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「またやったらしいぞ。」
「野犬てより、駄犬じゃねぇのか?」
「言えてる。」
「得意のヒナさんに助けてもらうんだろよ。」
「さすがにクビだろ?」
下品な笑い声と誰かの悪口がドア越しに聞こえた。
あの海兵達は、ここがスモーカーさんの執務室と理解しているのにわざわざ大声で言っている。
下唇を血が滲む程噛み、握りしめた拳がブルブルと震えている。
怒りで頭に血が昇る。
今すぐドアを開けて、全員ぶん殴ってやりたい。
「おい。いちいち相手にすんな。」
そんなわたしを見てたいスモーカーさんな落ち着いた声色で宥める。
わたしの怒りはそんなに簡単には落ち着かなかない。
「まぁ、今回ばかりはクビかもな。」
自分の事なのに、他人事のように、いつも通りに葉巻を蒸しながら、積み上げられた書類にサインと判を押している。
「それ以上噛むと血出んぞ。」
何も返事をしないわたしを見て、1つため息。
「終わりそうにねぇから、書類手伝ってくれよ。」
わたしは彼が海軍将校になってからの専属秘書だ。書類のサポートも仕事のうちなのだけど…
「ムカつかないんですか?駄犬とかお得意とか言われて。」
スモーカーさんが悪いわけではないのに彼を咎めるような言い方をしてしまった。
わたしは、自分の主をバカにされて心底ムカついてますけど!
「おれに直接言えねぇ奴の戯言なんざ、興味がねぇよ。」
あなたがそうだから、あいつ等(特定できていないけれど)はつけあがるんじゃないですか!
「いつもそうやって言いますよね?」
「おれはおれの正義に従っるだけだ。あいつ等の正義なんぞ知らねぇからな。そんな奴らの評価を気にする必要がねぇんだよ。」
デスクに左肘をついておでこを抱え、右手には葉巻。
深いため息を吐き目線だけ寄越して「他に聞きたいことは?」と。
厭味ったらしくこちらも大きな大きなため息。
「あなたがクビになったら、わたしも職無しになるんですよ。」
「あぁ。善処する。」
ホラと、確認済の書類の束を差し出されるから、受け取る為に渋々とデスク前に移動する。
「上に提出してきますね。」
「あぁ。よろしく。」
預かった書類を見ると、スモーカーさんの見た目や言動とは裏腹に綺麗な文字で「Smoker」と並んでいる。
どれだけ忙しくても、大嫌いなデスクワークでも、この人は適当にサインをしない。
他の将校クラスの方々のサインをお見受けする度思うことは、文字から「めんどくせぇ」が伝わってくる。
スモーカーさんは口では言うけど、書類にきちんと目を通すし、承諾してからサインをする。承諾しないときは…上に噛みつきに行っている。
「スモーカーさん。あなたが野犬とか駄犬とか言われてますけど、わたしはそんな風に思えませんから。」
どうした?と言う顔のスモーカーさん。
「あなたは、自頭もいいし、鼻も耳もいい。部下を1番大切にしているし、気に入ってる上司も大切しているし、本当は愛情深いことも知ってます…」
書類を抱えたまま、しっかりとスモーカーさんと向き合う。
わたしの気持ちを汲み取ってくれたのか、ペンを起き、高級そうな革張りの椅子へ体を預けた。
「あなたの率いる部隊は、全員役割を全う出来ているし、みんながあなたを慕っている。
本質を見抜けるあなたは、普通の人はできない事とかやれない事やってしまうんですよね。
あなたを信頼する部隊のみんなも。
だから、他の部隊から煙たがれています。始末書も多いし、うちの部隊には家屋倒壊とかの請求も多いけど…」
スモーカーさんの目が少しだけ真剣な眼差しになった。
相槌は無くとも、ちゃんと聞いてくれている。
「あなたの人間性も何もわかってない人達にあんな事言われるのは、ムカつくんですよ。」
自分でビックリするくらいのハリのある声が出た途端に恥ずかしくなり、慌てて話しを反らそうとした。
「あっほら、スモーカーさんて、髪とか肌も白いし、でかいし、人に懐かないし、愛想ないし、尻尾振らないし…どっちかって言うと、でっかい狼みたいじゃないですか…」
受け取った書類を持つ手に力が籠もる。
恥ずかしい…何を言っているんだ。
スモーカーさんは表情を変えず、葉巻を蒸す。
「最後は必要あったか?」
そこかよ!ってツッコむ余裕も無くて誤魔化したいのに、口から出るのは更に恥ずかしくなるような事。
「必要あったはず…
とにかく!狼って気高くて美しいんですよ。
スモーカーさんがご自身の正義を全うする姿は気高くて美しいです。だから野犬でも駄犬でも無いです!」
もうダメだ。
わたしは何が言いたいんだ。
野犬じゃない!駄犬じゃない!って言いたいだけなのに、意味がわからない事ばかり。
スモーカーさんのリアクションを見たくないから、これは言い逃げしかない。
90度のお辞儀と一緒に「では行って参ります!!!!」と挨拶し、ダッシュで執務室を逃げ出した。
「おい!ナマエ!」
呼んだところで、ドアがでかい音を立てて閉まる。
なんだありゃ?さっきまでブチ切れてんじゃねぇのか?
