Oh PAIn !
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「結果だけ言えば本当に大したことないんだけど…。まだホメロスさまの墓所に来る前の話で。
物は何だったか正確には覚えていないです。それはとにかく、グレイグさまが忘れ物をしたんですね、訓練所で。
ピチピチバニーとかではなくてもっと些細な物で……タオルとか、そんなのだったかな。
で、なんやかんやで新人の私がそれを届けに行くことになって。
グレイグさまのお部屋に行ってドアをノックしました。開けてもいいって許可をちゃんと貰ってから、開けたらですね」
旧来の付き合いにより察したのだろう。
ホメロスさまはこの時点ですでにドン引きしていたが気にせず続けた。
「そこにはステテコパンツで寛ぐグレイグさまが」
「まさかエルザ相手とはいえすでにやらかしていたとは……」
「『わざわざすまんな。そうだ、礼と言っては難だが、マカロンを貰っていた。俺は食わんから持っていくといい』
……一言一句覚えてます。これをステテコパンツのおっさんに言われる私」
ちなみにスライムの形をしたすごくかわいいマカロンだった。これをグレイグさまにどういう意図であげたのかは知らないけど、贈り主はかわいそうだと思った。
でも見た目以上に美味しかったですごちそうさま。
それにしても、菓子作りに凝ってるなら自分で食べて研究くらいしたらどうなんだ。
と、某特別会議の度に悲劇を起こす上司に僅かな怒りを覚える。
「それ以来、グレイグさまのお部屋に行くのが割と(事故が)恐くて」
「一切動じていなかったか」
「一切動じていなかったですね」
白パンを胃袋にすっかり収めてしまったため次の選手を出す。
栄養が偏ってはいけないので 、今度はレタスと分厚いベーコンを挟んだサンドイッチだ。
「太るぞ」
「セクハラですか?」
「安心しろ。生前あらゆる罪を犯してきたが、お前にだけはそんな真似したくもない」
今日一番真面目な顔で断言される。
…別にいーけど。
ベーコンの塩味が白パンの甘さに慣れた舌を刺激する。でもレタスのお陰で喉は渇かない。
ああもうこれ無限に食べられそう。
「しかしグレイグのやつめ……あいつは何なんだ?幼い頃に、自室に鍵を掛けるなとでも教育されていたのか?」
「私に聞かれても」
「あいつのそういうところが昔から大嫌いだった」
なんだか気の毒になるほど実感が篭っている。多分こういうグレイグさまのうっかりというか度の超えた天然ぷりに、昔から苦労させられてきたのだろう。
ホメロスさまとは性格的にも真反対だしなあ。
「よし。パンも食べたことだし開いてみますかせっかくだし」
とはいえグレイグさまの愚痴をこのまま聞かされるのも単純にだるくて嫌なので、ムフフ本を拝読してみることにした。
こういう機会でもないと一生見ることなどないだろう。
ホメロスさまの目つきが完全に害虫を見るそれなのだが気にしてはいけない。
「なんだ。ゴリアテ、ゴリアテと普段煩い癖に女体に興味があるのか」
「こ、好奇心だよ!ゴリアテさんが一番に決まってるでしょ!」
「どういう神経をしているのだ、気持ちが悪い」
ホメロスさまは性的な話題が絡んだ途端に私が知る誰よりも堅物化する。とことんグレイグさまとは対照的だなあと思う。
ゴリアテさんですら、イケメンとかグロッタのバニーさんを見て多少なりともはしゃぐというのに。
あとは『オープンスケベのロウ様はともかく、ただただ無言でバニーをガン見してるグレイグは正直キモい』とこれはマルティナさん談だ。
「わ、でもこれすごいかも。特盛り、って言葉たぶん盛ってないよホメロスさま!」
「黙れ」
「うらやましいなー、ちょっとわけてくれないかなー」
だってあの人も大きい方が好きみたいだし。
なおこれもマルティナさん談。そして慌てて彼女は付け足した。
『あ、でもシルビアは私には興味持ってないわよ、だから安心して!』
……かなり余計なフォローだ、あの悪魔染みた性格上、わざとなのだろうけど。
「胸筋を鍛えろ」
「えっ?」
小声でホメロスさまが何を言ってるかわからなかったけれど、たぶん罵倒だろう。
一々反応していても疲れるだけなので気にせずにページをパラパラ捲る。
