第三回デルカダール軍特別会議
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「恐れていた事態が起きたわ」
「な、何をいうか姫!紛うことなく、これは美しい光景のはずじゃ!」
「ええそうですわねロウ様。
でもどうせなら、自室を友人の逢引の間にされた私の気持ち考えてくださいますか?」
「それを言われると、何も返せなくなってしまうわい……」
その時のマルティナ姫のいっそ気持ちの良い笑顔は、なんとも言えぬ恐ろしいものであった。
もちろんこれは怒っているのだと、長年の経験より察する。
とはいうものの彼女ならば文句の一つでも言いそうなものだが、それはしないらしい。
……もしかしたら姫なりに、ホメロスをエルザに託すことに、罪悪感を覚えているのかも知れない。
「あの女は何を勘違いしているのだ。私が何をどうまかり間違えばあれに恋慕すると?」
心底嫌そうにホメロスが顔を歪める。
実体があれば今にも剣を抜かんとせんばかりだ。
この男はデルカダールの軍師として優秀だと思っていたこともある。
しかしその時期ですらかなり短気であり、なおかつ感情が表に出過ぎているのが玉に瑕であった。
おまけにプライドが矢鱈と高いので、そのような幼いとも言える欠点を指摘しようものなら怒り散らすだろう。
そんな一言でまとめればいかにも厄介な霊を宥めるのは、旧来の親友。
今回ワシをして甘いと言わざるを得ない判断を下したデルカダール将軍に、どのような評価の判を押すべきか。
……もっとも、責任感は強いグレイグなので、何か考えはあるものだろうと見てはいるが。
横目で伺いながら少し離れたところでイチャついているようにしか見えないシルビアとエルザについてグチを発し始めたマルティナに向き直る。
彼女は決してネチネチとした性格ではないがこうなると長い。
もしかしたら、結婚しても不思議でない年齢がそうさせる理由かも知れぬが……口にすればその瞬間がワシの最期であろうな。
いずれにしても今は覚悟を決めねばなるまい。
……これから、鬼も蛇も出ねば良いのだが。
「な、何をいうか姫!紛うことなく、これは美しい光景のはずじゃ!」
「ええそうですわねロウ様。
でもどうせなら、自室を友人の逢引の間にされた私の気持ち考えてくださいますか?」
「それを言われると、何も返せなくなってしまうわい……」
その時のマルティナ姫のいっそ気持ちの良い笑顔は、なんとも言えぬ恐ろしいものであった。
もちろんこれは怒っているのだと、長年の経験より察する。
とはいうものの彼女ならば文句の一つでも言いそうなものだが、それはしないらしい。
……もしかしたら姫なりに、ホメロスをエルザに託すことに、罪悪感を覚えているのかも知れない。
「あの女は何を勘違いしているのだ。私が何をどうまかり間違えばあれに恋慕すると?」
心底嫌そうにホメロスが顔を歪める。
実体があれば今にも剣を抜かんとせんばかりだ。
この男はデルカダールの軍師として優秀だと思っていたこともある。
しかしその時期ですらかなり短気であり、なおかつ感情が表に出過ぎているのが玉に瑕であった。
おまけにプライドが矢鱈と高いので、そのような幼いとも言える欠点を指摘しようものなら怒り散らすだろう。
そんな一言でまとめればいかにも厄介な霊を宥めるのは、旧来の親友。
今回ワシをして甘いと言わざるを得ない判断を下したデルカダール将軍に、どのような評価の判を押すべきか。
……もっとも、責任感は強いグレイグなので、何か考えはあるものだろうと見てはいるが。
横目で伺いながら少し離れたところでイチャついているようにしか見えないシルビアとエルザについてグチを発し始めたマルティナに向き直る。
彼女は決してネチネチとした性格ではないがこうなると長い。
もしかしたら、結婚しても不思議でない年齢がそうさせる理由かも知れぬが……口にすればその瞬間がワシの最期であろうな。
いずれにしても今は覚悟を決めねばなるまい。
……これから、鬼も蛇も出ねば良いのだが。
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