★☆たのしいティータイム☆★
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「シルビアさんから離れてください…」
勝てない戦いは基本的にしないことにしている。理由は簡単。私は戦士ではあるが騎士ではないからだ。
つまり私は生きるために戦うが、誇りのためには戦わない。それで腹が膨れるならもちろん話は別だが。
そこまでが私の思考の大前提として。
「グレイグさま…!」
では今の状況は何かと考える。
ダーハルーネの真っ昼間のにぎやかな往来。
それでもどういう事情か横に並んで歩く大柄な男性二人はよく目立った。
どちらも知り合いであり、そして彼らはお互いに敵対する関係であることを私は知っていた。
勇者という名の悪魔の子を追う一国の将軍と、その悪魔の子に肩入れする旅芸人。
いつかカミュくんや私がそうだったように、シルビアさんもとうとう捕まってしまったのだろうか。
「エルザちゃん…!」
「なぜここに」
偶然です、と答えて構える。まだ剣には触らない。
シルビアさんを助けるとして、しかし戦闘になれば私はまずグレイグさまに勝つことはできないだろう。
トロル並の馬鹿力を持つとか、人類最強とか噂されるほどの男だ。
魔力に多少恵まれただけの凡百に過ぎない自分とはむしろ試合にもならないだろう。
私とてバカではない。
「グレイグさま。私はあなたと戦いたくない。万が一にも勝てるとは思いませんし」
実力差と自分の信念のようなものを口に放り込んで咀嚼すれば、グレイグさまとは靴を舐めてでも戦いたくない。
敵にまわせば最悪の部類だということは物凄くよくわかるのだ。
それでも相対せねばならないのには理由がある。
「けど、シルビアさんを放してくれないなら話は別です。私は戦う。シルビアさんが逃げる時間を稼ぐために」
一方的に言い切る。
殺気というのだろうか。
不穏な気配を察知して、ある青年が私とすれ違うのを避けたことを皮切りに、三人を中心としたぽっかりと小さな円ができる。
口を利いたことすらない者同士が大半だろうにどういう連携を取ったのか。
チンピラが殴り合いをするにはちょうどいいスペースを瞬く間に作り上げた。
「グレイグ。この子もしかして…いいえ、間違いないわ」
私の態度になぜか困った様子だったシルビアさんだったが、不意に何かに気づき確信したようにグレイグさまに語りかける。
「大局に流されるばかりの小娘かと思っていたが、中々どうして…」
しかし彼は聞く耳を持たなかった。
バイトとはいえ元部下に睨みつけられている現状を前にして、笑みすら浮かべる。
これが被虐趣味などであれば大層気持ち悪いのだがもちろんそんなわけもなく、それどころか声すら張り上げた。
「良いだろう!このグレイグ受けて」
「立つんじゃないの」
が、その前に中断された。
シルビアさんの身体表現という名のツッコミ、というか裏拳。
どすと割と鈍い音がした気もするが顔を僅かにゆがめた程度で大して堪えもせず(シルビアさんはそれでドン引きしていた)、しかしながら暴走しかけていたグレイグさまはそれですまないと謝罪した。
その様子を確認してからシルビアさんがこちらに向き直り、こういう人なのごめんなさいねと苦笑いを浮かべて続けた。
「と、とにかく。ほら、ね、エルザちゃん。詳しい話はあのお店でしましょう。ほらここ、目立っちゃうし」
さすがの彼もこんなことで注目は浴びたくなかったようでなんだか申し訳なくなった。
勝てない戦いは基本的にしないことにしている。理由は簡単。私は戦士ではあるが騎士ではないからだ。
つまり私は生きるために戦うが、誇りのためには戦わない。それで腹が膨れるならもちろん話は別だが。
そこまでが私の思考の大前提として。
「グレイグさま…!」
では今の状況は何かと考える。
ダーハルーネの真っ昼間のにぎやかな往来。
それでもどういう事情か横に並んで歩く大柄な男性二人はよく目立った。
どちらも知り合いであり、そして彼らはお互いに敵対する関係であることを私は知っていた。
勇者という名の悪魔の子を追う一国の将軍と、その悪魔の子に肩入れする旅芸人。
いつかカミュくんや私がそうだったように、シルビアさんもとうとう捕まってしまったのだろうか。
「エルザちゃん…!」
「なぜここに」
偶然です、と答えて構える。まだ剣には触らない。
シルビアさんを助けるとして、しかし戦闘になれば私はまずグレイグさまに勝つことはできないだろう。
トロル並の馬鹿力を持つとか、人類最強とか噂されるほどの男だ。
魔力に多少恵まれただけの凡百に過ぎない自分とはむしろ試合にもならないだろう。
私とてバカではない。
「グレイグさま。私はあなたと戦いたくない。万が一にも勝てるとは思いませんし」
実力差と自分の信念のようなものを口に放り込んで咀嚼すれば、グレイグさまとは靴を舐めてでも戦いたくない。
敵にまわせば最悪の部類だということは物凄くよくわかるのだ。
それでも相対せねばならないのには理由がある。
「けど、シルビアさんを放してくれないなら話は別です。私は戦う。シルビアさんが逃げる時間を稼ぐために」
一方的に言い切る。
殺気というのだろうか。
不穏な気配を察知して、ある青年が私とすれ違うのを避けたことを皮切りに、三人を中心としたぽっかりと小さな円ができる。
口を利いたことすらない者同士が大半だろうにどういう連携を取ったのか。
チンピラが殴り合いをするにはちょうどいいスペースを瞬く間に作り上げた。
「グレイグ。この子もしかして…いいえ、間違いないわ」
私の態度になぜか困った様子だったシルビアさんだったが、不意に何かに気づき確信したようにグレイグさまに語りかける。
「大局に流されるばかりの小娘かと思っていたが、中々どうして…」
しかし彼は聞く耳を持たなかった。
バイトとはいえ元部下に睨みつけられている現状を前にして、笑みすら浮かべる。
これが被虐趣味などであれば大層気持ち悪いのだがもちろんそんなわけもなく、それどころか声すら張り上げた。
「良いだろう!このグレイグ受けて」
「立つんじゃないの」
が、その前に中断された。
シルビアさんの身体表現という名のツッコミ、というか裏拳。
どすと割と鈍い音がした気もするが顔を僅かにゆがめた程度で大して堪えもせず(シルビアさんはそれでドン引きしていた)、しかしながら暴走しかけていたグレイグさまはそれですまないと謝罪した。
その様子を確認してからシルビアさんがこちらに向き直り、こういう人なのごめんなさいねと苦笑いを浮かべて続けた。
「と、とにかく。ほら、ね、エルザちゃん。詳しい話はあのお店でしましょう。ほらここ、目立っちゃうし」
さすがの彼もこんなことで注目は浴びたくなかったようでなんだか申し訳なくなった。