最後のはなんだ?気高くて…って。
「あいつ、誰にでもあぁなのか?」と、独り言。
気にかけていた部下から評価を、耳の奥で反芻させた。
ある種の告白のようだった。
ナマエからの評価を嬉しく思い口角が上がる自分に気づくが、勘違いしないように告白では無いと言い聞かせる。
ただ、ナマエのデスクにある白い狼の置物を見ると、やはり告白だったのかと思ってしまう。
「わたし、狼とシロクマ大好きなんです!」
天井を仰ぎ「参ったな。」の言葉は、紫煙と共に消えていった。
書類をギュッと皺が寄るほど抱きしめ、廊下を走る。
日頃走ってないから、足が縺れそう。
途中でヒナさんとガーブさんを見かけたけど、ごめんなさい。挨拶できない。
今、呼吸も心臓がヤバいんです。
言うつもりなかったのに…あんなの告白じゃないか。
執務室のデスクには、以前遊びに行った冬島で買った白い狼の置物がある。
「わたし、狼とシロクマ大好きなんです!」
いつだかスモーカーさんに言った事がある。
あの頃のわたしを呪いたい。
シロクマか狼か迷って、自宅にはシロクマ、デスクには狼。
どちらもスモーカーさんを思い出して買った物だった。
忘れていてくれ!スッポリとそこだけ忘れて!
「野犬てより、駄犬じゃねぇのか?」
「言えてる。」
「得意のヒナさんに助けてもらうんだろよ。」
「さすがにクビだろ?」
下品な笑い声と誰かの悪口がドア越しに聞こえた。
あの海兵達は、ここがスモーカーさんの執務室と理解しているのにわざわざ大声で言っている。
下唇を血が滲む程噛み、握りしめた拳がブルブルと震えている。
怒りで頭に血が昇る。
今すぐドアを開けて、全員ぶん殴ってやりたい。
「おい。いちいち相手にすんな。」
そんなわたしを見てたいスモーカーさんな落ち着いた声色で宥める。
わたしの怒りはそんなに簡単には落ち着かなかない。
「まぁ、今回ばかりはクビかもな。」
自分の事なのに、他人事のように、いつも通りに葉巻を蒸しながら、積み上げられた書類にサインと判を押している。
「それ以上噛むと血出んぞ。」
何も返事をしないわたしを見て、1つため息。
「終わりそうにねぇから、書類手伝ってくれよ。」
わたしは彼が海軍将校になってからの専属秘書だ。書類のサポートも仕事のうちなのだけど…
「ムカつかないんですか?駄犬とかお得意とか言われて。」
スモーカーさんが悪いわけではないのに彼を咎めるような言い方をしてしまった。
わたしは、自分の主をバカにされて心底ムカついてますけど!
「おれに直接言えねぇ奴の戯言なんざ、興味がねぇよ。」
あなたがそうだから、あいつ等(特定できていないけれど)はつけあがるんじゃないですか!
