サウダージ
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「あら、逃げちゃった。本当に素直じゃない子。でもそこがたまらないわ」
ひとり取り残された男はそうエルザを称した。
焦った態度で席を立った彼女とは対象的にゆったりと微笑み、すっかり冷めてしまった紅茶のカップに口をつける。
んー。もう冷たいわね。長いこと放置しちゃったから、香りもあまりしなくなっている。もったいないことしちゃったかしら?…いいえ。
エルザちゃんのあんな取り乱した顔を見た対価だと思えばまだまだお釣りがくるくらいよ。
「ね。エルザちゃん早く帰っておいで。アタシ、まだまだアナタにイジワル…じゃなかった。アナタとお話したいの」
シルビアは今は空になったエルザの席を見つめ、ますます笑みを深くした。
もう帰って来ないんじゃないかなどと心配はしていない。状況を受け容れきれず突然逃げたことですらシルビアは愛しかった。恐らく一度も吸ったことがないであろう(それらしき臭いすらしたことがない)タバコを言い訳にしたのにはさすがに吹き出しそうになったが。
「待ってるわよ、大好きなエルザちゃん」