Hevenly sun
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「この際だからチャンピオンにも知っておいてほしいんだけどぉ。
ビビアンちゃんって、ビビアンちゃんをナメてる人がキライなのっ。
だからね、ビビアンちゃんを見くびって交渉に参加させなかったエルザなんてだいっキライ!」
「だよなだよなぁー!
ビビアンちゃんがいるって知ってりゃオレ様も素直に手でも船でも貸してやってたってもんだが」
「やーんもうっ。センチョー大好きっ」
カンダタの船及びマーメイドハープを貸してもらう条件として、彼は彼自身との決闘及び勝利を提示してきた。
話はまとまり、ハンフリーやカンダタの子分、
関係ないカジノ利用者を観客にした中いざ斬り合いをという場面で、突然カンダタは卒倒した。
と言っても彼があまりにも不健康極まりない生活をしていたツケが今回ってきたとか、
そういうわけではないのは、その直後聞こえてきた大いびきで明らかになる。
結局のところ原因は、ラリホーの呪文だった。
私たちの決闘を邪魔した無粋者ことビビアンちゃんは、
ステージに上がってなお少しも悪びれもせずにきゃらきゃらと笑った。
『用心棒のテストするならエルザだけって絶対的におかしくない!?
エルザが死んでも代わりはいくらでもいるのに!このビビアンちゃんの代わりはいないけどね。うふふ!』
これはひどいを地で行くビビアンちゃんの行い。
ハンフリーと私が必死に積み重ねたものをぶち壊す勢いにさすがに物申そうとしたけれど、
これかまさかの結果オーライだった。
つまり。
「おいハンフリー、エルザ。船もマーメイドハープも貸してやる。金はいらねえ。
その代わりビビアンちゃんには、オレ様がとっても義賊だということにしておいてくれ。…頼むぜ、な?」
泣く子も黙るカンダタ海賊団、その船長はビビアンちゃんの大ファンだったのである。
こうして今までの流れは何だったのか本気で落ち込みたくなるくらい簡単に話はまとまった。
なお出港は今日はもう日の入りが近く、また船の諸々の準備があるそうなので、最短でも明後日になるとのことだ。
まあこればかりは仕方がない。
それでも連絡船を待つのとは比べ物にならない早さなのだから。
今後のスケジュールとしては、今晩はひとまずグロッタに留まり、明日一番でこの大陸唯一の港があるバンデルフォン地方を目指す。
更にそこで一泊して、その次の朝にメダチャット地方を目指すという運びだ。
「しかし…まだ正直言って頭が追いつかないんだが」
そう言うハンフリーに私もです、と返す。
カンダタに奢りだと言われ置かれたジョッキ。
並々注がれた酒は好きな種類ではあったが、脱力感の方が圧倒的に勝っていたせいで手をつけられなかった。
「カンダタはやばい相手だからって、せめて王子や女の子たちは危険な目にあわせたくないと思ってたんだけど……まさしく裏目で。
本当に申し訳ないです」
「そんなことはないさ。結果論じゃないか。
あいつがビビアンのファンだっていうのは、誰もが知ることじゃない。オレはアンタに感謝しているぜ」
そうハンフリーは優しく言ってくれたけれど、気分は晴れることはなかった。
「これに懲りたら単独行動は謹んでよねっ。またこういうことしたら、許さないんだから」
ビビアンちゃんの注意も、おちゃらけたようでありながら耳にとても痛い。もう一度謝る。
「で、だ。船を貸してやるにあたって、お前らにはついでに積み荷の護衛をしてもらいたいわけだが…」
「積み荷?」
聞き返すと、カンダタはニヤリと笑う。
「お前みたいな女が戦って、この海賊カンダタ様が魔物に怯えて日々飲んだくれてるのも随分な話だろ。
この際また一旗揚げてやろうじゃあねえかと。…で、その準備をだな」
「ついでで悪事の加担させられるわけ!?」
素っ頓狂な声をあげると、カンダタは更に大きな声で被せてきた。
「文句言うな!オレ様はそのあたりも条件に船を貸してやるんだ!喜んで手伝え!」
「……いーけどさー」
カンダタのなんとも身勝手な理屈に嫌々黙らされる。
まあどうせ同じ道中で、余計な寄り道をするわけではない。
なんだか腑に落ちない物はあるが、断る理由は一応なかった。
「あともう一点、エルザ、テメーに言いたいことがある」
カンダタは巨体を乗り出し、こちらに顔を近づけてくる。
ふざけているわけではないというのは雰囲気でわかった。
ごく真剣に訊いてくる。
「テメー、オレ様が船を出すにあたって往路は用心棒を買って出ると言ってくれたがよ。
テメーら全員、メダチャットで降りっちまうだろ。復路はどうしてくれる気だ?」
あー、と思う。何も考えてなかった。
多分今更こんなことを言い出すあたり、カンダタ自身今しがた思いついた難癖といったところだろう。
「そうだな…貸しにしといて」
数秒考え、そう言う。
は?とカンダタが聞き返してくるが、気にしない。
「これが終わったら、一回タダ働きしてあげる。必要な時にいつでも声をかけて。
あなたのお友だちのビビアンちゃんと、ハンフリーが証人ね」
給仕のバニーさんにお願いして、紙とペンを借りる。
そこに必要事項(特に売春や犯罪行為は行わない旨を強調して)を記した即席の名刺を作った。
「は、ちゃっかり営業たァ抜け目がねえな」
「仕事熱心なのはお互い様でしょ」
そう言いつつメモを受け取るカンダタと、視線を交錯させる。交渉は成立したと言っていいだろう。
「話がまとまったところで、明日からは久々の仕事だ、楽しく飲もうじゃねえか!!