しかしいつまでも変わらず、人は違えどバニー祭。そして巨乳祭だ。
グレイグさまの趣味に寄っていると言っていたホメロスさまの言もわかる。ムフフ本としてのえげつなさは薄かったとはいえ、フェチズム色は結構強かった。
この本を一冊でも持っていれば、ああこの人巨乳バニーが大好きなんだろうなあと確信できるだろう。
本を閉じる。最初こそ物珍しくてテンションが上がったが、私はそこまで巨乳バニーにははまらなかった。一言で纏めれば、飽きた。
「で、ホメロスさま」
「なんだ」
「この本燃やしませんか」
「は?」
突然の、それも今までとは180度ほど違う提案だからだろう。ホメロスさまの目はさすがに点になっていた。
「なんていうか、物が物だからやっぱり返し辛いし、落ちてた元の場所に置いとくわけにもいかないでしょ。
逆セクハラってなっても嫌だし?……かといってうちに持って帰って、もしゴリアテさんに見つかったら何が起きるか」
予測される事態はいずれも恐ろしかった。特に一番最後。
きっついオシオキを想像しただけで身体が震えた。
「……だからいっそ燃やした方がみんな幸せかなって」
「オレの部下にすらいなかったぞ、お前のようなトンデモ発想をするやつは」
首を傾げる。とりあえず勇者を育てたっていうだけの理由で村に火をつけた外道にだけは言わたくなかった。
「……先程も言ったが、グレイグは不注意な男だ。どうせ今日も鍵を閉め忘れていることだろう。
燃やす前に一度部屋に戻せるか確かめておいてやれ」
「ホメロスさまやさしー!私バカだから、全然思いつかなかった!」
「お前割とすごいな」
我ながら珍しく素直に褒めたというのに、なぜかドン引きされる。
でもホメロスさまの人間性は正直悪いし、多分、そう。私の方がきっと一般論だ。
だから気にすることはないと内心で断じ、身の回りを片付ける。
彼のアドバイス通り【ピチピチバニーとれとれおっぱい特盛り号】をグレイグさまに返さなければならないからだ。
昼休みも残り少なくなってきた。けれど、まだちょっと急げば余裕で間に合う。
グレイグさまが自室で寛いでいないことを願いながら私はその場を後にしたのだった。
午後の木漏れ日が柔らかい。
今日のデルカダールも平和で何よりである。
物は何だったか正確には覚えていないです。それはとにかく、グレイグさまが忘れ物をしたんですね、訓練所で。
ピチピチバニーとかではなくてもっと些細な物で……タオルとか、そんなのだったかな。
で、なんやかんやで新人の私がそれを届けに行くことになって。
グレイグさまのお部屋に行ってドアをノックしました。開けてもいいって許可をちゃんと貰ってから、開けたらですね」
旧来の付き合いにより察したのだろう。
ホメロスさまはこの時点ですでにドン引きしていたが気にせず続けた。
「そこにはステテコパンツで寛ぐグレイグさまが」
「まさかエルザ相手とはいえすでにやらかしていたとは……」
「『わざわざすまんな。そうだ、礼と言っては難だが、マカロンを貰っていた。俺は食わんから持っていくといい』
……一言一句覚えてます。これをステテコパンツのおっさんに言われる私」
ちなみにスライムの形をしたすごくかわいいマカロンだった。これをグレイグさまにどういう意図であげたのかは知らないけど、贈り主はかわいそうだと思った。
でも見た目以上に美味しかったですごちそうさま。
それにしても、菓子作りに凝ってるなら自分で食べて研究くらいしたらどうなんだ。
と、某特別会議の度に悲劇を起こす上司に僅かな怒りを覚える。
「それ以来、グレイグさまのお部屋に行くのが割と(事故が)恐くて」
「一切動じていなかったか」
「一切動じていなかったですね」
白パンを胃袋にすっかり収めてしまったため次の選手を出す。
栄養が偏ってはいけないので 、今度はレタスと分厚いベーコンを挟んだサンドイッチだ。
「太るぞ」
「セクハラですか?」
「安心しろ。生前あらゆる罪を犯してきたが、お前にだけはそんな真似したくもない」
今日一番真面目な顔で断言される。
…別にいーけど。
ベーコンの塩味が白パンの甘さに慣れた舌を刺激する。でもレタスのお陰で喉は渇かない。
ああもうこれ無限に食べられそう。
