第一回デルカダール軍特別会議
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…なるほど、うん、なるほど。
乾いた笑い声が出た。
早々に察したのでグレイグさんの方を見ると――見たことがないくらい真っ青になっていた。
「…シルビアもいい年した大人だし、たかだか噂を鵜呑みにしないくらいの分別はついてるとはさすがに思ってるけど……。
でも、あまり良い気持ちはしないはずよ。万が一耳に入ることがあればの話だけど」
まんがいち、と思わず繰り返す。
マルティナさんによるゴリアテさんの分析は私的にも間違っていない。
けれど、だ。
ぶっちゃけ噂が立つこと自体があり得てはならないことだ。しかもよりによってグレイグさまと。
…己の夢を叶えるためとはいえ、デルカダールの兵士になったことでグレイグさまを選んだっぽい空気になってゴリアテさんと若干気まずくなったことさえある。
実は割と独占欲強いんだよなあの人。
いやもうほんと、事態は思っているよりやばいのかも知れない。
「マルティナ、さん…。どうしよう…とりあえずあとで遺書書くから……、預かって?」
「エルザ、邪神みたいな顔色になってるわ。落ち着きなさい。あと遺書は困るからいらない」
「姫様その例えはどうかと」
「ええー?」
「そういえば邪神って結局一回も見なかったな、どんなのだったの?」
「なんか変な仮面被ってたんだけど、グレイグが割ったらすっごいブスだったわよ」
「ブスって…」
ロトゼタシアを賭けた最終決戦でなにを観察してんだよ。
なんてツッコミを入れたかったが参戦していない時点でそんな資格はない。グレイグさまも頭を抱えていた。
「そこまで言われるなら割ってやらなければ良かった…」
「あ、その方向で後悔するんですね」
「人生後悔ばかりだ」
「わかります…ああゴリアテさん許して…無理?ごめんなさいごめんなさい…」
「…案外似てるところあるわよねあなたたち」
そうかな、と訊ねればちょっとだけとマルティナさんから返ってくる。
私の想定以上の取り乱しっぷりに彼女はもう一度大きなため息をついた。
「…とにかく、こっちでもスピーカー使うから。あなたたちもしばらくなるべく別行動するなりしなさい。
あとはもう最悪がないように祈るしかないわね」
「マルティナさん…っ!」
こういう時のマルティナさんはとても頼りになる。
なんだかんだ言っても根はいい人なのだ。
感涙に咽びそうになった私をよそに、彼女は突然考え込み始めた。
「でも代わりになるようなセンセーショナルな噂を出さないとね。どうしようかしら。
たとえばグレイグには実はすでに熱愛中の恋人がいた、みたいな…」
「姫様。自分で言うのも悲しいのですが嘘はやめてください」
「それもそうね」
珍しくグレイグさまにあっさり同意したマルティナさんは、深々と黙り込んでしまった。
「じゃあ私がタイマンでキラーマジンガに勝った、これでいきましょう」
「それも嘘でしょう…あ、いや、今の姫様なら十二分に勝てるでしょうけども」
「ええ。もちろん嘘では終わらせない。これから本当にしに行くのよ!ついて来なさいグレイグ!!」
邪神を倒したメンバーの一人であるマルティナさんがキラーマジンガを本当に倒したとしても、なんというか今更感があり、あまり話題にはならないだろう。
そんなことは彼女もきっと気づいているはず。
まあなんか、すでにお仕着せの生活に飽き飽きしている様子を見るに。
単に久々に暴れたいだけなんだろうと察する。
そして、思いついたらすぐ行動。
早速装備を引っ張りだし着替えだしそうとするマルティナさんを、グレイグさまが必死に止めていると。
ふとドアの向こうから客人です、と兵士の声がした。
マルティナさんは素早く身を翻し、入ってもらってと命令する。ドアが開いた。
その人物は、相変わらずきらっきらのオーラを纏い、ハイテンションで入ってくる。
「マルティナちゅわーん、お久しぶり!!アナタのシルビアよん。
今日はちょっとデルカダールでのショーの開催の許可を…あら。
グレイグにエルザちゃんも揃ってるのね。…二人とも随分と大活躍みたいで。ふふ」
「シルビア!そういう話はお父様の方が早いわ!私も一緒に行くから、早速行きましょういますぐに!!」
「えー?でも前はマルティナちゃんの方が早く動けるって」
「そう?そんなこと言ったかしらうふふふ忘れちゃったわごめんなさい!!!」
マルティナさんがこれ以上ないくらいに焦りながらゴリアテさんと共に部屋から出ていく。
さすがの彼女も自室を修羅場にされてはたまらないのだろう。
ぽつねんと二人取り残された。言うまでもなく、グレイグさまと私である。
「…エルザ」
「はい」
「あとで一番切れ味の良い短刀をやろう。最悪それで自死すると良い。俺が許可する」
「ありがとうございます…必要ないといいなぁほんと」
思ったより最悪の事態だった。
やましいことは本当にないのだが、すでにこれは手遅れかも知れない。
いや、もう、ほんと、リアルマジに。
終わりを感じた。
そんな中、マルティナさんとグレイグさまの優しさはどこまでもありがたかった。
「え?噂?アタシ知らないわよ、今日デルカダールに来たばかりだし。とりあえず仕事しなきゃってマルティナちゃん一直線だったし。
そりゃ他国にいたって相変わらずグレイグの話は聞くけどねん。
あと、たまに異様に強い新人魔法戦士――きっとエルザちゃんのことね――のことも。
グレイグばっかりあの子といてずるいわって思わなくもないけど、ご活躍何よりってところよ。
