DQ11
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行商の帰りのことだ。
魔物に襲われているところを、世直しパレードとかいうシルビアさん率いる謎のおネエ様軍団に助けてもらった。
しかもありがたいことに住んでいる街まで送り届けてもらえることになった。
あのお神輿もかくやという、ど派手なパレードに混じって歩くというのは正直辟易としたが、この際贅沢は言えない。
命のほうが大事なのだ。
魔物が凶暴化しているこんな世の中では。
さて、とはいえ今日はもう遅いということで宿屋に入った。
あまり手持ちはなかった(まさか売上に手を付けるわけにもいくまい)が、魔物から助けてもらったお礼に少しでも足しにしてくれと渡そうとしたが断られ、女性だからと個室まで宛てがってもらった。
こんなご時世、どこからこんな資金が出てるんだと困惑しながらも、好意に甘えてしまったのも事実であり、そして今に至る。
このような人生最高に変わった出来事だ、街に帰ったら友だちに自慢しようなんて不謹慎なことを考えながらベッドに入るなり、むくりと起き上がる。
ふと尿意に襲われたからだ。
この宿は、風呂とトイレは共に共用であり、いずれもここから最短の場所だと渡り廊下の先になる。
すでに夜中だから見通しがひどく悪いことを予想して、備え付けの手持ちのカンテラに薄ぼんやりとした火を灯し、眠い目を擦りつつそちらに向かうことにした。
特に何の変哲もなく真夜中の小冒険は終わった。部屋に戻り、カンテラの火を消す。
さてさっさと寝ようと真っ暗な部屋の中、昼間の記憶を頼りにベッドに向かう。
そこで不意に何者かが起き上がる気配がした。
え、と思わず声に出る。
身を翻す――こともできなかった。
寝起きにも関わらず相手のほうが動きが速かったからだ。
そこからは一瞬。私はいとも簡単にベッドに引きずり込まれる。
大柄な身体が覆い被さってくる。
「ちょ、やめて…!」
そして私は相手の正体を見てしまった。
彼は『世直しパレード』を率いるおネエ様たちのリーダー。シルビアさんその人であることを。
なんで。どういうことなの。
感じる圧倒的な身の危険に焦りと絶望。
もしかして、私ははめられたの、と当初から自分に都合が良すぎる展開が続いたことに、でもまあと大して考えなかったのが悪かったのか。
とにかく暴れて危機を脱しないと、とじたばたしても、シルビアさんはまるで動じない。乱暴されるかもしれない危機に、背筋が凍る。
「暴れ…ないの」
そして、押さえつけられた。
そりゃ一見ふざけた集団だけど、実態は凶悪なモンスターを倒してしまうくらい強いのだ。
ましてやシルビアさんはそこのリーダーだ。
私がかなうはずが無い、と嫌が応にも納得してしまう。
とはいえ、こんなの嫌すぎる。
諦めるわけにはいかなかった私に更なる言葉が降ってきた。
「早く…寝ましょう。夜…ふかしは…お肌にどくよ…」
その妙にむにゃむにゃした口調に私はある1点の可能性に思い至る。
…この人もしかしてめっちゃ寝ぼけてる?
「う、うん」
と思わず返事をすると、シルビアさんはどことなく満足げだった。
「私、もう寝るから…」
とはいえ、危機を脱したわけではない。シルビアさんになんとか自分の部屋に戻ってもらわなければならない。どうしようか。
と頭を捻る間もなく解決してしまった。
すう、と規則正しい、そしてもはや可愛らしい寝息が聞こえてきたからだ。
はっや!!!と、思わず大声を出しかけたのを無理やり飲み込む。
推定三十歳以上の男性。のび太くん(メタ発言)も驚きの早さで眠るのが年齢を感じさせないもっちり肌の秘訣だろうか。
いや違う。そういう話ではない。
というか、なんでそんなトチ狂った思考回路になったか。
…そんなの決まってる。
一足も二足も三足も先に夢の世界に旅立ったシルビアさんの両腕に、私の身体がホールドされているからだ。
しかもかなりがっちりと。
ほぼほぼ抱き締められているのも同然だ。
どちらかというと、だき枕に近いけれど…、いやそれでも先ほどまでとは別の意味で焦りが生まれ、心臓が高鳴る。
こんなの、絶対おかしい。
しかしながらシルビアさんと密着している部分は人肌の温度で心地よく、つい目を細める。
ではこのまま眠れますかというと話は全く別だった。
結局、大変寝相がよろしいシルビアさんのおかげで一睡もできないまま、翌朝を迎えた私を待っていたのは彼の謝罪の嵐だった。
が、昨夜トイレから戻った時、どうも私が部屋を間違えてしまったことが即判明し、なぜ鍵が開いていたのか疑問に思いつつ(更にのち壊れて開きやすくなっていたことが判明した)も、私も滅茶苦茶謝ったのであった。
