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面倒だから諸々の過程はすっ飛ばすことにするが、端的に言えば誘拐された。
並の人間になど負ける気はないつもりだったのだが、
目の前にいるいかにもな風貌の男は、印象に見合わないほどに強かった。
ふつうに格上だ。
おまけに不意までつかれたのだから、もうどうしようもない。
カンダタ海賊団。船長カンダタ。パンツマスクの男はそう名乗ると呵々大笑する。
「俺様たちにも、ついにツキが巡ってきた、そうだろテメーら、なあオイ!?」
「そうっすね!さすがはカンダタ様!」
「これからはオレたちの時代だぁ!!」
船長とは逆に鎧を着込んだ子分たちがはしゃぐ。カンダタはかつがれ、調子に乗りまくる。
パッと見愉快な芸人集団に見えなくもなかったが、こいつらは立派な犯罪者だ。
それなりに大きな船に、10人は入れられるかという規模の立派な牢屋が備えられているあたり、
人さらいなどお手の物なのだろう。
とても、とても凶悪な連中だと言うのは想像に難くない。
「あのう、」
「なんだヒトジチ」
「なんで私なんかさらったんですか。多分人質としてこれ以上無価値な人間も中々いないと思うんだけど」
ふむ、とカンダタは筋肉で膨張した腕を組む。
「その質問に答えるのは簡単だ。だが、なあヒトジチよ」
問いかけられる。
「テメーはヒトジチなんて呼ばれて不快じゃないのか?
『あたしにはナントカーっていう立派な名前があるのよー!』って怒るとこだろうそこは」
「…いや別に。名乗るほどの名前でもないし」
「ヒトジチなんて俺様が呼び辛いんだよぉ。教えてくれよ。な?な?」
謎の懇願をされてやむを得ず名乗る。
別に自分は国家の要人じゃないし、本名を知られたら死ぬわけでもない。特に何も問題はなかった。
それにしてもなんだこいつ。調子が狂う。
「…エルザか。いい名前じゃねえか。…ではエルザよ、約束通り質問に答えてやろう」
どこからかエモノの斧を取り出し、こちらに切っ先を向ける。
そうやって凄んだカンダタには思いのほか迫力があり、緊張に息を呑む。
歴戦の悪党だという彼の言に、恐らく嘘はない。
「俺様たちはな、ある奴らに復讐をしたい。だが普通にやったんじゃあまず勝てん。
そこでテメーに人質としての白羽の矢が立ったんだ、エルザよ」
カンダタは少なくとも私よりは強い。
先ほど戦闘になった際は子分たちもいたから、実際にどれくらい後れを取るかはわからないが、
正面から剣を交じえて勝てる気は少なくともしなかった。
それほどの使い手が勝てない相手なんて、それこそ滅多にいない。
「まさか――っ」
「今は俺様が喋ってるんだエルザちゃん。人の話は最後まで聞くもんだろ」
人間離れした体格の男に嗜められる。
「でもま、察しの通りだ。俺たちはな、勇者どもに復讐したいんだよ!!」
「は」
覆面越しでもわかるほどのドヤ顔を披露するカンタダがおかしかった。
興醒めしたようにその理由を訊ねる海賊が、もう一つ面白い。
「カンダタさん、あんたバカでしょ。私、あの人たちの仲間じゃないんですけど。
お金で雇われる程度の関係しかないんですけど。
いくらなんでもそれじゃ人質としては成り立たないと思うよ。
あんた悪党のくせに認識甘すぎ」
「認識が甘えのはテメーだ嬢ちゃん」
カンダタは人の話は最後まで聞けと言っておいて、自分のことは棚にあげる主義らしい。
「テメーがな。勇者の仲間の、あのヘンな格好をしたやつとずいぶんと懇意にしてることはな、
とっくに調べがついてるんだよ」
ヘンな格好をしたやつとは十中八九シルビアさんのことだろう。
でも彼もパンツマスクにだけは言われたくないだろうと思う。
「エルザ、テメーも似たようなヘンな格好してるしな!
