それが罠とも知らずに
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ってことでカップ、私が洗うね!」
なんて照れ隠しに即物的なことを述べながらその場から避けようとする。
「エルザちゃん」
無理だった。じっとゴリアテさんのグレーの瞳に捉えられる。
というのは比喩的な話で、実際には腕を掴まれていた。
「いつもと違うからかしら。アタシ、なんだかドキドキしてきたわん」
「ど、どうしてでしょう」
一応とぼけてみるが、この人の前ではごく無駄なこと。
ゴリアテさんは僅かに顎を持ち上げ、唇を少しだけすぼめる。
誘っているのだ、ということはわかりやすいくらいにわかりやすかった。
「んー…」
逡巡こそすれ。この空気を壊す勇気も、度胸も、ましてや理由もない。
「仕方ない人」
「エルザちゃんには言われたくないわ」
もう黙ってくれとゴリアテさんの唇を自分ので塞ぐ。普段とはほとんど逆。
かといって主導権を握れているかというと、全くそんなことはない。
私から舌を絡めていても、彼に良いようにコントロールされているようにしか思えない。
でもその感覚は不快なのだろうか。
そんなわけがなかった。
「シルビアさぁん…」
「ヤダ、呼び方戻ってるわよ」
力が抜け、のしかかるようになってしまう私を、ゴリアテさんは笑いながら受け止める。
「ごめんなさ…っ」
謝りきる前に、唇を塞がれる。
「いつもはよっぽど意識してくれてるのね。ほんとかわいいんだから」
目が潤む。どういう気持ちでそうなったのか、ぐちゃぐちゃしてわかんない。
ところが不意に最後の理性で気づく。
このまま流されてはまずいことに。
「ご、ゴリアテさん…」
「んー?どうしたの?」
ひたすら幸せそうな声でゴリアテさんは返してくる。私を抱き締めたまま…ってすでにこれアウト感がすごい。
「あの、…私まだお風呂」
「大丈夫よ。せいぜいお酒の臭いしかしないわ」
と彼は言うもののそんなはずはない。
今日だって一日グレイグさまのしごきに耐えてきたのだ。汗の量は尋常じゃない。
肌が露出する部分などに関しては濡れタオルで念入りに拭き取り。更に近ごろ特に女性兵の間で流行っている、はぐれメタル印のデオドラント香水を駆使して、それなりに誤魔化しているのだが。
……こう密着しては話は別だ。
「ほんとに。これ以上は無理だから!お風呂!」
もう手遅れだとは思うが、それでも。
と逃げようとする私をゴリアテさんが割と本気で妨害してくる。
「イヤよ、幸せを奪わないでちょうだい。
アタシだってエルザちゃんにずっと会えなくて寂しかったのよ!」
「ゴリアテさんかわいい…っていたいいたい!」
割と力いっぱい抱き締められる。骨が軋んだような気がした。
苦しいがしかし…って違う。それは違う。多分。
「わかった!わかりました妥協案!一緒に入りませんか!!」
これ以上は痛みが本当に快楽に変わりそうだった。
難儀なカラダにされたものである、とどこか他人事のように思った。
そして当のゴリアテさんはというと――ピュアピュアで満面の笑顔。
「うふ。うふふふ。その言葉を待ってたの!」
「ええ…」
腕の力は緩む、が逃げられるはずもなくただ一緒に起き上がる羽目になる。
とりあえず距離をおきたかったのだが、ゴリアテさんに当然のように腕を掴まれ阻止された。
もうなんか半ばヤケクソになり、逆の腕を彼の腰に回し、腹に顔を押し付けた。
おネエ様ときたらそれでもあらあらと笑って腕を解放してくる。
抱きつきなさいということだろう。いいやもうとお望み通りにすることにした。
「エルザちゃんから誘ってくれるの、とっても素敵。ドキドキしちゃう」
「…ゴリアテさんが誘導したんだよね、そう言うように」
「アタシが聞きたいのはあなたの本音よ」
私の指摘を食い気味に入ることでゴリアテさんは無理矢理有耶無耶にした。なんて人だ。
ちらりとゴリアテさんの顔を上目遣いに見ると、じっと見つめ返してくる。期待に満ちた感じで。
この人との付き合いももう長い。
言うまで終わらないやつだと察する。
「大好きなゴリアテさんと一緒にお風呂に入れて嬉しいです…」
ただこちらはもうとっくに腹は括ったと言う名の単なるヤケクソモード。
羞恥心はかなぐり捨て、多少の演技を乗せる。それでいて、潤んだ目でじっとゴリアテさんを見つめ続ける。
とはいえ、言っていること自体は間違いなく本音だった。
「エルザちゃん…」
言葉を失うゴリアテさん。
自分でふっておいて思わぬカウンターに恥ずかしくなったらしい。
余裕の仮面はようやく剥がれ、頬が少し赤くなっている。
「あ、アタシ!お風呂いれてくるから!カップよろしくねん!!」
そしておもむろに立ち上がり、逃げていった。女子かよって思ったけど、考えてみればこの人はいつだってずっと、誰よりもおとめだ。
思わずため息を吐く。
あーもうどうしよ、ゴリアテさんのそういうとこ大好きなんだよな。
思わずにやにやしながら、カップを洗いに私もその場を後にする。
