第一回壁ドン選手権
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『誰が一番ドキドキさせ上手?壁ドン選手権』という一見ふざけたコンテストにも、多分にもれずルールと言うものがあった。
その一。出場者は『壁ドン』という行為をもって観客及び審査員をいかにドキドキさせるか競ってもらいます。
その一。シチュエーション及びセットは自由とします。
運営側でも壁と相手女性(もしくは男性)の用意はありますが、その場合は事前に申請してください。
その一。他出場者への妨害の一切を禁止します。
その一。審査は投票によって行われます。持ち点は審査員10点、観客1点とします。
その一。『誰が一番ドキドキさせ上手?壁ドン選手権』会場における
ナンパ・勧誘・宗教・政治的行為の一切を禁止します。
などなど。
他にもルールが細々とあったが、基本的に一般の出場者が気にしなければならないのは上記くらいだろう。
かくして訪れた『誰が一番ドキドキさせ上手?壁ドン選手権』当日。
ダーハルーネは普段から観光客で盛り上がっているが、今日はイベントがあるとあって更にだ。
正直ちょっと意外だったが。
とても邪神に世界が脅かされているとは思えないほど平和な光景だが、
きっと暗く沈んでるよりははるかに良い。
『誰が一番ドキドキさせ上手?壁ドン選手権』も滞りなくスタートし、私も朝から運営の仕事で大忙しだ。
先ほど出場者の招集を終え、ルールの説明を終えたばかりである。
その中にはグレイグさまの姿もあった。
彼はこの日に向けて普段の服装とはまったく趣が違うおしゃれな服を着ていた。
でもどう見てもシルビアさんの趣味が控えめながらも主張が強く、
裏でどういうやりとりがあったのか想像がついて、何度も笑いそうになった。
…そうは言っても優秀なおかんセレクション。
多分いや間違いなくグレイグさま自身がコーディネートするよりはずっとマシなのだけど。
そんな服飾のセンスが残念な元上司にがんばってくださいと拳をぶつけ合ってきたのが記憶に新しい。
コンテストのプログラムは着々と進んでいる。
優男風のイケメンたちが、入れ替わり立ち替わり壁ドンをしていくある意味いや思い切りシュールな光景。
確かに、シルビアさんの言うとおりカミュくんがただ出たところで埋もれていたに違いない。
さすがに芸人をしているだけあってこの辺りの勘というか嗅覚はすばらしく鋭い。
…ん?それにしても、なんで彼は出ると言わなかったのだろう。
こういう自分をアピールしつつ目立つのっていかにも好きそうだけど、何か思惑でもあるのだろうか。
恐らくはそうなのだろうが、それが何かはわからない。
…さて、祭りのイベントなんていうものは準備(と後片付け)こそ大変だが、
一度スタートしてしまえば演者や運営の中核にいる人間以外は手が空いてしまう。
私もそんな中の一人だ。
というわけで勝手ながらしばらく休憩をいただくことにした。
見れば他のスタッフたちもすでに散り散りになっている。
何より私達にも審査の票はある。
観戦も立派な仕事の一つなのだ。
「あら来たのエルザ」
仕事をよりよくこなすためという名目で、勇者様たちが観戦している客席に駆けつけた。
マルティナさんが出迎えてくれる。
「手が空いたの」
「ふーん、お疲れ」
「グレイグさまは?」
「まだ先よ」
「よかったぁ」
と胸を撫で下ろす。
運営スタッフだが所詮はバイト。
仕事は所詮雑用が多く、プログラムは一切把握していないのである。
マルティナさんから焼き鳥をわけてもらって食べながら、イケメンたちが次々と壁ドンしていく様を観戦する。
うん、やっぱりシュールだ。
でもこんな催し物でもテンションを上げる人はいるようで。
「きゃーん!ねえねえマルティナちゃん。あの子結構素敵じゃない!?」
「シルビア」
「アタシも壁ドンされたーい!!」
「エルザ来てるわよ」
おとめらしく黄色い歓声をあげるシルビアさん。視線の先には彼が好きそうな?イケメン。
「シルビアさんはああいうイケメンが好きなのね」
シルビアさんが完全に停止する。
「エルザちゃん…違うの、これは…」
「応援、してるからね…」
精一杯の笑顔を向けた。
怒ってなどいない。
悔しくなんてない。
元々釣り合いなんか取れてないんだから。
いつかは飽きられるって覚悟していた恋だ。
それでも…なぜだろう?