大方恋人の影響でも受けたんだろうが、
そこまで親しいテメーをいい子ちゃん集団のあいつらが見捨てるか!?」
反論できなかった。
むしろ私が本当に赤の他人でも、悪人に誘拐されたとわかるや否や、
助けに来てしまうのがあの人たちだ。
つくづく厄介なことに巻き込んでしまうことになると予想される。悔しくて、唇を噛む。
というかパンツマスクに完全に論破された。これは更に悔しい。
あとまたヘンな格好って言われた。
「カンダタさん、もう一個聞いていいですか」
「あ?サインならやらねえぞ」
「私の格好、そんなに変ですか」
「そっちか?…まあ変だな。はっきり言ってクソだせえ」
今日1のダメージだった。パンツマスクからすら全否定されるマスカレード装備。
難なら先ほどこいつに後ろからぶん殴られたのより痛い。
「だが顔は悪くねえ」
「カンダタさん…」
カンダタはずいっと顔を近づけてくる。
舐めるように、品定めするようにじろじろと見てくる。
「決めた!テメーも恋人がいる身だ。
今は手を出さねえでおいてやるが、あいつらを倒した暁には…ククク。
テメーを俺様の嫁さんにしてやってもいい」
「え?遠慮します」
「そう言うな。俺様色に染めてやる」
「断固拒否します」
「頼む。俺様の嫁になってくれ。な?な?」
「いきなり下手に出るな!!」
並の人間になど負ける気はないつもりだったのだが、
目の前にいるいかにもな風貌の男は、印象に見合わないほどに強かった。
ふつうに格上だ。
おまけに不意までつかれたのだから、もうどうしようもない。
カンダタ海賊団。船長カンダタ。パンツマスクの男はそう名乗ると呵々大笑する。
「俺様たちにも、ついにツキが巡ってきた、そうだろテメーら、なあオイ!?」
「そうっすね!さすがはカンダタ様!」
「これからはオレたちの時代だぁ!!」
船長とは逆に鎧を着込んだ子分たちがはしゃぐ。カンダタはかつがれ、調子に乗りまくる。
パッと見愉快な芸人集団に見えなくもなかったが、こいつらは立派な犯罪者だ。
それなりに大きな船に、10人は入れられるかという規模の立派な牢屋が備えられているあたり、
人さらいなどお手の物なのだろう。
とても、とても凶悪な連中だと言うのは想像に難くない。
「あのう、」
「なんだヒトジチ」
「なんで私なんかさらったんですか。多分人質としてこれ以上無価値な人間も中々いないと思うんだけど」
ふむ、とカンダタは筋肉で膨張した腕を組む。
「その質問に答えるのは簡単だ。だが、なあヒトジチよ」
問いかけられる。
「テメーはヒトジチなんて呼ばれて不快じゃないのか?
『あたしにはナントカーっていう立派な名前があるのよー!』って怒るとこだろうそこは」
「…いや別に。名乗るほどの名前でもないし」
「ヒトジチなんて俺様が呼び辛いんだよぉ。教えてくれよ。な?な?」
謎の懇願をされてやむを得ず名乗る。
別に自分は国家の要人じゃないし、本名を知られたら死ぬわけでもない。特に何も問題はなかった。
それにしてもなんだこいつ。調子が狂う。
「…エルザか。いい名前じゃねえか。…ではエルザよ、約束通り質問に答えてやろう」
どこからかエモノの斧を取り出し、こちらに切っ先を向ける。
そうやって凄んだカンダタには思いのほか迫力があり、緊張に息を呑む。
歴戦の悪党だという彼の言に、恐らく嘘はない。
「俺様たちはな、ある奴らに復讐をしたい。だが普通にやったんじゃあまず勝てん。
そこでテメーに人質としての白羽の矢が立ったんだ、エルザよ」
カンダタは少なくとも私よりは強い。
先ほど戦闘になった際は子分たちもいたから、実際にどれくらい後れを取るかはわからないが、
正面から剣を交じえて勝てる気は少なくともしなかった。
それほどの使い手が勝てない相手なんて、それこそ滅多にいない。
「まさか――っ」
「今は俺様が喋ってるんだエルザちゃん。人の話は最後まで聞くもんだろ」
人間離れした体格の男に嗜められる。
「でもま、察しの通りだ。俺たちはな、勇者どもに復讐したいんだよ!!」
「は」
覆面越しでもわかるほどのドヤ顔を披露するカンタダがおかしかった。
興醒めしたようにその理由を訊ねる海賊が、もう一つ面白い。
「カンダタさん、あんたバカでしょ。私、あの人たちの仲間じゃないんですけど。
お金で雇われる程度の関係しかないんですけど。
いくらなんでもそれじゃ人質としては成り立たないと思うよ。
あんた悪党のくせに認識甘すぎ」
「認識が甘えのはテメーだ嬢ちゃん」
カンダタは人の話は最後まで聞けと言っておいて、自分のことは棚にあげる主義らしい。
「テメーがな。勇者の仲間の、あのヘンな格好をしたやつとずいぶんと懇意にしてることはな、
とっくに調べがついてるんだよ」
ヘンな格好をしたやつとは十中八九シルビアさんのことだろう。
でも彼もパンツマスクにだけは言われたくないだろうと思う。
「エルザ、テメーも似たようなヘンな格好してるしな!
大方恋人の影響でも受けたんだろうが、
そこまで親しいテメーをいい子ちゃん集団のあいつらが見捨てるか!?」
反論できなかった。
むしろ私が本当に赤の他人でも、悪人に誘拐されたとわかるや否や、
助けに来てしまうのがあの人たちだ。
つくづく厄介なことに巻き込んでしまうことになると予想される。悔しくて、唇を噛む。
というかパンツマスクに完全に論破された。これは更に悔しい。
あとまたヘンな格好って言われた。
「カンダタさん、もう一個聞いていいですか」
「あ?サインならやらねえぞ」
「私の格好、そんなに変ですか」
「そっちか?…まあ変だな。はっきり言ってクソだせえ」
今日1のダメージだった。パンツマスクからすら全否定されるマスカレード装備。
難なら先ほどこいつに後ろからぶん殴られたのより痛い。
「だが顔は悪くねえ」
「カンダタさん…」
カンダタはずいっと顔を近づけてくる。
舐めるように、品定めするようにじろじろと見てくる。
「決めた!テメーも恋人がいる身だ。
今は手を出さねえでおいてやるが、あいつらを倒した暁には…ククク。
テメーを俺様の嫁さんにしてやってもいい」
「え?遠慮します」
「そう言うな。俺様色に染めてやる」
「断固拒否します」
「頼む。俺様の嫁になってくれ。な?な?」
「いきなり下手に出るな!!」