シルビアさんに寝起きドッキリを仕掛ける話
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かつてシルビアさんが勇者様に対し寝起きドッキリを敢行したという話を聞いた。
グロッタの仮面の闘士が次々と消失する事件が起き、それを彼らが解決した次の日の話。
前日までの疲れからか、少々寝坊してしまった勇者様を起こす役目。それをみんなのママたるシルビアさんが行ったわけだが、そこは旅芸人。
珍しく口を開いたイレブンくんが、少々かなり苦い顔で手短に言うのには『なんていうか、すごく距離が近かった』とのこと。
何がなんやらわからないといえばわからないが、そこは甘苦しく妄想力もとい想像力を働かせる。
うん勇者様そこ代わってくださいと言いかけて、しかし彼の青い顔を見てやめた。
雑談のタネにしたまではよかった。その一方でちょっとしたトラウマになっている。
純度100%のノンケな上に、幽霊に頼んでまで幼馴染と結婚したかった彼のこと。多分むしろ私に代わってほしいと心から思っていることだろう。
とはいえ、とはいえだ。それを私がうらやましいと思わないわけがなく。
……いやもうすでに彼とは恋人という立場である身。それ以上のことも幾度となくベッドの上で行いはしている。しかしながらそれはそれであり、これはこれ。
羨ましいのだ。正直ちょっとイレブンくんに妬いている自覚すらある。
でも、前述のとおりなんだかんだでベッドに押し倒されてるし、寝起きの顔もごく近距離で観察されていたりもする。
もちろん恥ずかしくもそれはそれで嬉しいのだけど……しかし、何か物足りていないのもやはり事実だった。
満足していないとかではない。パズルのピースがほんのひとつ。もしくは、宝の地図の一番肝心なポイントだけ虫食いされてしまっているような、そういう空白。
それが妙な風穴となっていた。一体これはなんだろうか。
と、毎度お馴染み不思議な鍛冶台で槍を打っている勇者様に訊ねてみる。
返事はなかった。圧倒的に集中していて、完全に自分の世界に彼は籠っていた。ゾーンですらない。戦闘時ならばかえって危険だろうなと、どうでもいい心配をする。
自分の武器だからか珍しくイレブンくんの鍛冶を一緒になって眺めているマルティナさんが、ふと思いついたよう相槌と共に手を打つ。そして彼の代わりに答えた。
「それ。エルザ。きっとあなたが、シルビアの寝顔というか、寝起きを見たことがないからよ」
「なるほど」
マルティナさんは察しは良い方だが読心術を使えるわけではない。
でもなぜ彼女が私の欠けた脳内パズルのひとかけらをあっさり探し当てたかというと、それはきっと自分も同じ状況だからだろう。
つまり朝が若干苦手なマルティナさんはもちろん、勇者様たちは誰もシルビアさんの寝起きの顔を見たことがない。
彼は基本的に誰よりも遅く寝て誰よりも早く起きる。
睡眠時間が足りているのか割と本気で心配になる……っていうか、以前疲労が蓄積しすぎたことがきっかけで倒れたことすらある。ところが、反省した様子は全くないらしい。
なぜかって?それは単に彼の美意識の賜だ、どう考えても。シルビアさんはおとめであると同時に身体は完全に成人男性のそれ。
だから朝はヒゲだって生えるだろうし、すっぴんの顔を晒すのはおとめとして色々不都合もあるだろう。だからこそ私も含めみんな注意するにできないのである。
「そうは言っても見たいなぁ……シルビアさんの寝起き」
「見ればいいじゃない。付き合っているんでしょう?」
「いや大体っていうか絶対、私が先に寝てシルビアさんに起こされてるの。いつも」
経験が他にないため比較はできないが、シルビアさんは愛情のぶつけ方がだいぶ激しい。大抵の場合体力は根こそぎ奪われ、抱き潰される。
翌朝はリホイミしてもらわなければ、動くことすらままならないこともあるほどだ。体力自慢の騎士に抱かれればそりゃそうもなるだろう。
かといってもちろん、不満を持っているわけではない。人間としての尊厳を問いたくなるほどの快楽を与えられてしまってもだ。
…っていうか、まあこれもいわゆる幸せな悩みというやつなのだけど。
しかしながら【シルビアさんの寝起きが見たい】という目的を持ってしまうと、さすがに不都合な状況。
「そうね。まあ、方法がないわけじゃないわ。……シルビアにはちょっとかわいそうだけど」
察しのいいマルティナさんは、やっぱり察しよく私たちにどういう事情があるか察したらしい。一瞬嫌そうに顔を顰めたあと、すぐに何かを思いついたらしく。
デビルモードもかくやの邪悪な笑顔を浮かべる。少なくとも一国のお姫様がしていい顔ではない。
「あのシルビアが慌てる顔。想像するだけでわくわくするわ。ね、イレブン?」
姉貴分に突然話を振られて、勇者様の集中に乱れが生じたらしい。規則正しくハンマーを振るう手がブレたのが、素人目にもわかった。
