Hevenly sun
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「ねっ。エルザちゃん、だっけ」
いつの間にかビビアンちゃんがこちらに近寄ってくる。
「ラゴスとはずいぶん仲良いみたいだけど。ラゴスはビビアンちゃんのだから。手を出さないでちょうだいね」
まさかの宣戦布告だった。
「あ、全然どうぞ。むしろいらないんで引き取ってくださいライバルも減るし」
そ、そう。とビビアンちゃんは拍子抜けを通り越した返事に引き気味になる。
私はハンサムのことはそもそもなんとも思っていないのであった。
「おいエルザもビビアンも。お前らマジでいい加減にしろ」
そこへ口を挟んできたのが当事者のハンサム。
そもそも別に彼がいない場での話し合いでもなかったので、当然といえば当然だが。
「大体な、ビビアン。ボクは何度も言ってるだろう。ボクには、もう心に決めた人がいると…!」
うっとりとした乙女の顔で己の恋心を語るハンサムに、ビビアンちゃんはきょとんとした顔で訊ねる。
「シルビアさんだっけ。あの踊り子?の」
「惜しい。旅芸人だ」
確かにグロッタが救われた日にステージで踊っていたけれども。
何かと誤解されがちだが彼は旅芸人である。
たしかになんかほぼダンスしか見たことない気がするけども。
そんなことよりもハンサムと台詞が被ってしまったので大層嫌な気分になった。
「んー。確かにあの人かっこいいけど、もう恋人いたでしょ?しかも女のコの」
「は!?」
色を失うハンサムに、ビビアンちゃんは無意識に追い打ちをかける。
「ブラッドレディだったころの記憶がビビアンちゃんちょっとだけ残ってるんだけどね、
その時に見ちゃったの。
あの状況でなぜか歌の練習してる女のコと、そのコに妙にべったりなシルビアさんってヒト」
「その恋人って…ど、どんなやつだった!?」
「こんなやつ」
ビビアンちゃんは容赦なかった。
当然のように私を指差す。
別に深くは考えていなかったのだろう。
「どうもー…」
ハンサムから湧き上がる怒気と殺気に、私は珍しくも怯えていた。
★★★
「音程がズレてるわよんエルザちゃん」
「ごめんなさい。音程もリズムも魔力もってなると、さすがに調整が難しくて」
「…たたかいの歌って便利だけど繊細な技巧が求められるのよ。魅せる必要もあるしね。
だから旅芸人でも使い手は限られてるくらい。
…未だにその境地に至らないから偉そうに言えたことじゃないけど、
でもエルザちゃんならできるってアタシは確信してる」
そう言ってシルビアさんは優しく、力強く微笑むと頭を撫でてくれた。
この人に期待されたからには応えなくてはいけない。
良い意味で緊張感を持ちながら水を飲んで口と喉を湿らせる。
「そう言われたからには、やりきるよ私は。期待に応えるのも傭兵の仕事!」
「それでこそエルザちゃんよ!よーし!時間もないしビシバシいくわよ!」
★★★
あの時のシルビアさんとの記憶がやけに鮮明に蘇る。
同じく厳しい時だったけれど、今よりずっと幸せだった頃の記憶。
まだ決定的に挫折していなくて、この世界を少しでもなんとかしてやろうと足掻けていた頃の記憶。
完全に走馬灯だった。
二本の短剣を抜き、黒いオーラをまといつつゆらりと立つハンサムを目の前にして。
「ボクの不在を良いことに抜けがけしやがって…!殺してやる!!」
「ひっ!今私ラゴスが初めて怖いって思ってる助けてビビアンちゃん!!」
「あらあらうふふたいへんなことになったわー」
「めっちゃ棒読み!!」
「ラゴスじゃない!!ボクはマスク・ザ・ハンサム!!
