夢新訳:異変後グロッタ
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命の大樹が枯れ堕ちてから、
ロトゼタシアの大地は荒れ狂った気象と凶悪化した魔物に蹂躙され、
まさに地獄絵図と化していた。
その様は見てこそいないが後に知った。
事の詳細をどこで聞きつけたか、
新聞屋が号外をばらまいていたことがそのきっかけだったのだが、
その人は目の前でよろいのきしに殴り殺された。
その後も似たような修羅場に幾度も巻き込まれつつ命からがらグロッタの街までたどり着いたはずなのだが、
嘘みたいに平和な様子に私も当初は混乱したものだ。
と言っても街そのものは、夥しい数の魔物に占拠されているのだけど。
前訪れた時よりも人口があからさまに減っているのも気になった。
魔物共は我々に怯えているだけとは言うが。
『我々はむしろ、人間と面白おかしく暮らしたいくらいだ』
下卑た笑みを浮かべつつそんなことを宣うような奴ら。
何を考えているのかはわからないが、一人ではとかくどうすることもできない。
以前のように勇者様と組むことができたら、
その日中に街を人間の元に取り返すこともできたのだが。
ないものねだりはできない。
それ以前にいくら不思議なまでに強い彼らといえども、
このようなおぞましい天変地異の後だとそもそも生死すら不明だった。
皆大切な友人であり、もし誰かが亡くなっているとしたらなんて想像するだけで――。
いや、きっと彼らはどこかでみんな無事だと頭を振る。
ただ今は頼れない、それだけだと思わなければならない。
とにかく、今自分にできることをしなければ。
きっとあの人たちならば、シルビアさんならそうするはずだから。
と、密かに決意を固める。
それでもまずは様子を見る必要があると判断し、
魔物だらけの街に身を潜めることを決意したのが一日目。
お店屋さんごっこをしているモンスターならそう無茶をしないだろうと、
情報収集のためにコンタクトを取り始めたのが二日目。
ここにいる異形たちは、人間が思うより知性が高いということがわかった。
三日目は前日までに得られた情報から、
闘技場を改造して作られたというモンスターカジノに客として乗り込んでいた。
そして四日目、五日目と経て――。
今、びっくりするくらい勝っている。
「おうおう、今日もやっとるにゃあエルザちゃん」
カジノの花形・5レーンスロット。
私の隣に座るは、仲良くなったとらおとこのニャオスさん。
にこにこと私の勝ちを祝福してくれる。
恐い外見とは裏腹に、気が良くて優しいモンスターだ。
「ありがとうございますー。ニャオスさんは調子いかがです?」
「そりゃあもうがっつりばっつり儲けてンよぉ!ったく笑いが止まらんにゃー」
山になったコインケースを傍らに、ニャオスさんはがははと豪快に笑う。
負けじと私もファイブセブンを並べる。
私を祝福するかのような、派手な音と光が演出される。
じゃんじゃらと騒がしくいつまでも吐き出されまくるコイン。
やばい。これちょー気持ちいい。
元々カジノは好きだったけど、これは依存してしまいそうだ。
これだけ勝ちまくれるなら、いつまでも打っていたいとすら思う。
「ほーうこれはまたずいぶんと派手に勝ってますねぇ」
「あ、ナスティさん」
私の台をおもむろに覗き込んで(?)くるのはデュラハーンのナスティさん。
その首のない騎士然とした見た目が災いして、
人間はおろか魔物にすら怖がられている場面もよく見る。
確かに態度や行動こそ外見に沿って不気味なものの、
その実色んな情報や時には差し入れなどを気前よくくれる良いモンスターだ。
「このぶんだと、アレですね。
エルザさんも、もうすぐVIPルームに行けるかもしれませんね」
「VIPルーム?」
「俺も知らんね。なんにゃそりゃあ」
「VIPルームというのはそうですね。
コインをたくさん貯めた人やモンスターたちだけがですね、入ることができるんですね」
「それでそれで?」
「なんでもですねぇ、きれいなメスのスタッフに囲まれて…、ここよりももっと高レートで賭けができるとか」
「きれいなメスのスタッフ!?そりゃたまらん!!」
テンションをあげるニャオスさん。
きれいなメスのスタッフの接客には彼ほどの興味はわかなかったけれど、
高レートの方は中々…いやそうじゃなくて。
事件の黒幕に近づくためにスロット回してるんだった。
そういえば。
「ま、俺としてはエルザちゃんに濃厚に接客してほしいんにゃが」
「うふふー。ニャオスさんそれセクハラー」
楽しんでいる場合じゃないことを思い出した私は、再びスロットを回す。
これも全て事件を解決するためだ。
よしメタルスピン継続。あー、幸せ。
「ねえ…エルザちゃん?