そのせいでのちに打ち直しの宝珠を彼は消費する羽目になるのだがイレブンくんもマルティナさんもまったく気にしていなかった。
いやマルティナさんは気にしようよ。
グロッタの仮面の闘士が次々と消失する事件が起き、それを彼らが解決した次の日の話。
前日までの疲れからか、少々寝坊してしまった勇者様を起こす役目。それをみんなのママたるシルビアさんが行ったわけだが、そこは旅芸人。
珍しく口を開いたイレブンくんが、少々かなり苦い顔で手短に言うのには『なんていうか、すごく距離が近かった』とのこと。
何がなんやらわからないといえばわからないが、そこは甘苦しく妄想力もとい想像力を働かせる。
うん勇者様そこ代わってくださいと言いかけて、しかし彼の青い顔を見てやめた。
雑談のタネにしたまではよかった。その一方でちょっとしたトラウマになっている。
純度100%のノンケな上に、幽霊に頼んでまで幼馴染と結婚したかった彼のこと。多分むしろ私に代わってほしいと心から思っていることだろう。
とはいえ、とはいえだ。それを私がうらやましいと思わないわけがなく。
……いやもうすでに彼とは恋人という立場である身。それ以上のことも幾度となくベッドの上で行いはしている。しかしながらそれはそれであり、これはこれ。
羨ましいのだ。正直ちょっとイレブンくんに妬いている自覚すらある。
でも、前述のとおりなんだかんだでベッドに押し倒されてるし、寝起きの顔もごく近距離で観察されていたりもする。
もちろん恥ずかしくもそれはそれで嬉しいのだけど……しかし、何か物足りていないのもやはり事実だった。
満足していないとかではない。パズルのピースがほんのひとつ。もしくは、宝の地図の一番肝心なポイントだけ虫食いされてしまっているような、そういう空白。
それが妙な風穴となっていた。一体これはなんだろうか。
と、毎度お馴染み不思議な鍛冶台で槍を打っている勇者様に訊ねてみる。
返事はなかった。圧倒的に集中していて、完全に自分の世界に彼は籠っていた。ゾーンですらない。戦闘時ならばかえって危険だろうなと、どうでもいい心配をする。
自分の武器だからか珍しくイレブンくんの鍛冶を一緒になって眺めているマルティナさんが、ふと思いついたよう相槌と共に手を打つ。そして彼の代わりに答えた。
「それ。エルザ。きっとあなたが、シルビアの寝顔というか、寝起きを見たことがないからよ」
「なるほど」
マルティナさんは察しは良い方だが読心術を使えるわけではない。
でもなぜ彼女が私の欠けた脳内パズルのひとかけらをあっさり探し当てたかというと、それはきっと自分も同じ状況だからだろう。
つまり朝が若干苦手なマルティナさんはもちろん、勇者様たちは誰もシルビアさんの寝起きの顔を見たことがない。
彼は基本的に誰よりも遅く寝て誰よりも早く起きる。
睡眠時間が足りているのか割と本気で心配になる……っていうか、以前疲労が蓄積しすぎたことがきっかけで倒れたことすらある。ところが、反省した様子は全くないらしい。
なぜかって?それは単に彼の美意識の賜だ、どう考えても。シルビアさんはおとめであると同時に身体は完全に成人男性のそれ。
だから朝はヒゲだって生えるだろうし、すっぴんの顔を晒すのはおとめとして色々不都合もあるだろう。だからこそ私も含めみんな注意するにできないのである。
「そうは言っても見たいなぁ……シルビアさんの寝起き」
「見ればいいじゃない。付き合っているんでしょう?」
「いや大体っていうか絶対、私が先に寝てシルビアさんに起こされてるの。いつも」
経験が他にないため比較はできないが、シルビアさんは愛情のぶつけ方がだいぶ激しい。大抵の場合体力は根こそぎ奪われ、抱き潰される。
翌朝はリホイミしてもらわなければ、動くことすらままならないこともあるほどだ。体力自慢の騎士に抱かれればそりゃそうもなるだろう。
かといってもちろん、不満を持っているわけではない。人間としての尊厳を問いたくなるほどの快楽を与えられてしまってもだ。
…っていうか、まあこれもいわゆる幸せな悩みというやつなのだけど。
しかしながら【シルビアさんの寝起きが見たい】という目的を持ってしまうと、さすがに不都合な状況。
「そうね。まあ、方法がないわけじゃないわ。……シルビアにはちょっとかわいそうだけど」
察しのいいマルティナさんは、やっぱり察しよく私たちにどういう事情があるか察したらしい。一瞬嫌そうに顔を顰めたあと、すぐに何かを思いついたらしく。
デビルモードもかくやの邪悪な笑顔を浮かべる。少なくとも一国のお姫様がしていい顔ではない。
「あのシルビアが慌てる顔。想像するだけでわくわくするわ。ね、イレブン?」
姉貴分に突然話を振られて、勇者様の集中に乱れが生じたらしい。規則正しくハンマーを振るう手がブレたのが、素人目にもわかった。
そのせいでのちに打ち直しの宝珠を彼は消費する羽目になるのだがイレブンくんもマルティナさんもまったく気にしていなかった。
いやマルティナさんは気にしようよ。