シルビアさんをたぶらかす不届き者を許しはしない!!!」
ラスボスみたいなことを言いながら斬りかかってくる彼を相手にやり返すこともできず、
ただ逃げ回るしかなかった。
そしてこれは、見かねたビビアンちゃんがハンサムにラリホーをかけるまで続いた。
いつの間にかビビアンちゃんがこちらに近寄ってくる。
「ラゴスとはずいぶん仲良いみたいだけど。ラゴスはビビアンちゃんのだから。手を出さないでちょうだいね」
まさかの宣戦布告だった。
「あ、全然どうぞ。むしろいらないんで引き取ってくださいライバルも減るし」
そ、そう。とビビアンちゃんは拍子抜けを通り越した返事に引き気味になる。
私はハンサムのことはそもそもなんとも思っていないのであった。
「おいエルザもビビアンも。お前らマジでいい加減にしろ」
そこへ口を挟んできたのが当事者のハンサム。
そもそも別に彼がいない場での話し合いでもなかったので、当然といえば当然だが。
「大体な、ビビアン。ボクは何度も言ってるだろう。ボクには、もう心に決めた人がいると…!」
うっとりとした乙女の顔で己の恋心を語るハンサムに、ビビアンちゃんはきょとんとした顔で訊ねる。
「シルビアさんだっけ。あの踊り子?の」
「惜しい。旅芸人だ」
確かにグロッタが救われた日にステージで踊っていたけれども。
何かと誤解されがちだが彼は旅芸人である。
たしかになんかほぼダンスしか見たことない気がするけども。
そんなことよりもハンサムと台詞が被ってしまったので大層嫌な気分になった。
「んー。確かにあの人かっこいいけど、もう恋人いたでしょ?しかも女のコの」
「は!?」
色を失うハンサムに、ビビアンちゃんは無意識に追い打ちをかける。
「ブラッドレディだったころの記憶がビビアンちゃんちょっとだけ残ってるんだけどね、
その時に見ちゃったの。
あの状況でなぜか歌の練習してる女のコと、そのコに妙にべったりなシルビアさんってヒト」
「その恋人って…ど、どんなやつだった!?」
「こんなやつ」
ビビアンちゃんは容赦なかった。
当然のように私を指差す。
別に深くは考えていなかったのだろう。
「どうもー…」
ハンサムから湧き上がる怒気と殺気に、私は珍しくも怯えていた。
★★★
「音程がズレてるわよんエルザちゃん」
「ごめんなさい。音程もリズムも魔力もってなると、さすがに調整が難しくて」
「…たたかいの歌って便利だけど繊細な技巧が求められるのよ。魅せる必要もあるしね。
だから旅芸人でも使い手は限られてるくらい。
…未だにその境地に至らないから偉そうに言えたことじゃないけど、
でもエルザちゃんならできるってアタシは確信してる」
そう言ってシルビアさんは優しく、力強く微笑むと頭を撫でてくれた。
この人に期待されたからには応えなくてはいけない。
良い意味で緊張感を持ちながら水を飲んで口と喉を湿らせる。
「そう言われたからには、やりきるよ私は。期待に応えるのも傭兵の仕事!」
「それでこそエルザちゃんよ!よーし!時間もないしビシバシいくわよ!」
★★★
あの時のシルビアさんとの記憶がやけに鮮明に蘇る。
同じく厳しい時だったけれど、今よりずっと幸せだった頃の記憶。
まだ決定的に挫折していなくて、この世界を少しでもなんとかしてやろうと足掻けていた頃の記憶。
完全に走馬灯だった。
二本の短剣を抜き、黒いオーラをまといつつゆらりと立つハンサムを目の前にして。
「ボクの不在を良いことに抜けがけしやがって…!殺してやる!!」
「ひっ!今私ラゴスが初めて怖いって思ってる助けてビビアンちゃん!!」
「あらあらうふふたいへんなことになったわー」
「めっちゃ棒読み!!」
「ラゴスじゃない!!ボクはマスク・ザ・ハンサム!!
シルビアさんをたぶらかす不届き者を許しはしない!!!」
ラスボスみたいなことを言いながら斬りかかってくる彼を相手にやり返すこともできず、
ただ逃げ回るしかなかった。
そしてこれは、見かねたビビアンちゃんがハンサムにラリホーをかけるまで続いた。