だいなし
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今生の別れだなんて思うつもりは少しもなくて。
ただ邪神を倒しに行くんだとわざわざ挨拶しに来てくれた勇者様たちは律儀だな、と思った。
いってらっしゃい。応援してるからね。必ず勝って、全員生きて帰ってきて。
そんなつまらない激励をした。あとになって、彼はそういう台詞なんてきっと求めてなかったなと気づいた。
あえて言い訳すればみんないたから、あの場面で変わったことを言う勇気もなかったのだけど。
……いくらシルビアバカだとマルティナさんやベロニカちゃんあたりに揶揄されても、みんなの前では愛してるなんて言えない程度の羞恥心は残っていた。
結局、見送る側になっちゃったなあと思う。
ユグノアでデルカダールの手先として勇者様たちと殺し合い、和解して、ソルティコで彼らを見送ったあと。
かくりと膝から力が抜けた感覚が、やけに残った。
人目をはばからなければ、崩れ落ちていたかもしれない。
うっすらと夢想していた目標は、ついに夢で終わった。
身も心ももっと強くなって、シルビアさんと肩を並べて戦う。
魔力が異様に多い以外は、ごく平凡な戦闘力しか持たない私が。
……でも、がんばったんだよこれでも。と、誰にともなく弁明する。
自分なりに剣技や魔法を磨いて、努力と名のつくことはなんでもしてきたつもりだ。凡人なりに。
おかげで、彼らの役にそれなりに立っていた自負はある。
けれど最後まで戦力として見てもらえることは多分なかった。当然だ。
あのチームは第一印象こそ烏合の衆だけども、その実勇者という存在を中心にえげつないほどに統率が取れている。
メンバーだって錚々たるもので。老王に姫に将軍、稀代の魔法使いと僧侶の双子と、改めて振り返ってみればとんでもない顔ぶれだ。
……エリート騎士兼スーパースターですら霞むのは絶対おかしいって。
ある意味ツッコミどころ満載な彼らの顔を一人ずつ思い出し、嘆息。
私なんて普通の人より魔力がちょっと強いことと、妙なところで運が強いことだけが自慢だ。
後者は自慢ですらないことに気づいて、もう一度嘆息。
まったく、現実っていうのは厳しい。
私なんかいなくても、あの人たちは邪神に負けはしないだろう。確信してる。
してはいるけど……寂しい。
私は別に必要とされていたわけじゃなかったと、認めてしまうことが辛かった。
「だめだ!何を凹んでるんだ私は!」
周囲に誰もいなくなっていたのをいいことに、両腕を振り上げて、大きな独り言。
今まさに友人あるいは元上司、そして恋人が遥か空の向こう。
ロトゼタシアを脅かす邪神に戦いを挑んでいるのだ。
そんな矮小なことにとらわれていてはいけない!!私だってがんばらないと!!
……なんて思う日に限って仕事は全くないのである。
ただ邪神を倒しに行くんだとわざわざ挨拶しに来てくれた勇者様たちは律儀だな、と思った。
いってらっしゃい。応援してるからね。必ず勝って、全員生きて帰ってきて。
そんなつまらない激励をした。あとになって、彼はそういう台詞なんてきっと求めてなかったなと気づいた。
あえて言い訳すればみんないたから、あの場面で変わったことを言う勇気もなかったのだけど。
……いくらシルビアバカだとマルティナさんやベロニカちゃんあたりに揶揄されても、みんなの前では愛してるなんて言えない程度の羞恥心は残っていた。
結局、見送る側になっちゃったなあと思う。
ユグノアでデルカダールの手先として勇者様たちと殺し合い、和解して、ソルティコで彼らを見送ったあと。
かくりと膝から力が抜けた感覚が、やけに残った。
人目をはばからなければ、崩れ落ちていたかもしれない。
うっすらと夢想していた目標は、ついに夢で終わった。
身も心ももっと強くなって、シルビアさんと肩を並べて戦う。
魔力が異様に多い以外は、ごく平凡な戦闘力しか持たない私が。
……でも、がんばったんだよこれでも。と、誰にともなく弁明する。
自分なりに剣技や魔法を磨いて、努力と名のつくことはなんでもしてきたつもりだ。凡人なりに。
おかげで、彼らの役にそれなりに立っていた自負はある。
けれど最後まで戦力として見てもらえることは多分なかった。当然だ。
あのチームは第一印象こそ烏合の衆だけども、その実勇者という存在を中心にえげつないほどに統率が取れている。
メンバーだって錚々たるもので。老王に姫に将軍、稀代の魔法使いと僧侶の双子と、改めて振り返ってみればとんでもない顔ぶれだ。
……エリート騎士兼スーパースターですら霞むのは絶対おかしいって。
ある意味ツッコミどころ満載な彼らの顔を一人ずつ思い出し、嘆息。
私なんて普通の人より魔力がちょっと強いことと、妙なところで運が強いことだけが自慢だ。
後者は自慢ですらないことに気づいて、もう一度嘆息。
まったく、現実っていうのは厳しい。
私なんかいなくても、あの人たちは邪神に負けはしないだろう。確信してる。
してはいるけど……寂しい。
私は別に必要とされていたわけじゃなかったと、認めてしまうことが辛かった。
「だめだ!何を凹んでるんだ私は!」
周囲に誰もいなくなっていたのをいいことに、両腕を振り上げて、大きな独り言。
今まさに友人あるいは元上司、そして恋人が遥か空の向こう。
ロトゼタシアを脅かす邪神に戦いを挑んでいるのだ。
そんな矮小なことにとらわれていてはいけない!!私だってがんばらないと!!
……なんて思う日に限って仕事は全くないのである。