「しかしグレイグのやつめ……あいつは何なんだ?幼い頃に、自室に鍵を掛けるなとでも教育されていたのか?」
「私に聞かれても」
「あいつのそういうところが昔から大嫌いだった」
なんだか気の毒になるほど実感が篭っている。多分こういうグレイグさまのうっかりというか度の超えた天然ぷりに、昔から苦労させられてきたのだろう。
ホメロスさまとは性格的にも真反対だしなあ。
「よし。パンも食べたことだし開いてみますかせっかくだし」
とはいえグレイグさまの愚痴をこのまま聞かされるのも単純にだるくて嫌なので、ムフフ本を拝読してみることにした。
こういう機会でもないと一生見ることなどないだろう。
ホメロスさまの目つきが完全に害虫を見るそれなのだが気にしてはいけない。
「なんだ。ゴリアテ、ゴリアテと普段煩い癖に女体に興味があるのか」
「こ、好奇心だよ!ゴリアテさんが一番に決まってるでしょ!」
「どういう神経をしているのだ、気持ちが悪い」
ホメロスさまは性的な話題が絡んだ途端に私が知る誰よりも堅物化する。とことんグレイグさまとは対照的だなあと思う。
ゴリアテさんですら、イケメンとかグロッタのバニーさんを見て多少なりともはしゃぐというのに。
あとは『オープンスケベのロウ様はともかく、ただただ無言でバニーをガン見してるグレイグは正直キモい』とこれはマルティナさん談だ。
「わ、でもこれすごいかも。特盛り、って言葉たぶん盛ってないよホメロスさま!」
「黙れ」
「うらやましいなー、ちょっとわけてくれないかなー」
だってあの人も大きい方が好きみたいだし。
なおこれもマルティナさん談。そして慌てて彼女は付け足した。
『あ、でもシルビアは私には興味持ってないわよ、だから安心して!』
……かなり余計なフォローだ、あの悪魔染みた性格上、わざとなのだろうけど。
「胸筋を鍛えろ」
「えっ?」
小声でホメロスさまが何を言ってるかわからなかったけれど、たぶん罵倒だろう。
一々反応していても疲れるだけなので気にせずにページをパラパラ捲る。
しかしいつまでも変わらず、人は違えどバニー祭。そして巨乳祭だ。
グレイグさまの趣味に寄っていると言っていたホメロスさまの言もわかる。ムフフ本としてのえげつなさは薄かったとはいえ、フェチズム色は結構強かった。
この本を一冊でも持っていれば、ああこの人巨乳バニーが大好きなんだろうなあと確信できるだろう。
本を閉じる。最初こそ物珍しくてテンションが上がったが、私はそこまで巨乳バニーにははまらなかった。一言で纏めれば、飽きた。
「で、ホメロスさま」
「なんだ」
「この本燃やしませんか」
「は?」
突然の、それも今までとは180度ほど違う提案だからだろう。ホメロスさまの目はさすがに点になっていた。
「なんていうか、物が物だからやっぱり返し辛いし、落ちてた元の場所に置いとくわけにもいかないでしょ。
逆セクハラってなっても嫌だし?……かといってうちに持って帰って、もしゴリアテさんに見つかったら何が起きるか」
予測される事態はいずれも恐ろしかった。特に一番最後。
きっついオシオキを想像しただけで身体が震えた。
「……だからいっそ燃やした方がみんな幸せかなって」
「オレの部下にすらいなかったぞ、お前のようなトンデモ発想をするやつは」
首を傾げる。とりあえず勇者を育てたっていうだけの理由で村に火をつけた外道にだけは言わたくなかった。
「……先程も言ったが、グレイグは不注意な男だ。どうせ今日も鍵を閉め忘れていることだろう。
燃やす前に一度部屋に戻せるか確かめておいてやれ」
「ホメロスさまやさしー!私バカだから、全然思いつかなかった!」
「お前割とすごいな」
我ながら珍しく素直に褒めたというのに、なぜかドン引きされる。
でもホメロスさまの人間性は正直悪いし、多分、そう。私の方がきっと一般論だ。
だから気にすることはないと内心で断じ、身の回りを片付ける。
彼のアドバイス通り【ピチピチバニーとれとれおっぱい特盛り号】をグレイグさまに返さなければならないからだ。
昼休みも残り少なくなってきた。けれど、まだちょっと急げば余裕で間に合う。
グレイグさまが自室で寛いでいないことを願いながら私はその場を後にしたのだった。
午後の木漏れ日が柔らかい。
今日のデルカダールも平和で何よりである。