おら!ハンフリー!遠慮してんじゃねえ!!」
「いやオレは…」
「あああん!?オレ様の酒がのめねーってのか!?」
カンダタの豪快な哄笑、子分たちの賛同。
酒場がすっかり元の騒がしい雰囲気に戻っていく。
今日の客の3分の1はカンダタ海賊団とその関係者だったためだ。
他の客は萎縮していたんだと思うと少し申し訳なくなった。
「きゃーん!センチョーかっこいー!イッキ!イッキ!」
そんなことはお構いなしにはしゃぎまくるビビアンちゃん。
シルビアさんやマルティナさんにも通じるけども、この子の本心はいまいち計り知れない。
「煽ったな!?煽ったなビビアンちゃん!?オレ様ちょーーーーっとばかしはりきっちまうぞぉおおーーーーっ!?」
良い子は真似してはいけません。
しかし、カンダタはとても悪い子である。
巨体なジョッキを手に、カンダタは椅子から立ち上がり、ふんぞり返る。
今まさに海賊の親分のイッキ飲みショーが始まるところだった。
「大変だ!ハンフリー!!」
息を切らし、飛び込んできたのはマスク・ザ・ハンサム。
「どうした?」
ハンフリーが問いかけるも、ハンサムは返事をしない。
というか、よほど全力で走ったのだろう。ぜいぜいと息切れを起こして喋れないといった風だった。
「ラゴス、だいじょうぶ?お水飲む?」
「ボクは……ラゴスじゃないと言ってるだろ……」
それでもビビアンちゃんにツッコミを入れるくらいの余裕はあるようだ、というべきだろうか。
ハンサムはグラスの中身を少し零しつつも一気に飲み干し、ぐいっと口元を袖で拭う。
「すぐに来てくれ……。子どもが消えた」
少し落ち着きを取り戻した彼が言ったのは、あまりに絶望的な事態だった。
ビビアンちゃんって、ビビアンちゃんをナメてる人がキライなのっ。
だからね、ビビアンちゃんを見くびって交渉に参加させなかったエルザなんてだいっキライ!」
「だよなだよなぁー!
ビビアンちゃんがいるって知ってりゃオレ様も素直に手でも船でも貸してやってたってもんだが」
「やーんもうっ。センチョー大好きっ」
カンダタの船及びマーメイドハープを貸してもらう条件として、彼は彼自身との決闘及び勝利を提示してきた。
話はまとまり、ハンフリーやカンダタの子分、
関係ないカジノ利用者を観客にした中いざ斬り合いをという場面で、突然カンダタは卒倒した。
と言っても彼があまりにも不健康極まりない生活をしていたツケが今回ってきたとか、
そういうわけではないのは、その直後聞こえてきた大いびきで明らかになる。
結局のところ原因は、ラリホーの呪文だった。
私たちの決闘を邪魔した無粋者ことビビアンちゃんは、
ステージに上がってなお少しも悪びれもせずにきゃらきゃらと笑った。
『用心棒のテストするならエルザだけって絶対的におかしくない!?
