DQ11
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テーブルの向かい側でシルビアさんがとても居心地悪そうだが、気にもしていない。
本当に嫌なら、普通はさっさと退席するものだ。
彼の手元にあるカップの中身など、もうとうに空なのだから。
ということは逆説的にシルビアさんは現状をさして嫌がってはいないということになる。
…ただ、疑問には思っているようだった。
「どうしたの、エルザちゃん。
さっきからずっとアタシのこと見てるけど…。
何か、ついてる?」
一言一句シルビアさんは選ぶが、いや滅相もない。
彼の今日の身だしなみも全くもって完璧だ。
つけいる隙のない女子力が本当に羨ましい。
それだけでも穴が開くほど彼を見つめる理由には充分なるのだけど、今日は更にあった。
「解せぬ」
「え?解せぬ?」
私が完全にシルビアさんに惚れているという色眼鏡を差し引いても、シルビアさんは美形だ。
おネエ様と言うにはちょっとだけごつい輪郭だけど、間違いなく整った顔立ちをしている。
本人がやるかは別として、一度その気になれば女性などいくらでも侍らすことができるだろうことは容易に想像できるくらいには。
だからこそ解せぬのだ。
「シルビアさんのポワゾンキッスなんだけど」
「ポワゾンキッスね」
「仮にもイケメンの投げキッスがなぜ敵に毒を与えられるのか」
「エルザちゃん」
シルビアさんは真顔だった。
「毒を付与できるからポワゾンキッスなのよ」
ポワゾンとは毒を意味する。
毒のキスだから毒を付与。
なるほど理に適っている。
私完全に論破されている。
でもそれでは話が終わってしまう。
「ダメージが与えられるのは?」
「マルティナちゃんの投げキッスですらダメージが出る時点でお察しよ」
完。
いやいや。
でも、まだ何かわからないがあるはずだ。
うーんと悩む。
そしてふと思いついた。
「キュン死みたいなやつかな」
「なぁに?キュン死って」
「胸がキュンってなって死ぬみたいな」
「わかるようなわからないようなわからないわね」
「物理的に」
「更にわからなくなったわ」
苦笑するシルビアさん。
なんだかんだ話に乗ってくれているのは、
彼が優しいからか、それともそれなりにこの会話を楽しんでくれているからなのか。
よくわからないけど、このぬるい考察は結構楽しいかもしれない。
「グレイグさまとの連携技のあれは」
「ひゃくれつキッスね」
「あれも毒付与しますよね確か」
「…エルザちゃん考えてみて。
オッサンからオッサンへの投げキッスよ。
アタシだってあまり見たい光景じゃないわ」
「あー」
話題選びに失敗しただろうか。
言っておいてなぜか悔しそうなシルビアさん。
彼にも色々あるのだろうが、少なくともオッサンと呼ばれることを実は気にしているのかもしれない。
「となるとやっぱり解せぬ」
「え、また?」
「ポワゾンキッスは毒々しい光景とは思えないし。
いやある意味目の毒ではあるけど…やっぱり納得いかない」
「ループするわねー」
嘆息したシルビアさんはとうとう席を立つ。
あ、とうとうしつこくて呆れられたかなと思ったが、彼は退席するどころかこちらに歩み寄ってきた。
私が座っている真横でぴたりと止まる。
向き直ると、にっこり笑った。
「そんなに言うならしてみる?」
「え?」
「ポワゾンキッス」
「え、いやいいですいいです!大丈夫です!!」
思わず敬語になりながら遠慮する。
前回ぱふぱふで口にするのも憚られるほどえらい目にあったのだ。
「そう言わずに。
もし毒状態になっちやったって、キアリーすればなんてことないわよ。
アタシできないけど」
おっと前回と同じ流れだ。
危険な香りがぷんぷんするのに、
やりにくいから立って、
と促されるシルビアさんに全く逆らえないで、
しぶしぶ言うことを聞く自分がいる。
そうだろうか。
期待してるんじゃないだろうか、と自問自答。
心のどこかで、じゃない。
思い切り期待しているのだ。
と、恥ずかしながら自覚してしまう。
「ほら、目を閉じて…アタシの方にも手を回して…」
低めひそめられる声。
素のちょっと高めに作られたそれと比較して、こちらの方が恐らく地声に近いんだろうと思考を飛ばす。
…というか、そうでもしないととにかく恥ずかしくて仕方ない。
「っていうか投げキッスじゃなかったですっけ」
背中に手を回される。
「やぁよ、もったいない」
その直前、唇をすっと撫でられた。
ぞくり、とする間もなくそして口づけられる。
あんなゆるい流れからのキスなのに、ひどいギャップを感じるまでの甘いもの。
別にそれだけだ。
なのに、くたりと力が抜ける。
でもシルビアさんがそれを支えてくれて、また口づけてくる。
ちゅっちゅ、と粘着音。
漏れる吐息。
ポワゾンキッス。
なるほど。
そのとおりだ。
これは依存してしまいそうな毒だ。
ピンク色に霞む思考で思う。
いや、もうとっくにそうなっているのかもしれない。
「アラヤダ」
全然嫌そうじゃない口調。