…マルティナちゃん、変なこと聞くのね。どうしたの?」
「い、いえ、なんでもないの。早く行きましょう!」
乾いた笑い声が出た。
早々に察したのでグレイグさんの方を見ると――見たことがないくらい真っ青になっていた。
「…シルビアもいい年した大人だし、たかだか噂を鵜呑みにしないくらいの分別はついてるとはさすがに思ってるけど……。
でも、あまり良い気持ちはしないはずよ。万が一耳に入ることがあればの話だけど」
まんがいち、と思わず繰り返す。
マルティナさんによるゴリアテさんの分析は私的にも間違っていない。
けれど、だ。
ぶっちゃけ噂が立つこと自体があり得てはならないことだ。しかもよりによってグレイグさまと。
…己の夢を叶えるためとはいえ、デルカダールの兵士になったことでグレイグさまを選んだっぽい空気になってゴリアテさんと若干気まずくなったことさえある。
実は割と独占欲強いんだよなあの人。
いやもうほんと、事態は思っているよりやばいのかも知れない。
「マルティナ、さん…。どうしよう…とりあえずあとで遺書書くから……、預かって?」
「エルザ、邪神みたいな顔色になってるわ。落ち着きなさい。あと遺書は困るからいらない」
「姫様その例えはどうかと」
「ええー?」
「そういえば邪神って結局一回も見なかったな、どんなのだったの?」
「なんか変な仮面被ってたんだけど、グレイグが割ったらすっごいブスだったわよ」
「ブスって…」
ロトゼタシアを賭けた最終決戦でなにを観察してんだよ。
なんてツッコミを入れたかったが参戦していない時点でそんな資格はない。グレイグさまも頭を抱えていた。
「そこまで言われるなら割ってやらなければ良かった…」
「あ、その方向で後悔するんですね」
「人生後悔ばかりだ」
「わかります…ああゴリアテさん許して…無理?ごめんなさいごめんなさい…」
「…案外似てるところあるわよねあなたたち」
そうかな、と訊ねればちょっとだけとマルティナさんから返ってくる。
私の想定以上の取り乱しっぷりに彼女はもう一度大きなため息をついた。
「…とにかく、こっちでもスピーカー使うから。あなたたちもしばらくなるべく別行動するなりしなさい。
あとはもう最悪がないように祈るしかないわね」
「マルティナさん…っ!」
こういう時のマルティナさんはとても頼りになる。
なんだかんだ言っても根はいい人なのだ。
感涙に咽びそうになった私をよそに、彼女は突然考え込み始めた。
「でも代わりになるようなセンセーショナルな噂を出さないとね。どうしようかしら。
たとえばグレイグには実はすでに熱愛中の恋人がいた、みたいな…」
「姫様。自分で言うのも悲しいのですが嘘はやめてください」
「それもそうね」
珍しくグレイグさまにあっさり同意したマルティナさんは、深々と黙り込んでしまった。
「じゃあ私がタイマンでキラーマジンガに勝った、これでいきましょう」
「それも嘘でしょう…あ、いや、今の姫様なら十二分に勝てるでしょうけども」
「ええ。もちろん嘘では終わらせない。これから本当にしに行くのよ!ついて来なさいグレイグ!!」
邪神を倒したメンバーの一人であるマルティナさんがキラーマジンガを本当に倒したとしても、なんというか今更感があり、あまり話題にはならないだろう。
そんなことは彼女もきっと気づいているはず。
まあなんか、すでにお仕着せの生活に飽き飽きしている様子を見るに。
単に久々に暴れたいだけなんだろうと察する。
そして、思いついたらすぐ行動。
早速装備を引っ張りだし着替えだしそうとするマルティナさんを、グレイグさまが必死に止めていると。
ふとドアの向こうから客人です、と兵士の声がした。
マルティナさんは素早く身を翻し、入ってもらってと命令する。ドアが開いた。
その人物は、相変わらずきらっきらのオーラを纏い、ハイテンションで入ってくる。
「マルティナちゅわーん、お久しぶり!!アナタのシルビアよん。
今日はちょっとデルカダールでのショーの開催の許可を…あら。
グレイグにエルザちゃんも揃ってるのね。…二人とも随分と大活躍みたいで。ふふ」
「シルビア!そういう話はお父様の方が早いわ!私も一緒に行くから、早速行きましょういますぐに!!」
「えー?でも前はマルティナちゃんの方が早く動けるって」
「そう?そんなこと言ったかしらうふふふ忘れちゃったわごめんなさい!!!」
マルティナさんがこれ以上ないくらいに焦りながらゴリアテさんと共に部屋から出ていく。
さすがの彼女も自室を修羅場にされてはたまらないのだろう。
ぽつねんと二人取り残された。言うまでもなく、グレイグさまと私である。
「…エルザ」
「はい」
「あとで一番切れ味の良い短刀をやろう。最悪それで自死すると良い。俺が許可する」
「ありがとうございます…必要ないといいなぁほんと」
思ったより最悪の事態だった。
やましいことは本当にないのだが、すでにこれは手遅れかも知れない。
いや、もう、ほんと、リアルマジに。
終わりを感じた。
そんな中、マルティナさんとグレイグさまの優しさはどこまでもありがたかった。
「え?噂?アタシ知らないわよ、今日デルカダールに来たばかりだし。とりあえず仕事しなきゃってマルティナちゃん一直線だったし。
そりゃ他国にいたって相変わらずグレイグの話は聞くけどねん。
あと、たまに異様に強い新人魔法戦士――きっとエルザちゃんのことね――のことも。
グレイグばっかりあの子といてずるいわって思わなくもないけど、ご活躍何よりってところよ。
…マルティナちゃん、変なこと聞くのね。どうしたの?」
「い、いえ、なんでもないの。早く行きましょう!」