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ソルティコの領主への依頼は、ロウさんのお陰で滞りなく終わったらしい。
晴れやかな勇者様たちの顔がそれを物語っていた。
それにしては少し帰りが遅かったんじゃないかと思ったけれど、
あの町は静かな佇まいに似合わずカジノがあったらしく、そこで遊んでいたんだそうだ。
割と俗っぽいところがあるカミュくんもここを訪れたばかりの時とは違い、大満足のようである。
急ぎの旅じゃなかったかとは思うが、少しくらいならいいのだろう。
あと何気なくマルティナさんの衣装がバニースーツに変貌していたけれど、ツッコまなくて良いのかな。
そういう期待を込めて(旅)芸人の方を見てみた。
けれど、彼は新衣装かわいいわねとマルティナさんを褒めこそしたものの深く触れることはなかった。
「カジノ、結構悪くなかったぜ。エルザもほどほどに楽しめよ」
そう言ってカミュくんはカジノの戦利品であるという魔法の聖水をくれた。
言うまでもなく餞別というやつである。
ありがとうと遠慮なく受け取り、みんなの方に向き直る。私はここでお別れだ。
「みんな、迷惑かけて本当にごめんなさい。そして本当にありがとう。この恩と借りはいずれ、でも必ず返します」
深々とお辞儀をする。
これから私はここでしばらく潜伏生活に入るというのは、シルビアさんの指示だ。
曰く、ここの領主はデルカダールと懇意にこそしているが、
たとえ王であっても領地のことには手はもちろん滅多に口も出させないらしい。
最近はその傾向が更に強くなっていて領主は意固地になっているという噂まで聞くのだと言うが、
とにかくデルカダールから逃げる身としてはこれ以上のことはなかった。
「本当に私たちには同行してくださらないのですか…?」
社交辞令半分だろうが、セーニャさんが少し寂しそうに聞いてくる。
「今の私が行っても、きっと足を引っ張るだけだから」
私は苦笑いで返した。
本当は笑ってる場合ではないのだけど。彼らが負ってる使命はあまりにも重い。
できれば私も手伝いはしたいのだけれど、今の私ではきっと更に負担を増やしてしまうのは明白。
剣の腕も、心も。あまりにも弱い。
「…落ちついたらさ、またあなたたちのお手伝いさせてほしいな。
今度は裏切らない。もう、絶対に」
意識したのか無意識だったのか自分でもわからない。
ぐるりと見まわして私はみんなに言ったつもりだった。
…けれどなぜか最後に目があったのはシルビアさんだった。
「っていっても説得力ないか」
つい彼を意識してしまっていた自分を誤魔化すように少し冗談めかす。
「あったりまえよ!次会ったらこき使うんだから!」
腰に手を当てそんなことを言うベロニカちゃんだけど、怒っているかというと若干違うようだった。
「だから元気でいるのよ」
「それこそ当たり前よ」
この子には本当に悪いことをしてしまった。だからあえて短く返す。
せめて彼女の要求には黙って応えるべきだろう。
「勇者様とみなさんの、旅の無事と成功を祈ってます」
「ええ、エルザちゃんも。…またね」
無口なリーダーの代わりにシルビアさんがそう〆た。
こうして一同はシルビア号に乗り込み外海へ出て、新たな地を目指す。
私は船影が見えなくなるまで、寂寥感と共にじっとそこに立ち尽くしていた。
晴れやかな勇者様たちの顔がそれを物語っていた。
それにしては少し帰りが遅かったんじゃないかと思ったけれど、
あの町は静かな佇まいに似合わずカジノがあったらしく、そこで遊んでいたんだそうだ。
割と俗っぽいところがあるカミュくんもここを訪れたばかりの時とは違い、大満足のようである。
急ぎの旅じゃなかったかとは思うが、少しくらいならいいのだろう。
あと何気なくマルティナさんの衣装がバニースーツに変貌していたけれど、ツッコまなくて良いのかな。
そういう期待を込めて(旅)芸人の方を見てみた。
けれど、彼は新衣装かわいいわねとマルティナさんを褒めこそしたものの深く触れることはなかった。
「カジノ、結構悪くなかったぜ。エルザもほどほどに楽しめよ」
そう言ってカミュくんはカジノの戦利品であるという魔法の聖水をくれた。
言うまでもなく餞別というやつである。
ありがとうと遠慮なく受け取り、みんなの方に向き直る。私はここでお別れだ。
「みんな、迷惑かけて本当にごめんなさい。そして本当にありがとう。この恩と借りはいずれ、でも必ず返します」
深々とお辞儀をする。
これから私はここでしばらく潜伏生活に入るというのは、シルビアさんの指示だ。
曰く、ここの領主はデルカダールと懇意にこそしているが、
たとえ王であっても領地のことには手はもちろん滅多に口も出させないらしい。
最近はその傾向が更に強くなっていて領主は意固地になっているという噂まで聞くのだと言うが、
とにかくデルカダールから逃げる身としてはこれ以上のことはなかった。
「本当に私たちには同行してくださらないのですか…?」
社交辞令半分だろうが、セーニャさんが少し寂しそうに聞いてくる。
「今の私が行っても、きっと足を引っ張るだけだから」
私は苦笑いで返した。
本当は笑ってる場合ではないのだけど。彼らが負ってる使命はあまりにも重い。
できれば私も手伝いはしたいのだけれど、今の私ではきっと更に負担を増やしてしまうのは明白。
剣の腕も、心も。あまりにも弱い。
「…落ちついたらさ、またあなたたちのお手伝いさせてほしいな。
今度は裏切らない。もう、絶対に」
意識したのか無意識だったのか自分でもわからない。
ぐるりと見まわして私はみんなに言ったつもりだった。
…けれどなぜか最後に目があったのはシルビアさんだった。
「っていっても説得力ないか」
つい彼を意識してしまっていた自分を誤魔化すように少し冗談めかす。
「あったりまえよ!次会ったらこき使うんだから!」
腰に手を当てそんなことを言うベロニカちゃんだけど、怒っているかというと若干違うようだった。
「だから元気でいるのよ」
「それこそ当たり前よ」
この子には本当に悪いことをしてしまった。だからあえて短く返す。
せめて彼女の要求には黙って応えるべきだろう。
「勇者様とみなさんの、旅の無事と成功を祈ってます」
「ええ、エルザちゃんも。…またね」
無口なリーダーの代わりにシルビアさんがそう〆た。
こうして一同はシルビア号に乗り込み外海へ出て、新たな地を目指す。
私は船影が見えなくなるまで、寂寥感と共にじっとそこに立ち尽くしていた。