「いつもそうやって言いますよね?」
「おれはおれの正義に従っるだけだ。あいつ等の正義なんぞ知らねぇからな。そんな奴らの評価を気にする必要がねぇんだよ。」
デスクに左肘をついておでこを抱え、右手には葉巻。
深いため息を吐き目線だけ寄越して「他に聞きたいことは?」と。
厭味ったらしくこちらも大きな大きなため息。
「あなたがクビになったら、わたしも職無しになるんですよ。」
「あぁ。善処する。」
ホラと、確認済の書類の束を差し出されるから、受け取る為に渋々とデスク前に移動する。
「上に提出してきますね。」
「あぁ。よろしく。」
預かった書類を見ると、スモーカーさんの見た目や言動とは裏腹に綺麗な文字で「Smoker」と並んでいる。
どれだけ忙しくても、大嫌いなデスクワークでも、この人は適当にサインをしない。
他の将校クラスの方々のサインをお見受けする度思うことは、文字から「めんどくせぇ」が伝わってくる。
スモーカーさんは口では言うけど、書類にきちんと目を通すし、承諾してからサインをする。承諾しないときは…上に噛みつきに行っている。
「スモーカーさん。あなたが野犬とか駄犬とか言われてますけど、わたしはそんな風に思えませんから。」
どうした?と言う顔のスモーカーさん。
「あなたは、自頭もいいし、鼻も耳もいい。部下を1番大切にしているし、気に入ってる上司も大切しているし、本当は愛情深いことも知ってます…」
書類を抱えたまま、しっかりとスモーカーさんと向き合う。
わたしの気持ちを汲み取ってくれたのか、ペンを起き、高級そうな革張りの椅子へ体を預けた。
「あなたの率いる部隊は、全員役割を全う出来ているし、みんながあなたを慕っている。
本質を見抜けるあなたは、普通の人はできない事とかやれない事やってしまうんですよね。
あなたを信頼する部隊のみんなも。
だから、他の部隊から煙たがれています。始末書も多いし、うちの部隊には家屋倒壊とかの請求も多いけど…」
スモーカーさんの目が少しだけ真剣な眼差しになった。
相槌は無くとも、ちゃんと聞いてくれている。
「あなたの人間性も何もわかってない人達にあんな事言われるのは、ムカつくんですよ。」
自分でビックリするくらいのハリのある声が出た途端に恥ずかしくなり、慌てて話しを反らそうとした。
「あっほら、スモーカーさんて、髪とか肌も白いし、でかいし、人に懐かないし、愛想ないし、尻尾振らないし…どっちかって言うと、でっかい狼みたいじゃないですか…」
受け取った書類を持つ手に力が籠もる。
恥ずかしい…何を言っているんだ。
スモーカーさんは表情を変えず、葉巻を蒸す。
「最後は必要あったか?」
そこかよ!ってツッコむ余裕も無くて誤魔化したいのに、口から出るのは更に恥ずかしくなるような事。
「必要あったはず…
とにかく!狼って気高くて美しいんですよ。
スモーカーさんがご自身の正義を全うする姿は気高くて美しいです。だから野犬でも駄犬でも無いです!」
もうダメだ。
わたしは何が言いたいんだ。
野犬じゃない!駄犬じゃない!って言いたいだけなのに、意味がわからない事ばかり。
スモーカーさんのリアクションを見たくないから、これは言い逃げしかない。
90度のお辞儀と一緒に「では行って参ります!!!!」と挨拶し、ダッシュで執務室を逃げ出した。
「おい!ナマエ!」
呼んだところで、ドアがでかい音を立てて閉まる。
なんだありゃ?さっきまでブチ切れてんじゃねぇのか?
最後のはなんだ?気高くて…って。
「あいつ、誰にでもあぁなのか?」と、独り言。
気にかけていた部下から評価を、耳の奥で反芻させた。
ある種の告白のようだった。
ナマエからの評価を嬉しく思い口角が上がる自分に気づくが、勘違いしないように告白では無いと言い聞かせる。
ただ、ナマエのデスクにある白い狼の置物を見ると、やはり告白だったのかと思ってしまう。
「わたし、狼とシロクマ大好きなんです!」
天井を仰ぎ「参ったな。」の言葉は、紫煙と共に消えていった。
書類をギュッと皺が寄るほど抱きしめ、廊下を走る。
日頃走ってないから、足が縺れそう。
途中でヒナさんとガーブさんを見かけたけど、ごめんなさい。挨拶できない。
今、呼吸も心臓がヤバいんです。
言うつもりなかったのに…あんなの告白じゃないか。
執務室のデスクには、以前遊びに行った冬島で買った白い狼の置物がある。
「わたし、狼とシロクマ大好きなんです!」
いつだかスモーカーさんに言った事がある。
あの頃のわたしを呪いたい。
シロクマか狼か迷って、自宅にはシロクマ、デスクには狼。
どちらもスモーカーさんを思い出して買った物だった。
忘れていてくれ!スッポリとそこだけ忘れて!