Hevenly sun
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「で。オレ様の船に乗るのはエルザとどいつだ?」
点呼を取る。手際よく回復呪文を展開し終えたビビアンちゃんが、真っ先に進み出た。
「ビビアンちゃんよ。
本当はお留守番してたいけど……エルザは頼りないし、ラゴスだけじゃ回復が追いつかないわ」
そう言う割にまるで始めから参戦することを決めていたかのような確固たる口調だった。
「だからボクはラゴスではないと何度言えばわかるんだ」
ハンサムは飽くまでもツッコミを入れる姿勢を崩さない。
案外芸人に向いてるんじゃないかと思う。
でも絶対シルビアさんと組むとか調子に乗ったことを言い出すに決まっているので、口には出さない。
「当然ボクも行く。まともなアタッカーは、ボクしかいないしな」
「ちょっと!あたいだって行くんだからそんなことはないんだぜ!」
ハンサムの淡々とした言い回しにサイデリアちゃんが抗議の声をあげる。見事にスルーされていたが。
「いけるの?サイデリア。無理することはないのよ」
「…ビビアン。あたい、今回も正直怖いんだけどさ。それでも絶対最後までやり遂げるんだ。絶対」
臆病なところがある相方の、しかし強い決意。それを認めたビビアンちゃんは、にっこりと笑って頷いた。
「いいわよ。グロッタの花の実力、犯人に見せつけてやりましょ!」
「おう!」
お色気美人コンビ(前から思っていたけれどもう少しまともな言い回しはないのか)が士気をあげる。
それを見届けたファーリスが打って変わり、静かな口調で名乗り出た。
「己を過大評価するわけではないが、それでもボクがいなければ始まらないだろう。乗船するよ」
王族特有なのかこの方の性分なのか、その口調は尊大といって差し支えない。
しかし頼れるリーダー像としては割と理想的な堂々とした態度だった。…脚が震えていなければだけど。
「こちらからの乗船者は、私を含めて以上です」
「おう。…ハンフリー」
挑発するような口調。
「テメー行かねえつってたけどよ、それでいいのか?」
ビビアンちゃんに回復してもらったにも関わらず、未だに膝をついたままのハンフリーにカンダタは声をかける。
ハンフリーは俯いたままだった。
しかし、落ち込み続けていたのともまた違うようだ。
彼はおもむろに立ち上がると、素早くカンダタに近づき、貫手の要領で謎の覆面を引っ掴む。
そして――頭突きした。
カンダタが彼にそうした時よりももしかしたら鈍い音。
手加減などまず考えていなさそうな、本気の一撃。
やられたらやり返すとは言うものの、倍返しどころではない。
「……このオレが臆病風を吹かせたとでも言いたいのか?それとも普段脳を使わなさすぎてもう忘れたのか?
オレは始めから行かないつもりだ。残った子どもたちを守るために」
強烈がすぎる不意打ちに今度はカンダタの方が尻もちをついた。睨むように、試すように見上げる彼を、ハンフリーは負けじと鋭く睨み返す。
「大切な子どもたちをさらう不届き者を、この手で捕まえたいという気持ちはないわけではない。
しかし、オレにはオレの役目がある。これ以上は犠牲を出しては絶対にいけない。…今度こそオレが守る」
元々揺るぎなかったハンフリーの決意は、更に確固たるものへと変わる。
それは彼が作った握り拳がその口よりずっと雄弁に語っていた。
「…ハンフリー。すまなかった。ボクたちがついていながら、みすみす被害を出してしまって」
その様を見てたまらずファーリスが謝罪をする。ハンフリーは淀み無く答えた。
「いいんだ、とは言えない。実際に辛い目に遭っているのは、攫われた子どもたちだ。
……だから、ファーリス。今度は必ず奴らを捕らえてくれ。そしてエルザ、みんな。
あんたたちに託すのは忍びないが、オレの代わりに、必ずあの子たちを助けてやってくれ」
みな彼の依頼に、異論を立てるわけもなく揃って頷く。
ハンフリーはそれを見届けてから、改めてカンダタの方を向き直った。
「カンダタ、友として頼む。皆を必ず、無事メダチャットまで送り届けてやってくれ」
「…トモダチに頼まれたんじゃ仕方ねえな。こいつらのことは任せとけ」
カンダタは短く言って豪快に笑った。
そこに丁度いいタイミングで、彼の子分の海賊がバンデルフォン地方への出発の準備が完了したことを告げに来た。
「っしゃあ!!!カンダタ海賊団復活だ!!!テメーら気合いいれてけよー!!!!」
