短編
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落とし前戦争の後、わたしとマルコはオヤジが大切にしていたスフィンクス島へ来た。
できるだけのことはやったが、ティーチを討つことは出来なかった。落とし前戦争でボロボロだったわたし達は最後にオヤジの島を守ろうと、約束しあった。
この島は長閑で島のみんなの優しさや温かさは、わたしとマルコの傷ついた心を癒やしてくれる。笑顔が溢れる島で、わたし達も自然に笑顔が増えていった。
もう海には出ないと、マルコは誇りを隠すようにシャツの前を締め、わたしも腰に彫った誇りを隠す生活を送った。
それでも、夜は薄着になり互いの誇りにキスをする。
オヤジへの忠誠なのか、懺悔なのわからないが、生きている証のようのキスを繰り返していた。
そんな穏やかな陸の暮らしを壊すような事件。
ネコマムシと言う、マルコの古い友人が来た。わたしが乗船する前まで、モビーに乗っていたという。
彼は、ワノクニへ行こう、カイドウを引きずり下ろそうと。おでんの仇を討とうと。
何度も止めた。
行かないでほしいと。
此処に居てくれと。
これ以上戦いで失うのは嫌だと。
マルコは首を縦に振らない。
「友達の為なんだ。」
その顔は知ってる。何度も見てきたから。凛とした雰囲気で、揺るがない意志の強い瞳。眼鏡を掛けた所で、決然たる瞳は誤魔化せない。
こうなったマルコは止められない。
そうわかっていても、止めるのはわたしのわがままなのか。イゾウの故郷と知っていても、相手がカイドウならマルコは無事ではないだろう。
オヤジもエースもサッチも居なくなって、大切な家族もバラバラ。こんな中、最愛のマルコまで失うのはおかしくなってしまう。
彼が飛び立つ朝。
晴天で風は進路へ向いて吹いている。
「ナマエ、必ず戻ってくる。」
「必ずなんて無いよ。その言葉は、何回も聞いた。」
「いや…必ずだよい。」
「……」
「俺の帰る場所は、お前の所だ。お前がどこに居ても、俺はお前のもとに必ず帰ってくるよ。」
きつく抱き締められた。鼻の奥がツンとしたけれど泣いたら彼を困らせてしまう。
もし、これが最後なら泣き顔は見せたくない。
マルコの胸に耳を当て、規則正しくトクントクンと奏でられる音に心が落ち着く。生きている証。
「…うん。」
「戻ってくるまで、いい子にしていてくれ。」
「‥うん。」
「皆を頼むねい。」
「…うん。」
「ワノクニの土産楽しみにしてろい。」
「バカなの?」
「遠征の時は、土産買ってきてただろ。今回も遠征だよい。」
緊張感が無くなるような事を言うのは、マルコ自身が帰ってくると決心しているから。
ソッとマルコの腕から抜け出し、しっかりと目を合わせる。綺麗な蒼い瞳にわたしの顔が小さく映っている。
「ねぇ、マルコ。置いていかないでほしい。」
「あぁ。でもな。お前は連れていけねぇ。」
大きな手がわたしのお腹を擦る。
「産まれる前に帰ってくる。」
「うん。」
マルコの厚い唇が、ゆっくりと近づいてくる。
敢えて目を閉じずに待っていると、クスっと笑う。
「目瞑れよ。」
「ずっと見ていたい。」
「簡単に死なねぇから、そう言うな。」
島の裏側、奥の森。
断崖絶壁の1番高い所から、マルコは飛びたつ。
大好きな深い青の海の先には、ワノクニがある。見えるわけでは無いが、グッと睨みつけてしまう。
「いってくるねぃ。」
「いってらっしゃい。」
もう一度キスをし、精一杯の笑顔を作る。気を抜いたら涙が決壊しそう。
「ナマエ、愛してるよい。」
ブワッと蒼い炎が広がり、風に乗って勢いよく飛び立った。
