結局、それで完全に落ちてしまったので詳しい顛末はもはやわからない。
しかしいずれにしても、特製とらおとこの肝いり滋養スープはお蔵入りとなってしまった。
マルティナさんは大層残念がっていたから、今回戦犯である私は怒られるかなと不安になった。
けれど『煽りはしたけどアテにはしてなかったわよ』と意外なまでにけろりとした顔で済まされた。
どうやら戦力として私は飽くまでおまけで、元々は一人で二人とも倒すつもりだったらしい。
…さすがにそれはかなわなかったようだが。
スープはその後宿屋のおかみさんが別料金で作ってくれた。もちろん肝は抜きで。
これは普通においしかったし、次の日にはみんなほとんど完治していた。このあたりさすがである。

なお、とらおとこの肝は捨てるのももったいないのでマルティナさんと二人で改めて調理して食べた。
とにかく臭みがひどくお世辞にもおいしくはなかったが、完食はできた。マルティナさんも同じ感想なようだ。


今でもあの二人があんなに必死だった理由が私たちにはわからない。