こうして雄雄しい掛け声と共に、夜通しの行軍が始まった。
点呼を取る。手際よく回復呪文を展開し終えたビビアンちゃんが、真っ先に進み出た。
「ビビアンちゃんよ。
本当はお留守番してたいけど……エルザは頼りないし、ラゴスだけじゃ回復が追いつかないわ」
そう言う割にまるで始めから参戦することを決めていたかのような確固たる口調だった。
「だからボクはラゴスではないと何度言えばわかるんだ」
ハンサムは飽くまでもツッコミを入れる姿勢を崩さない。
案外芸人に向いてるんじゃないかと思う。
でも絶対シルビアさんと組むとか調子に乗ったことを言い出すに決まっているので、口には出さない。
「当然ボクも行く。まともなアタッカーは、ボクしかいないしな」
「ちょっと!あたいだって行くんだからそんなことはないんだぜ!」
ハンサムの淡々とした言い回しにサイデリアちゃんが抗議の声をあげる。見事にスルーされていたが。
「いけるの?サイデリア。無理することはないのよ」
「…ビビアン。あたい、今回も正直怖いんだけどさ。それでも絶対最後までやり遂げるんだ。絶対」
臆病なところがある相方の、しかし強い決意。それを認めたビビアンちゃんは、にっこりと笑って頷いた。
「いいわよ。グロッタの花の実力、犯人に見せつけてやりましょ!」
「おう!」
お色気美人コンビ(前から思っていたけれどもう少しまともな言い回しはないのか)が士気をあげる。
それを見届けたファーリスが打って変わり、静かな口調で名乗り出た。
「己を過大評価するわけではないが、それでもボクがいなければ始まらないだろう。乗船するよ」
王族特有なのかこの方の性分なのか、その口調は尊大といって差し支えない。
しかし頼れるリーダー像としては割と理想的な堂々とした態度だった。…脚が震えていなければだけど。
「こちらからの乗船者は、私を含めて以上です」
「おう。…ハンフリー」
挑発するような口調。
「テメー行かねえつってたけどよ、それでいいのか?」
ビビアンちゃんに回復してもらったにも関わらず、未だに膝をついたままのハンフリーにカンダタは声をかける。
ハンフリーは俯いたままだった。
しかし、落ち込み続けていたのともまた違うようだ。
彼はおもむろに立ち上がると、素早くカンダタに近づき、貫手の要領で謎の覆面を引っ掴む。
そして――頭突きした。
カンダタが彼にそうした時よりももしかしたら鈍い音。
手加減などまず考えていなさそうな、本気の一撃。
やられたらやり返すとは言うものの、倍返しどころではない。
「……このオレが臆病風を吹かせたとでも言いたいのか?それとも普段脳を使わなさすぎてもう忘れたのか?
オレは始めから行かないつもりだ。残った子どもたちを守るために」
強烈がすぎる不意打ちに今度はカンダタの方が尻もちをついた。睨むように、試すように見上げる彼を、ハンフリーは負けじと鋭く睨み返す。
「大切な子どもたちをさらう不届き者を、この手で捕まえたいという気持ちはないわけではない。
しかし、オレにはオレの役目がある。これ以上は犠牲を出しては絶対にいけない。…今度こそオレが守る」
元々揺るぎなかったハンフリーの決意は、更に確固たるものへと変わる。
それは彼が作った握り拳がその口よりずっと雄弁に語っていた。
「…ハンフリー。すまなかった。ボクたちがついていながら、みすみす被害を出してしまって」
その様を見てたまらずファーリスが謝罪をする。ハンフリーは淀み無く答えた。
「いいんだ、とは言えない。実際に辛い目に遭っているのは、攫われた子どもたちだ。
……だから、ファーリス。今度は必ず奴らを捕らえてくれ。そしてエルザ、みんな。
あんたたちに託すのは忍びないが、オレの代わりに、必ずあの子たちを助けてやってくれ」
みな彼の依頼に、異論を立てるわけもなく揃って頷く。
ハンフリーはそれを見届けてから、改めてカンダタの方を向き直った。
「カンダタ、友として頼む。皆を必ず、無事メダチャットまで送り届けてやってくれ」
「…トモダチに頼まれたんじゃ仕方ねえな。こいつらのことは任せとけ」
カンダタは短く言って豪快に笑った。
そこに丁度いいタイミングで、彼の子分の海賊がバンデルフォン地方への出発の準備が完了したことを告げに来た。
「っしゃあ!!!カンダタ海賊団復活だ!!!テメーら気合いいれてけよー!!!!」
こうして雄雄しい掛け声と共に、夜通しの行軍が始まった。