シルビアさんに壁ドンしてみた
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なぜおネエであるシルビアさんに惚れてしまったのか。
という命題がある。
そんなの簡単だ。
サーカスで素晴らしいパフォーマンスを披露していたこと。
さっぱりとした明るい性格で、とても真面目な努力家で、それにすごく優しいこと。
細やかな気配りも得意だし、力強く周りを引っ張ることだってできるムードメーカー。
あとふつうに美形。
根拠を挙げれば何せキリがない。
完璧超人シルビアさん。
我ながらバイアスがかかっている自覚はあるけれど、そうは言ってもそう的外れではない人物評だろう。
けれどもシルビアさんも人間だ。
欠点が全くないわけではない。
「みんなとはぐれちゃいましたね」
「困ったわ…。アタシもエルザちゃんも苦手なのに…」
攻撃。魔物を殴り倒す、端的に言えば火力。
これがシルビアさんは苦手分野だった。
いや、そもそもサポート特化の戦闘スタイルだから、欠点と言うのも違う気もするけれど。
それでもあえて無理矢理挙げるとすればそこに尽きた。
つまりこの人は勇者様やマルティナさんみたいな、攻撃が得意な仲間がいてこそ初めて輝くタイプなのだ。
内助の功。縁の下の力持ち。
派手な外見や立ち回りとはギャップがあってこれはこれで素敵なのだけど、今ばかりは中々歓迎し辛い。
だって凶悪な魔物が潜む洞窟の中で、私たち二人は仲間たちとはぐれてしまったのだから。
じゃあ私が表立って戦えば良いのでないか、
という話になるが、私もサポート特化の戦闘スタイルゆえに、こういう場面ではどうにも相性が悪いのである。
こんな現実がなければ、少しはシルビアさんと二人きりになれたことを喜べたのかもしれないのだけれど。
「ごめんなさい。私があの時…」
あの時、突然降ってきた赤い巨体。
おにこんぼう。
怪力自慢の魔物の巨大棍棒が打ち壊したのは狙われた私ではなく、その足元だった。
下の階に落下しかける私の腕をシルビアさんが咄嗟に掴んでくれたのはよかったけれど、
引き上げるまでは叶わず――結局二人して落ちてしまった。
「言いっこなしよ。アタシだって失敗したんだもの」
「でも…」
「それに」
シルビアさんが私の口もとに指を立てる。
目を白黒させ黙りこくる私に、優しくほほ笑みかけてきた。
「エルザちゃんが一人ではぐれるよりはずっといいわ。ここ、相当危険な魔物がいるみたいだし」
かあっと体温が上がる。
この人はわかっててやっているんじゃなかろうか、
と真剣に考えかけてしかし、
シルビアさんの顔が警戒のそれで険しくなっていることに気づく。
私の、後ろの方。
完全に油断していたことを恥じながら振り向く。
赤い巨体。しかしそいつはおにこんぼうではない。
ただでさえ屈強な身体を更にゴリゴリに鍛え上げ、脂肪を極限まで削ぎ落とした肉体美の持ち主。
「最悪ね…」
珍しく弱音に近いことをシルビアさんが言う。
考える限り、今最も会いたくない部類の魔物。
メガトンケイル。
咄嗟の判断で剣を抜く。
メイン武器たる杖は現状どうせ使い物にならない。
とにかく、戦略を立てよう。
前提として、いくらシルビアさんが攻撃が苦手といっても、私よりははるかに戦える。
バイキルトやフォースなどで、徹底的に彼を強化することをまずは優先しよう。
本当は、相手の厄介な特技を披露させる前に速攻を決めてしまうのがセオリーなのだが、
頑強な相手にそれができるのはそれこそバトルマスターや武闘家などのアタッカーだ。
旅芸人や魔法戦士の出る幕は、本来まずないくらい。
それでもやらなければならない場合は、とにかく負けないための戦法を。
そしてシルビアさんも、恐らく同じような作戦を立てたらしい。
「アタシが前に立つわ」
「じゃあ私はサポートね、任せて。まずはフォース?キルト?それともピ・オ・リ・ム?」
「バイキルトお願い」
冗談めかした私の問に、シルビアさんはらしくなかったわと少し笑う。
ムチを構え、強かに打ち鳴らした。