あなたもしかしてエルザちゃんなの?」
それからしばらく。
世界の異変後、二度と聞くことはないと思っていた声が、ふと私を正気の世界に帰した。
まさか、幻聴じゃないよなと思いつつも振り向く。
シルビアさんと勇者様、ロウさんとグレイグさまが確かにそこにいた。
「生きて…たんだ…」
ぽつんと呟くと、涙が溢れてきた。
いない人もやはりというべきか、いる。
更には、彼らが敵対していたはずのデルカダールの将軍様がいたりすること自体に違和感はあった。
しかしそれでも。少なくともこの四人に関してはあのあれの後でも無事だったんだ。
そう思うともう、嬉しさで涙が止まらなかった。
ロトゼタシアの大地は荒れ狂った気象と凶悪化した魔物に蹂躙され、
まさに地獄絵図と化していた。
その様は見てこそいないが後に知った。
事の詳細をどこで聞きつけたか、
新聞屋が号外をばらまいていたことがそのきっかけだったのだが、
その人は目の前でよろいのきしに殴り殺された。
その後も似たような修羅場に幾度も巻き込まれつつ命からがらグロッタの街までたどり着いたはずなのだが、
嘘みたいに平和な様子に私も当初は混乱したものだ。
と言っても街そのものは、夥しい数の魔物に占拠されているのだけど。
前訪れた時よりも人口があからさまに減っているのも気になった。
魔物共は我々に怯えているだけとは言うが。
『我々はむしろ、人間と面白おかしく暮らしたいくらいだ』
下卑た笑みを浮かべつつそんなことを宣うような奴ら。
何を考えているのかはわからないが、一人ではとかくどうすることもできない。
以前のように勇者様と組むことができたら、
その日中に街を人間の元に取り返すこともできたのだが。
ないものねだりはできない。
それ以前にいくら不思議なまでに強い彼らといえども、
このようなおぞましい天変地異の後だとそもそも生死すら不明だった。
皆大切な友人であり、もし誰かが亡くなっているとしたらなんて想像するだけで――。
いや、きっと彼らはどこかでみんな無事だと頭を振る。
ただ今は頼れない、それだけだと思わなければならない。
とにかく、今自分にできることをしなければ。
きっとあの人たちならば、シルビアさんならそうするはずだから。
と、密かに決意を固める。
それでもまずは様子を見る必要があると判断し、
魔物だらけの街に身を潜めることを決意したのが一日目。
お店屋さんごっこをしているモンスターならそう無茶をしないだろうと、
情報収集のためにコンタクトを取り始めたのが二日目。
ここにいる異形たちは、人間が思うより知性が高いということがわかった。
三日目は前日までに得られた情報から、
闘技場を改造して作られたというモンスターカジノに客として乗り込んでいた。
そして四日目、五日目と経て――。
今、びっくりするくらい勝っている。
「おうおう、今日もやっとるにゃあエルザちゃん」
カジノの花形・5レーンスロット。
私の隣に座るは、仲良くなったとらおとこのニャオスさん。
にこにこと私の勝ちを祝福してくれる。
恐い外見とは裏腹に、気が良くて優しいモンスターだ。
「ありがとうございますー。ニャオスさんは調子いかがです?」
「そりゃあもうがっつりばっつり儲けてンよぉ!ったく笑いが止まらんにゃー」
山になったコインケースを傍らに、ニャオスさんはがははと豪快に笑う。
負けじと私もファイブセブンを並べる。
私を祝福するかのような、派手な音と光が演出される。
じゃんじゃらと騒がしくいつまでも吐き出されまくるコイン。
やばい。これちょー気持ちいい。
元々カジノは好きだったけど、これは依存してしまいそうだ。
これだけ勝ちまくれるなら、いつまでも打っていたいとすら思う。
「ほーうこれはまたずいぶんと派手に勝ってますねぇ」
「あ、ナスティさん」
私の台をおもむろに覗き込んで(?)くるのはデュラハーンのナスティさん。
その首のない騎士然とした見た目が災いして、
人間はおろか魔物にすら怖がられている場面もよく見る。
確かに態度や行動こそ外見に沿って不気味なものの、
その実色んな情報や時には差し入れなどを気前よくくれる良いモンスターだ。
「このぶんだと、アレですね。
エルザさんも、もうすぐVIPルームに行けるかもしれませんね」
「VIPルーム?」
「俺も知らんね。なんにゃそりゃあ」
「VIPルームというのはそうですね。
コインをたくさん貯めた人やモンスターたちだけがですね、入ることができるんですね」
「それでそれで?」
「なんでもですねぇ、きれいなメスのスタッフに囲まれて…、ここよりももっと高レートで賭けができるとか」
「きれいなメスのスタッフ!?そりゃたまらん!!」
テンションをあげるニャオスさん。
きれいなメスのスタッフの接客には彼ほどの興味はわかなかったけれど、
高レートの方は中々…いやそうじゃなくて。
事件の黒幕に近づくためにスロット回してるんだった。
そういえば。
「ま、俺としてはエルザちゃんに濃厚に接客してほしいんにゃが」
「うふふー。ニャオスさんそれセクハラー」
楽しんでいる場合じゃないことを思い出した私は、再びスロットを回す。
これも全て事件を解決するためだ。
よしメタルスピン継続。あー、幸せ。
「ねえ…エルザちゃん?
あなたもしかしてエルザちゃんなの?」
それからしばらく。
世界の異変後、二度と聞くことはないと思っていた声が、ふと私を正気の世界に帰した。
まさか、幻聴じゃないよなと思いつつも振り向く。
シルビアさんと勇者様、ロウさんとグレイグさまが確かにそこにいた。
「生きて…たんだ…」
ぽつんと呟くと、涙が溢れてきた。
いない人もやはりというべきか、いる。
更には、彼らが敵対していたはずのデルカダールの将軍様がいたりすること自体に違和感はあった。
しかしそれでも。少なくともこの四人に関してはあのあれの後でも無事だったんだ。
そう思うともう、嬉しさで涙が止まらなかった。