そのおとめにこの後散々泣かされることになるのだが、私はまだ知らない。
なんて照れ隠しに即物的なことを述べながらその場から避けようとする。
「エルザちゃん」
無理だった。じっとゴリアテさんのグレーの瞳に捉えられる。
というのは比喩的な話で、実際には腕を掴まれていた。
「いつもと違うからかしら。アタシ、なんだかドキドキしてきたわん」
「ど、どうしてでしょう」
一応とぼけてみるが、この人の前ではごく無駄なこと。
ゴリアテさんは僅かに顎を持ち上げ、唇を少しだけすぼめる。
誘っているのだ、ということはわかりやすいくらいにわかりやすかった。
「んー…」
逡巡こそすれ。この空気を壊す勇気も、度胸も、ましてや理由もない。
「仕方ない人」
「エルザちゃんには言われたくないわ」
もう黙ってくれとゴリアテさんの唇を自分ので塞ぐ。普段とはほとんど逆。
かといって主導権を握れているかというと、全くそんなことはない。
私から舌を絡めていても、彼に良いようにコントロールされているようにしか思えない。
でもその感覚は不快なのだろうか。
そんなわけがなかった。
「シルビアさぁん…」
「ヤダ、呼び方戻ってるわよ」
力が抜け、のしかかるようになってしまう私を、ゴリアテさんは笑いながら受け止める。
「ごめんなさ…っ」
謝りきる前に、唇を塞がれる。
「いつもはよっぽど意識してくれてるのね。ほんとかわいいんだから」
目が潤む。どういう気持ちでそうなったのか、ぐちゃぐちゃしてわかんない。
ところが不意に最後の理性で気づく。
このまま流されてはまずいことに。
「ご、ゴリアテさん…」
「んー?どうしたの?」
ひたすら幸せそうな声でゴリアテさんは返してくる。私を抱き締めたまま…ってすでにこれアウト感がすごい。
「あの、…私まだお風呂」
「大丈夫よ。せいぜいお酒の臭いしかしないわ」
と彼は言うもののそんなはずはない。
今日だって一日グレイグさまのしごきに耐えてきたのだ。汗の量は尋常じゃない。
肌が露出する部分などに関しては濡れタオルで念入りに拭き取り。更に近ごろ特に女性兵の間で流行っている、はぐれメタル印のデオドラント香水を駆使して、それなりに誤魔化しているのだが。
……こう密着しては話は別だ。
「ほんとに。これ以上は無理だから!お風呂!」
もう手遅れだとは思うが、それでも。
と逃げようとする私をゴリアテさんが割と本気で妨害してくる。
「イヤよ、幸せを奪わないでちょうだい。
アタシだってエルザちゃんにずっと会えなくて寂しかったのよ!」
「ゴリアテさんかわいい…っていたいいたい!」
割と力いっぱい抱き締められる。骨が軋んだような気がした。
苦しいがしかし…って違う。それは違う。多分。
「わかった!わかりました妥協案!一緒に入りませんか!!」
これ以上は痛みが本当に快楽に変わりそうだった。
難儀なカラダにされたものである、とどこか他人事のように思った。
そして当のゴリアテさんはというと――ピュアピュアで満面の笑顔。
「うふ。うふふふ。その言葉を待ってたの!」
「ええ…」
腕の力は緩む、が逃げられるはずもなくただ一緒に起き上がる羽目になる。
とりあえず距離をおきたかったのだが、ゴリアテさんに当然のように腕を掴まれ阻止された。
もうなんか半ばヤケクソになり、逆の腕を彼の腰に回し、腹に顔を押し付けた。
おネエ様ときたらそれでもあらあらと笑って腕を解放してくる。
抱きつきなさいということだろう。いいやもうとお望み通りにすることにした。
「エルザちゃんから誘ってくれるの、とっても素敵。ドキドキしちゃう」
「…ゴリアテさんが誘導したんだよね、そう言うように」
「アタシが聞きたいのはあなたの本音よ」
私の指摘を食い気味に入ることでゴリアテさんは無理矢理有耶無耶にした。なんて人だ。
ちらりとゴリアテさんの顔を上目遣いに見ると、じっと見つめ返してくる。期待に満ちた感じで。
この人との付き合いももう長い。
言うまで終わらないやつだと察する。
「大好きなゴリアテさんと一緒にお風呂に入れて嬉しいです…」
ただこちらはもうとっくに腹は括ったと言う名の単なるヤケクソモード。
羞恥心はかなぐり捨て、多少の演技を乗せる。それでいて、潤んだ目でじっとゴリアテさんを見つめ続ける。
とはいえ、言っていること自体は間違いなく本音だった。
「エルザちゃん…」
言葉を失うゴリアテさん。
自分でふっておいて思わぬカウンターに恥ずかしくなったらしい。
余裕の仮面はようやく剥がれ、頬が少し赤くなっている。
「あ、アタシ!お風呂いれてくるから!カップよろしくねん!!」
そしておもむろに立ち上がり、逃げていった。女子かよって思ったけど、考えてみればこの人はいつだってずっと、誰よりもおとめだ。
思わずため息を吐く。
あーもうどうしよ、ゴリアテさんのそういうとこ大好きなんだよな。
思わずにやにやしながら、カップを洗いに私もその場を後にする。
そのおとめにこの後散々泣かされることになるのだが、私はまだ知らない。