「いくわよ、エルザちゃん!」
「!!」
合図とともに、詠唱したバイキルトの魔力をシルビアさんに注いだ。
という命題がある。
そんなの簡単だ。
サーカスで素晴らしいパフォーマンスを披露していたこと。
さっぱりとした明るい性格で、とても真面目な努力家で、それにすごく優しいこと。
細やかな気配りも得意だし、力強く周りを引っ張ることだってできるムードメーカー。
あとふつうに美形。
根拠を挙げれば何せキリがない。
完璧超人シルビアさん。
我ながらバイアスがかかっている自覚はあるけれど、そうは言ってもそう的外れではない人物評だろう。
けれどもシルビアさんも人間だ。
欠点が全くないわけではない。
「みんなとはぐれちゃいましたね」
「困ったわ…。アタシもエルザちゃんも苦手なのに…」
攻撃。魔物を殴り倒す、端的に言えば火力。
これがシルビアさんは苦手分野だった。
いや、そもそもサポート特化の戦闘スタイルだから、欠点と言うのも違う気もするけれど。
それでもあえて無理矢理挙げるとすればそこに尽きた。
つまりこの人は勇者様やマルティナさんみたいな、攻撃が得意な仲間がいてこそ初めて輝くタイプなのだ。
内助の功。縁の下の力持ち。
派手な外見や立ち回りとはギャップがあってこれはこれで素敵なのだけど、今ばかりは中々歓迎し辛い。
だって凶悪な魔物が潜む洞窟の中で、私たち二人は仲間たちとはぐれてしまったのだから。
じゃあ私が表立って戦えば良いのでないか、
という話になるが、私もサポート特化の戦闘スタイルゆえに、こういう場面ではどうにも相性が悪いのである。
こんな現実がなければ、少しはシルビアさんと二人きりになれたことを喜べたのかもしれないのだけれど。
「ごめんなさい。私があの時…」
あの時、突然降ってきた赤い巨体。
おにこんぼう。
怪力自慢の魔物の巨大棍棒が打ち壊したのは狙われた私ではなく、その足元だった。
下の階に落下しかける私の腕をシルビアさんが咄嗟に掴んでくれたのはよかったけれど、
引き上げるまでは叶わず――結局二人して落ちてしまった。
「言いっこなしよ。アタシだって失敗したんだもの」
「でも…」
「それに」
シルビアさんが私の口もとに指を立てる。
目を白黒させ黙りこくる私に、優しくほほ笑みかけてきた。
「エルザちゃんが一人ではぐれるよりはずっといいわ。ここ、相当危険な魔物がいるみたいだし」
かあっと体温が上がる。
この人はわかっててやっているんじゃなかろうか、
と真剣に考えかけてしかし、
シルビアさんの顔が警戒のそれで険しくなっていることに気づく。
私の、後ろの方。
完全に油断していたことを恥じながら振り向く。
赤い巨体。しかしそいつはおにこんぼうではない。
ただでさえ屈強な身体を更にゴリゴリに鍛え上げ、脂肪を極限まで削ぎ落とした肉体美の持ち主。
「最悪ね…」
珍しく弱音に近いことをシルビアさんが言う。
考える限り、今最も会いたくない部類の魔物。
メガトンケイル。
咄嗟の判断で剣を抜く。
メイン武器たる杖は現状どうせ使い物にならない。
とにかく、戦略を立てよう。
前提として、いくらシルビアさんが攻撃が苦手といっても、私よりははるかに戦える。
バイキルトやフォースなどで、徹底的に彼を強化することをまずは優先しよう。
本当は、相手の厄介な特技を披露させる前に速攻を決めてしまうのがセオリーなのだが、
頑強な相手にそれができるのはそれこそバトルマスターや武闘家などのアタッカーだ。
旅芸人や魔法戦士の出る幕は、本来まずないくらい。
それでもやらなければならない場合は、とにかく負けないための戦法を。
そしてシルビアさんも、恐らく同じような作戦を立てたらしい。
「アタシが前に立つわ」
「じゃあ私はサポートね、任せて。まずはフォース?キルト?それともピ・オ・リ・ム?」
「バイキルトお願い」
冗談めかした私の問に、シルビアさんはらしくなかったわと少し笑う。
ムチを構え、強かに打ち鳴らした。
「いくわよ、エルザちゃん!」
「!!」
合図とともに、詠唱したバイキルトの魔力をシルビアさんに注いだ。