やや掠れた色っぽい声でシルビアさんは笑う。
「アタシ、エルザちゃんに返り討ちに遭っちゃいそうだわ」
本当に嫌なら、普通はさっさと退席するものだ。
彼の手元にあるカップの中身など、もうとうに空なのだから。
ということは逆説的にシルビアさんは現状をさして嫌がってはいないということになる。
…ただ、疑問には思っているようだった。
「どうしたの、エルザちゃん。
さっきからずっとアタシのこと見てるけど…。
何か、ついてる?」
一言一句シルビアさんは選ぶが、いや滅相もない。
彼の今日の身だしなみも全くもって完璧だ。
つけいる隙のない女子力が本当に羨ましい。
それだけでも穴が開くほど彼を見つめる理由には充分なるのだけど、今日は更にあった。
「解せぬ」
「え?解せぬ?」
私が完全にシルビアさんに惚れているという色眼鏡を差し引いても、シルビアさんは美形だ。
おネエ様と言うにはちょっとだけごつい輪郭だけど、間違いなく整った顔立ちをしている。
本人がやるかは別として、一度その気になれば女性などいくらでも侍らすことができるだろうことは容易に想像できるくらいには。
だからこそ解せぬのだ。
「シルビアさんのポワゾンキッスなんだけど」
「ポワゾンキッスね」
「仮にもイケメンの投げキッスがなぜ敵に毒を与えられるのか」
「エルザちゃん」
シルビアさんは真顔だった。
「毒を付与できるからポワゾンキッスなのよ」
ポワゾンとは毒を意味する。
毒のキスだから毒を付与。
なるほど理に適っている。
私完全に論破されている。
でもそれでは話が終わってしまう。
「ダメージが与えられるのは?」
「マルティナちゃんの投げキッスですらダメージが出る時点でお察しよ」
完。
いやいや。
でも、まだ何かわからないがあるはずだ。
うーんと悩む。
そしてふと思いついた。
「キュン死みたいなやつかな」
「なぁに?キュン死って」
「胸がキュンってなって死ぬみたいな」
「わかるようなわからないようなわからないわね」
「物理的に」
「更にわからなくなったわ」
苦笑するシルビアさん。
なんだかんだ話に乗ってくれているのは、
彼が優しいからか、それともそれなりにこの会話を楽しんでくれているからなのか。
よくわからないけど、このぬるい考察は結構楽しいかもしれない。
「グレイグさまとの連携技のあれは」
「ひゃくれつキッスね」
「あれも毒付与しますよね確か」
「…エルザちゃん考えてみて。
オッサンからオッサンへの投げキッスよ。
アタシだってあまり見たい光景じゃないわ」
「あー」
話題選びに失敗しただろうか。
言っておいてなぜか悔しそうなシルビアさん。
彼にも色々あるのだろうが、少なくともオッサンと呼ばれることを実は気にしているのかもしれない。
「となるとやっぱり解せぬ」
「え、また?」
「ポワゾンキッスは毒々しい光景とは思えないし。
いやある意味目の毒ではあるけど…やっぱり納得いかない」
「ループするわねー」
嘆息したシルビアさんはとうとう席を立つ。
あ、とうとうしつこくて呆れられたかなと思ったが、彼は退席するどころかこちらに歩み寄ってきた。
私が座っている真横でぴたりと止まる。
向き直ると、にっこり笑った。
「そんなに言うならしてみる?」
「え?」
「ポワゾンキッス」
「え、いやいいですいいです!大丈夫です!!」
思わず敬語になりながら遠慮する。
前回ぱふぱふで口にするのも憚られるほどえらい目にあったのだ。
「そう言わずに。
もし毒状態になっちやったって、キアリーすればなんてことないわよ。
アタシできないけど」
おっと前回と同じ流れだ。
危険な香りがぷんぷんするのに、
やりにくいから立って、
と促されるシルビアさんに全く逆らえないで、
しぶしぶ言うことを聞く自分がいる。
そうだろうか。
期待してるんじゃないだろうか、と自問自答。
心のどこかで、じゃない。
思い切り期待しているのだ。
と、恥ずかしながら自覚してしまう。
「ほら、目を閉じて…アタシの方にも手を回して…」
低めひそめられる声。
素のちょっと高めに作られたそれと比較して、こちらの方が恐らく地声に近いんだろうと思考を飛ばす。
…というか、そうでもしないととにかく恥ずかしくて仕方ない。
「っていうか投げキッスじゃなかったですっけ」
背中に手を回される。
「やぁよ、もったいない」
その直前、唇をすっと撫でられた。
ぞくり、とする間もなくそして口づけられる。
あんなゆるい流れからのキスなのに、ひどいギャップを感じるまでの甘いもの。
別にそれだけだ。
なのに、くたりと力が抜ける。
でもシルビアさんがそれを支えてくれて、また口づけてくる。
ちゅっちゅ、と粘着音。
漏れる吐息。
ポワゾンキッス。
なるほど。
そのとおりだ。
これは依存してしまいそうな毒だ。
ピンク色に霞む思考で思う。
いや、もうとっくにそうなっているのかもしれない。
「アラヤダ」
全然嫌そうじゃない口調。
やや掠れた色っぽい声でシルビアさんは笑う。
「アタシ、エルザちゃんに返り討ちに遭っちゃいそうだわ」