エルザが死んでも代わりはいくらでもいるのに!このビビアンちゃんの代わりはいないけどね。うふふ!』
これはひどいを地で行くビビアンちゃんの行い。
ハンフリーと私が必死に積み重ねたものをぶち壊す勢いにさすがに物申そうとしたけれど、
これかまさかの結果オーライだった。
つまり。
「おいハンフリー、エルザ。船もマーメイドハープも貸してやる。金はいらねえ。
その代わりビビアンちゃんには、オレ様がとっても義賊だということにしておいてくれ。…頼むぜ、な?」
泣く子も黙るカンダタ海賊団、その船長はビビアンちゃんの大ファンだったのである。
こうして今までの流れは何だったのか本気で落ち込みたくなるくらい簡単に話はまとまった。
なお出港は今日はもう日の入りが近く、また船の諸々の準備があるそうなので、最短でも明後日になるとのことだ。
まあこればかりは仕方がない。
それでも連絡船を待つのとは比べ物にならない早さなのだから。
今後のスケジュールとしては、今晩はひとまずグロッタに留まり、明日一番でこの大陸唯一の港があるバンデルフォン地方を目指す。
更にそこで一泊して、その次の朝にメダチャット地方を目指すという運びだ。
「しかし…まだ正直言って頭が追いつかないんだが」
そう言うハンフリーに私もです、と返す。
カンダタに奢りだと言われ置かれたジョッキ。
並々注がれた酒は好きな種類ではあったが、脱力感の方が圧倒的に勝っていたせいで手をつけられなかった。
「カンダタはやばい相手だからって、せめて王子や女の子たちは危険な目にあわせたくないと思ってたんだけど……まさしく裏目で。
本当に申し訳ないです」
「そんなことはないさ。結果論じゃないか。
あいつがビビアンのファンだっていうのは、誰もが知ることじゃない。オレはアンタに感謝しているぜ」
そうハンフリーは優しく言ってくれたけれど、気分は晴れることはなかった。
「これに懲りたら単独行動は謹んでよねっ。またこういうことしたら、許さないんだから」
ビビアンちゃんの注意も、おちゃらけたようでありながら耳にとても痛い。もう一度謝る。
「で、だ。船を貸してやるにあたって、お前らにはついでに積み荷の護衛をしてもらいたいわけだが…」
「積み荷?」
聞き返すと、カンダタはニヤリと笑う。
「お前みたいな女が戦って、この海賊カンダタ様が魔物に怯えて日々飲んだくれてるのも随分な話だろ。
この際また一旗揚げてやろうじゃあねえかと。…で、その準備をだな」
「ついでで悪事の加担させられるわけ!?」
素っ頓狂な声をあげると、カンダタは更に大きな声で被せてきた。
「文句言うな!オレ様はそのあたりも条件に船を貸してやるんだ!喜んで手伝え!」
「……いーけどさー」
カンダタのなんとも身勝手な理屈に嫌々黙らされる。
まあどうせ同じ道中で、余計な寄り道をするわけではない。
なんだか腑に落ちない物はあるが、断る理由は一応なかった。
「あともう一点、エルザ、テメーに言いたいことがある」
カンダタは巨体を乗り出し、こちらに顔を近づけてくる。
ふざけているわけではないというのは雰囲気でわかった。
ごく真剣に訊いてくる。
「テメー、オレ様が船を出すにあたって往路は用心棒を買って出ると言ってくれたがよ。
テメーら全員、メダチャットで降りっちまうだろ。復路はどうしてくれる気だ?」
あー、と思う。何も考えてなかった。
多分今更こんなことを言い出すあたり、カンダタ自身今しがた思いついた難癖といったところだろう。
「そうだな…貸しにしといて」
数秒考え、そう言う。
は?とカンダタが聞き返してくるが、気にしない。
「これが終わったら、一回タダ働きしてあげる。必要な時にいつでも声をかけて。
あなたのお友だちのビビアンちゃんと、ハンフリーが証人ね」
給仕のバニーさんにお願いして、紙とペンを借りる。
そこに必要事項(特に売春や犯罪行為は行わない旨を強調して)を記した即席の名刺を作った。
「は、ちゃっかり営業たァ抜け目がねえな」
「仕事熱心なのはお互い様でしょ」
そう言いつつメモを受け取るカンダタと、視線を交錯させる。交渉は成立したと言っていいだろう。
「話がまとまったところで、明日からは久々の仕事だ、楽しく飲もうじゃねえか!!
おら!ハンフリー!遠慮してんじゃねえ!!」
「いやオレは…」
「あああん!?オレ様の酒がのめねーってのか!?」
カンダタの豪快な哄笑、子分たちの賛同。
酒場がすっかり元の騒がしい雰囲気に戻っていく。
今日の客の3分の1はカンダタ海賊団とその関係者だったためだ。
他の客は萎縮していたんだと思うと少し申し訳なくなった。
「きゃーん!センチョーかっこいー!イッキ!イッキ!」
そんなことはお構いなしにはしゃぎまくるビビアンちゃん。
シルビアさんやマルティナさんにも通じるけども、この子の本心はいまいち計り知れない。
「煽ったな!?煽ったなビビアンちゃん!?オレ様ちょーーーーっとばかしはりきっちまうぞぉおおーーーーっ!?」
良い子は真似してはいけません。
しかし、カンダタはとても悪い子である。
巨体なジョッキを手に、カンダタは椅子から立ち上がり、ふんぞり返る。
今まさに海賊の親分のイッキ飲みショーが始まるところだった。
「大変だ!ハンフリー!!」
息を切らし、飛び込んできたのはマスク・ザ・ハンサム。
「どうした?」
ハンフリーが問いかけるも、ハンサムは返事をしない。
というか、よほど全力で走ったのだろう。ぜいぜいと息切れを起こして喋れないといった風だった。
「ラゴス、だいじょうぶ?お水飲む?」
「ボクは……ラゴスじゃないと言ってるだろ……」
それでもビビアンちゃんにツッコミを入れるくらいの余裕はあるようだ、というべきだろうか。
ハンサムはグラスの中身を少し零しつつも一気に飲み干し、ぐいっと口元を袖で拭う。
「すぐに来てくれ……。子どもが消えた」
少し落ち着きを取り戻した彼が言ったのは、あまりに絶望的な事態だった。