魔物に襲われているところを、世直しパレードとかいうシルビアさん率いる謎のおネエ様軍団に助けてもらった。
しかもありがたいことに住んでいる街まで送り届けてもらえることになった。
あのお神輿もかくやという、ど派手なパレードに混じって歩くというのは正直辟易としたが、この際贅沢は言えない。
命のほうが大事なのだ。
魔物が凶暴化しているこんな世の中では。
さて、とはいえ今日はもう遅いということで宿屋に入った。
あまり手持ちはなかった(まさか売上に手を付けるわけにもいくまい)が、魔物から助けてもらったお礼に少しでも足しにしてくれと渡そうとしたが断られ、女性だからと個室まで宛てがってもらった。
こんなご時世、どこからこんな資金が出てるんだと困惑しながらも、好意に甘えてしまったのも事実であり、そして今に至る。
このような人生最高に変わった出来事だ、街に帰ったら友だちに自慢しようなんて不謹慎なことを考えながらベッドに入るなり、むくりと起き上がる。
ふと尿意に襲われたからだ。
この宿は、風呂とトイレは共に共用であり、いずれもここから最短の場所だと渡り廊下の先になる。
すでに夜中だから見通しがひどく悪いことを予想して、備え付けの手持ちのカンテラに薄ぼんやりとした火を灯し、眠い目を擦りつつそちらに向かうことにした。
特に何の変哲もなく真夜中の小冒険は終わった。部屋に戻り、カンテラの火を消す。
さてさっさと寝ようと真っ暗な部屋の中、昼間の記憶を頼りにベッドに向かう。
そこで不意に何者かが起き上がる気配がした。
え、と思わず声に出る。
身を翻す――こともできなかった。
寝起きにも関わらず相手のほうが動きが速かったからだ。
そこからは一瞬。私はいとも簡単にベッドに引きずり込まれる。
大柄な身体が覆い被さってくる。
「ちょ、やめて…!」
そして私は相手の正体を見てしまった。
彼は『世直しパレード』を率いるおネエ様たちのリーダー。シルビアさんその人であることを。
なんで。どういうことなの。
感じる圧倒的な身の危険に焦りと絶望。
もしかして、私ははめられたの、と当初から自分に都合が良すぎる展開が続いたことに、でもまあと大して考えなかったのが悪かったのか。
とにかく暴れて危機を脱しないと、とじたばたしても、シルビアさんはまるで動じない。乱暴されるかもしれない危機に、背筋が凍る。
「暴れ…ないの」
そして、押さえつけられた。
そりゃ一見ふざけた集団だけど、実態は凶悪なモンスターを倒してしまうくらい強いのだ。
ましてやシルビアさんはそこのリーダーだ。
私がかなうはずが無い、と嫌が応にも納得してしまう。
とはいえ、こんなの嫌すぎる。
諦めるわけにはいかなかった私に更なる言葉が降ってきた。
「早く…寝ましょう。夜…ふかしは…お肌にどくよ…」
その妙にむにゃむにゃした口調に私はある1点の可能性に思い至る。
…この人もしかしてめっちゃ寝ぼけてる?
「う、うん」
と思わず返事をすると、シルビアさんはどことなく満足げだった。
「私、もう寝るから…」
とはいえ、危機を脱したわけではない。シルビアさんになんとか自分の部屋に戻ってもらわなければならない。どうしようか。
と頭を捻る間もなく解決してしまった。
すう、と規則正しい、そしてもはや可愛らしい寝息が聞こえてきたからだ。
はっや!!!と、思わず大声を出しかけたのを無理やり飲み込む。
推定三十歳以上の男性。のび太くん(メタ発言)も驚きの早さで眠るのが年齢を感じさせないもっちり肌の秘訣だろうか。
いや違う。そういう話ではない。
というか、なんでそんなトチ狂った思考回路になったか。
…そんなの決まってる。
一足も二足も三足も先に夢の世界に旅立ったシルビアさんの両腕に、私の身体がホールドされているからだ。
しかもかなりがっちりと。
ほぼほぼ抱き締められているのも同然だ。
どちらかというと、だき枕に近いけれど…、いやそれでも先ほどまでとは別の意味で焦りが生まれ、心臓が高鳴る。
こんなの、絶対おかしい。
しかしながらシルビアさんと密着している部分は人肌の温度で心地よく、つい目を細める。
ではこのまま眠れますかというと話は全く別だった。
結局、大変寝相がよろしいシルビアさんのおかげで一睡もできないまま、翌朝を迎えた私を待っていたのは彼の謝罪の嵐だった。
が、昨夜トイレから戻った時、どうも私が部屋を間違えてしまったことが即判明し、なぜ鍵が開いていたのか疑問に思いつつ(更にのち壊れて開きやすくなっていたことが判明した)も、私も滅茶苦茶謝ったのであった。
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