DQ11
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これはきっと幸せの重みなのでしょう。
胸の辺りに違和感、けれど決してそれは不快感ではない。
些細ながら大きな幸福感を壊したくなくて、先ほどからアタシの行動はちっともページの進まない読書のみと、随分とこじんまりとしたものになっている。
だってエルザちゃんが。
あのアタシのことが大好きなくせにそれを隠しているつもりなのか中々近寄ってこないエルザちゃんが。アタシにしなだれかかって眠っているから。
ずいぶんと幸せそうな顔に、つい自分の頬も緩む。
元々は女子だけで買い物に行くつもりで、宿屋の待ち合いのソファで二人してみんなを待っていた。ベロニカちゃんやセーニャちゃんは比較的早く来てくれたのだけど、マルティナちゃんが案の定マイペースで。…いや、そうは言っても彼女にしてはむしろ早く来てくれた方だ。
とにかくさして長い時間でもなかったのだけど、エルザちゃんは宿屋がサービスで置いてくれている本を読み始めて数分も経たないうちに眠ってしまった。疲れが溜まっていたのだろうと思う。傭兵としてのウデも確かなこの子は魔物の凶暴化の影響もあり、最近結構忙しくしているらしい。
そんなわけで起こすのもかわいそうだし、三人にはアタシたちをおいてショッピングを楽しんでもらうことにした。セーニャちゃんが少し気にしていたけれど、アタシも多分エルザちゃんも問題はない。
「…いっそのこと、アタシ専属の付き人になってくれたらいいのに」
まだ若いのに、目の下にこんなクマなんか作っちゃって。何事にも一生懸命な子は好きだけれど、エルザちゃんの場合はちょっと危ういと思う。できれば、アタシの目の届くところにいてほしい。そう言うのは簡単だけれど、それをしたが最後この子は手の届かないところに離れていってしまいそうな気がするのだ。
でもそれがなぜかは、わからない。
もちろん根拠もないので、単にアタシが彼女を失う可能性に対し臆病になっているだけなのだ、と早々に結論をつけていた。
「…すき」
むにゃむにゃと寝言なんてベタでかわいいわ、何て言っているのかしら。なんてのほほんと思っていたのだけれど、その言葉は不意に耳ざとくはっきりと拾えた。
「エルザちゃん、…急に、どうしたの」
心臓が唐突な展開にばくばくと鳴る。エルザちゃんが現在進行形で眠っているのがわかっているのに、つい話しかけてしまった。
「シルビアさん」
え、え、なんなの。年甲斐もなく好きな子の言動どころか寝言に感情を揺さぶられる。
「すきなの」
ねえ、アナタ起きてるのよねお願いそう言って?
そうやって問いかけたかったのをぐっと堪える。だってそれはまるで意味のない質問。その身の委ね方、脱力具合からして、無防備すぎるまでに彼女は眠っている。
…一緒にいるのがアタシで良かった。本当に。
「できれば、起きている時に聞きたいわね」
できる我慢をあえてせず、エルザちゃんの頬をそっと撫でる。素直じゃない子の幸せな笑みを見ていると、それだけでもうなんだかすべて許せた。
胸の辺りに違和感、けれど決してそれは不快感ではない。
些細ながら大きな幸福感を壊したくなくて、先ほどからアタシの行動はちっともページの進まない読書のみと、随分とこじんまりとしたものになっている。
だってエルザちゃんが。
あのアタシのことが大好きなくせにそれを隠しているつもりなのか中々近寄ってこないエルザちゃんが。アタシにしなだれかかって眠っているから。
ずいぶんと幸せそうな顔に、つい自分の頬も緩む。
元々は女子だけで買い物に行くつもりで、宿屋の待ち合いのソファで二人してみんなを待っていた。ベロニカちゃんやセーニャちゃんは比較的早く来てくれたのだけど、マルティナちゃんが案の定マイペースで。…いや、そうは言っても彼女にしてはむしろ早く来てくれた方だ。
とにかくさして長い時間でもなかったのだけど、エルザちゃんは宿屋がサービスで置いてくれている本を読み始めて数分も経たないうちに眠ってしまった。疲れが溜まっていたのだろうと思う。傭兵としてのウデも確かなこの子は魔物の凶暴化の影響もあり、最近結構忙しくしているらしい。
そんなわけで起こすのもかわいそうだし、三人にはアタシたちをおいてショッピングを楽しんでもらうことにした。セーニャちゃんが少し気にしていたけれど、アタシも多分エルザちゃんも問題はない。
「…いっそのこと、アタシ専属の付き人になってくれたらいいのに」
まだ若いのに、目の下にこんなクマなんか作っちゃって。何事にも一生懸命な子は好きだけれど、エルザちゃんの場合はちょっと危ういと思う。できれば、アタシの目の届くところにいてほしい。そう言うのは簡単だけれど、それをしたが最後この子は手の届かないところに離れていってしまいそうな気がするのだ。
でもそれがなぜかは、わからない。
もちろん根拠もないので、単にアタシが彼女を失う可能性に対し臆病になっているだけなのだ、と早々に結論をつけていた。
「…すき」
むにゃむにゃと寝言なんてベタでかわいいわ、何て言っているのかしら。なんてのほほんと思っていたのだけれど、その言葉は不意に耳ざとくはっきりと拾えた。
「エルザちゃん、…急に、どうしたの」
心臓が唐突な展開にばくばくと鳴る。エルザちゃんが現在進行形で眠っているのがわかっているのに、つい話しかけてしまった。
「シルビアさん」
え、え、なんなの。年甲斐もなく好きな子の言動どころか寝言に感情を揺さぶられる。
「すきなの」
ねえ、アナタ起きてるのよねお願いそう言って?
そうやって問いかけたかったのをぐっと堪える。だってそれはまるで意味のない質問。その身の委ね方、脱力具合からして、無防備すぎるまでに彼女は眠っている。
…一緒にいるのがアタシで良かった。本当に。
「できれば、起きている時に聞きたいわね」
できる我慢をあえてせず、エルザちゃんの頬をそっと撫でる。素直じゃない子の幸せな笑みを見ていると、それだけでもうなんだかすべて許せた。