言葉に甘えさせてもらうね…？』


「わぁーい！ボク嬉しいなー！」



優しい蘭ちゃんとかわいいコナンくんの言葉に胸が温かくなる。



「じゃあ帰ろっか！今日は瑠璃もうちに泊まっていって！お父さんも喜ぶだろうし」


『うん…！ありがとう、蘭ちゃん！』



蘭ちゃんの優しさに甘え、今日はお邪魔させてもらうことに。
博士に別れをつげ、コナンくんと手を繋ぎ蘭ちゃんの家に向かう。



「ふー…後は、うまくやるんじゃぞ新…。いや、コナン君…」



私たちの後ろ姿見送りながら、博士がほっとした様子で呟いていたことは誰も知らない。