意地でも繋ぎ留める
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マントゴーアが実際に棲んでいるのは、ミルレアンの森の結構奥地なのだそうだ。
時折雪に足を取られながらも他愛のない雑談(時々ケンカ)
をその後も繰り返し、拓けた場所へたどり着いた。
先ほどより輪をかけて真っ白な世界。
前人未踏とまで言えばかなり大げさだが、それでも人間はほとんど足を踏み入れることはないのだろう。
…いたとしても、形跡はすぐに降り積もる雪で覆い隠されてしまいそうだけど。
「この辺りじゃな」
勇者様と並んで先頭を歩いていたロウさんが足を止める。
「ここからはニパーティーに分かれてマントゴーアを討伐するとしよう。
今更あえて言わずともわかると思うが、ワシとエルザが魔力管理としてそれぞれにつく手はずにしておる。
で、その振り分けじゃが――」
「お姉さまはもちろん私と一緒ですよね」
「ここに一応案をまとめてある」
シスコン全開の発言を華麗にスルーするロウさんは、やはり伊達に長生きしてないと思う。
これが年の功かと素直に感心していたが。
「私、嫌です。お姉さまと組めないなんて」
「わ、わがまま言わないのよセーニャ」
「お姉さまがなんと言おうと今日は組まなければならない気がしていけませんっ」
突然頑固になるセーニャさん。
なんでだ。
この間パーティ分かれた時は、素直に応じていたのに。
相変わらずこの子の思考回路はよくわからない。意外と気分屋なのかも知れない。
「さんせー。私も最近グレイグとセット扱いが正直しんどい」
「姫様…」
かったるそうに髪を弄るマルティナさん。
少し傷ついた様子のグレイグさまは哀れに思うが、確かに最近よくセット扱いされている場面を見た。
「アタシもよ。マルティナちゃんおそろーいって」
「奇遇ねー」
気だるげにハイタッチをする麗しのおねえさんたち。
「ゴリアテ、あとで話がある」
奇跡的に二人の気があった時の、グレイグさまの気疲れという名の胃痛は、察するに余りあった。
証拠に彼はいつもは強く上がった眉毛すら下げつつ、腹の辺りを擦りながら、続ける。
「…とのことですが、ロウ様。姫たちの希望をかなえるような内容に」
「うーーーーーむ」
なっていないらしい。
ロウさんは困り果てた様子で腕を組んだ。
「このさいぐっぱできめましょう」
聞きなれない声が、その時した。
ここには私を含めて九人しかいない。
凛として不思議な、でも優しく安心する声。
幻聴か、と思って辺りを見回すが、違う。
ようやく、思考回路が追いつく。
…勇者様の声を聞いたのなんていつぶりだろう。
「…だ、そうだ」
カミュくんが引き継ぐ。
勇者様は名案だと言わんばかりに自信満々で笑って頷いていたし、
もうそれでいいじゃんということになっていい年した男女が誰からともなく輪になる。
なおこの後、ぐっぱのかけ声を巡りまたひと悶着あった。結構みんな出身がバラバラだもんね。
時折雪に足を取られながらも他愛のない雑談(時々ケンカ)
をその後も繰り返し、拓けた場所へたどり着いた。
先ほどより輪をかけて真っ白な世界。
前人未踏とまで言えばかなり大げさだが、それでも人間はほとんど足を踏み入れることはないのだろう。
…いたとしても、形跡はすぐに降り積もる雪で覆い隠されてしまいそうだけど。
「この辺りじゃな」
勇者様と並んで先頭を歩いていたロウさんが足を止める。
「ここからはニパーティーに分かれてマントゴーアを討伐するとしよう。
今更あえて言わずともわかると思うが、ワシとエルザが魔力管理としてそれぞれにつく手はずにしておる。
で、その振り分けじゃが――」
「お姉さまはもちろん私と一緒ですよね」
「ここに一応案をまとめてある」
シスコン全開の発言を華麗にスルーするロウさんは、やはり伊達に長生きしてないと思う。
これが年の功かと素直に感心していたが。
「私、嫌です。お姉さまと組めないなんて」
「わ、わがまま言わないのよセーニャ」
「お姉さまがなんと言おうと今日は組まなければならない気がしていけませんっ」
突然頑固になるセーニャさん。
なんでだ。
この間パーティ分かれた時は、素直に応じていたのに。
相変わらずこの子の思考回路はよくわからない。意外と気分屋なのかも知れない。
「さんせー。私も最近グレイグとセット扱いが正直しんどい」
「姫様…」
かったるそうに髪を弄るマルティナさん。
少し傷ついた様子のグレイグさまは哀れに思うが、確かに最近よくセット扱いされている場面を見た。
「アタシもよ。マルティナちゃんおそろーいって」
「奇遇ねー」
気だるげにハイタッチをする麗しのおねえさんたち。
「ゴリアテ、あとで話がある」
奇跡的に二人の気があった時の、グレイグさまの気疲れという名の胃痛は、察するに余りあった。
証拠に彼はいつもは強く上がった眉毛すら下げつつ、腹の辺りを擦りながら、続ける。
「…とのことですが、ロウ様。姫たちの希望をかなえるような内容に」
「うーーーーーむ」
なっていないらしい。
ロウさんは困り果てた様子で腕を組んだ。
「このさいぐっぱできめましょう」
聞きなれない声が、その時した。
ここには私を含めて九人しかいない。
凛として不思議な、でも優しく安心する声。
幻聴か、と思って辺りを見回すが、違う。
ようやく、思考回路が追いつく。
…勇者様の声を聞いたのなんていつぶりだろう。
「…だ、そうだ」
カミュくんが引き継ぐ。
勇者様は名案だと言わんばかりに自信満々で笑って頷いていたし、
もうそれでいいじゃんということになっていい年した男女が誰からともなく輪になる。
なおこの後、ぐっぱのかけ声を巡りまたひと悶着あった。結構みんな出身がバラバラだもんね。