Hevenly sun
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けれど。
いつだって誤算は起きる。
特にこんな、絶対的に有利な状況を狙って。
望むとも望まざるも。
好むとも好まざるも関係なく。
ないと思っていた目を掻い潜るように。
「よもやお忘れではありませんよね、私のことを」
幽玄というのだろうか。
そんな掠れた声と存在感でありながら弱々しさは感じさせず、ただ静かに命の危機という名の信号を私の神経に叩き込む。
「あなた、確か…!」
思わず足が止まる。声が首に巻きついたから。
「私が、斬った…」
「あの程度の剣技と魔法で私を倒せた?笑わせないでください」
巻きつく何かに力が篭もる。仕返しか、或いは楽しむかのように。
ホロゴーストだ。
気づいた時にはすでに遅く、先の言葉を最後にもはや声は出ない。
「この瞬間を待っていました」
離せ。あらん限りの声で叫ぶことを試みながら藻掻く。暴れる。
ひっかく。立てた爪は、私自身の喉を浅く裂く。
ただそれだけで、どうにもならない。
「……っ!………っっ!!!!!」
すぐにハンサムが、ビビアンちゃんが私の異変に気がつくが、もはや手遅れで。
目の前の牛鬼を差し置いてさえ誰にもどうにもできなかった。
【ザキ】
その呪文を聞いた瞬間。
まずどくり、と心臓が鳴った。
それから身体の先端が突然に冷たくなり、急激に体温が奪われて――速度を増しながら中心に向かっていくのがわかる。
寒い。
それが私が生物として得た最後の感覚だった。
シルビアさん、ごめんなさい。