涙が、止まらない…。
無声ハウリング
(言えなかった、言わなくて良かった)(貴方が、すきだなんて)
その一。出場者は『壁ドン』という行為をもって観客及び審査員をいかにドキドキさせるか競ってもらいます。
その一。シチュエーション及びセットは自由とします。
運営側でも壁と相手女性(もしくは男性)の用意はありますが、その場合は事前に申請してください。
その一。他出場者への妨害の一切を禁止します。
その一。審査は投票によって行われます。持ち点は審査員10点、観客1点とします。
その一。『誰が一番ドキドキさせ上手?壁ドン選手権』会場における
ナンパ・勧誘・宗教・政治的行為の一切を禁止します。
などなど。
他にもルールが細々とあったが、基本的に一般の出場者が気にしなければならないのは上記くらいだろう。
かくして訪れた『誰が一番ドキドキさせ上手?壁ドン選手権』当日。
ダーハルーネは普段から観光客で盛り上がっているが、今日はイベントがあるとあって更にだ。
正直ちょっと意外だったが。
とても邪神に世界が脅かされているとは思えないほど平和な光景だが、
きっと暗く沈んでるよりははるかに良い。
『誰が一番ドキドキさせ上手?壁ドン選手権』も滞りなくスタートし、私も朝から運営の仕事で大忙しだ。
先ほど出場者の招集を終え、ルールの説明を終えたばかりである。
その中にはグレイグさまの姿もあった。
彼はこの日に向けて普段の服装とはまったく趣が違うおしゃれな服を着ていた。
でもどう見てもシルビアさんの趣味が控えめながらも主張が強く、
裏でどういうやりとりがあったのか想像がついて、何度も笑いそうになった。
…そうは言っても優秀なおかんセレクション。
多分いや間違いなくグレイグさま自身がコーディネートするよりはずっとマシなのだけど。
そんな服飾のセンスが残念な元上司にがんばってくださいと拳をぶつけ合ってきたのが記憶に新しい。
コンテストのプログラムは着々と進んでいる。
優男風のイケメンたちが、入れ替わり立ち替わり壁ドンをしていくある意味いや思い切りシュールな光景。
確かに、シルビアさんの言うとおりカミュくんがただ出たところで埋もれていたに違いない。
さすがに芸人をしているだけあってこの辺りの勘というか嗅覚はすばらしく鋭い。
…ん?それにしても、なんで彼は出ると言わなかったのだろう。
こういう自分をアピールしつつ目立つのっていかにも好きそうだけど、何か思惑でもあるのだろうか。
恐らくはそうなのだろうが、それが何かはわからない。
…さて、祭りのイベントなんていうものは準備(と後片付け)こそ大変だが、
一度スタートしてしまえば演者や運営の中核にいる人間以外は手が空いてしまう。
私もそんな中の一人だ。
というわけで勝手ながらしばらく休憩をいただくことにした。
見れば他のスタッフたちもすでに散り散りになっている。
何より私達にも審査の票はある。
観戦も立派な仕事の一つなのだ。
「あら来たのエルザ」
仕事をよりよくこなすためという名目で、勇者様たちが観戦している客席に駆けつけた。
マルティナさんが出迎えてくれる。
「手が空いたの」
「ふーん、お疲れ」
「グレイグさまは?」
「まだ先よ」
「よかったぁ」
と胸を撫で下ろす。
運営スタッフだが所詮はバイト。
仕事は所詮雑用が多く、プログラムは一切把握していないのである。
マルティナさんから焼き鳥をわけてもらって食べながら、イケメンたちが次々と壁ドンしていく様を観戦する。
うん、やっぱりシュールだ。
でもこんな催し物でもテンションを上げる人はいるようで。
「きゃーん!ねえねえマルティナちゃん。あの子結構素敵じゃない!?」
「シルビア」
「アタシも壁ドンされたーい!!」
「エルザ来てるわよ」
おとめらしく黄色い歓声をあげるシルビアさん。視線の先には彼が好きそうな?イケメン。
「シルビアさんはああいうイケメンが好きなのね」
シルビアさんが完全に停止する。
「エルザちゃん…違うの、これは…」
「応援、してるからね…」
精一杯の笑顔を向けた。
怒ってなどいない。
悔しくなんてない。
元々釣り合いなんか取れてないんだから。
いつかは飽きられるって覚悟していた恋だ。
それでも…なぜだろう?
涙が、止まらない…。
無声ハウリング
(言えなかった、言わなくて良かった)(貴方が、すきだなんて)