空の青によく似た蒼が見えなくなるまで、手を振る。
泣かない泣かない絶対泣かない。そう決めていたのに、見えなくなった途端に膝から崩れ落ちた。ボタボタと落ちる涙が地面に吸い込まれていく。
マルコ、無事に帰って来て。
神様なんて信じていないけれど、祈ってしまう。
お願いします。どうか…どうか、マルコが無事でありますように。
できるだけのことはやったが、ティーチを討つことは出来なかった。落とし前戦争でボロボロだったわたし達は最後にオヤジの島を守ろうと、約束しあった。
この島は長閑で島のみんなの優しさや温かさは、わたしとマルコの傷ついた心を癒やしてくれる。笑顔が溢れる島で、わたし達も自然に笑顔が増えていった。
もう海には出ないと、マルコは誇りを隠すようにシャツの前を締め、わたしも腰に彫った誇りを隠す生活を送った。
それでも、夜は薄着になり互いの誇りにキスをする。
オヤジへの忠誠なのか、懺悔なのわからないが、生きている証のようのキスを繰り返していた。
そんな穏やかな陸の暮らしを壊すような事件。
ネコマムシと言う、マルコの古い友人が来た。わたしが乗船する前まで、モビーに乗っていたという。
彼は、ワノクニへ行こう、カイドウを引きずり下ろそうと。おでんの仇を討とうと。
何度も止めた。
行かないでほしいと。
此処に居てくれと。
これ以上戦いで失うのは嫌だと。
マルコは首を縦に振らない。
「友達の為なんだ。」
その顔は知ってる。何度も見てきたから。凛とした雰囲気で、揺るがない意志の強い瞳。眼鏡を掛けた所で、決然たる瞳は誤魔化せない。
こうなったマルコは止められない。
そうわかっていても、止めるのはわたしのわがままなのか。イゾウの故郷と知っていても、相手がカイドウならマルコは無事ではないだろう。
オヤジもエースもサッチも居なくなって、大切な家族もバラバラ。こんな中、最愛のマルコまで失うのはおかしくなってしまう。
彼が飛び立つ朝。
晴天で風は進路へ向いて吹いている。
「ナマエ、必ず戻ってくる。」
「必ずなんて無いよ。その言葉は、何回も聞いた。」
「いや…必ずだよい。」
「……」
「俺の帰る場所は、お前の所だ。お前がどこに居ても、俺はお前のもとに必ず帰ってくるよ。」
きつく抱き締められた。鼻の奥がツンとしたけれど泣いたら彼を困らせてしまう。
もし、これが最後なら泣き顔は見せたくない。
マルコの胸に耳を当て、規則正しくトクントクンと奏でられる音に心が落ち着く。生きている証。
「…うん。」
「戻ってくるまで、いい子にしていてくれ。」
「‥うん。」
「皆を頼むねい。」
「…うん。」
「ワノクニの土産楽しみにしてろい。」
「バカなの?」
「遠征の時は、土産買ってきてただろ。今回も遠征だよい。」
緊張感が無くなるような事を言うのは、マルコ自身が帰ってくると決心しているから。
ソッとマルコの腕から抜け出し、しっかりと目を合わせる。綺麗な蒼い瞳にわたしの顔が小さく映っている。
「ねぇ、マルコ。置いていかないでほしい。」
「あぁ。でもな。お前は連れていけねぇ。」
大きな手がわたしのお腹を擦る。
「産まれる前に帰ってくる。」
「うん。」
マルコの厚い唇が、ゆっくりと近づいてくる。
敢えて目を閉じずに待っていると、クスっと笑う。
「目瞑れよ。」
「ずっと見ていたい。」
「簡単に死なねぇから、そう言うな。」
島の裏側、奥の森。
断崖絶壁の1番高い所から、マルコは飛びたつ。
大好きな深い青の海の先には、ワノクニがある。見えるわけでは無いが、グッと睨みつけてしまう。
「いってくるねぃ。」
「いってらっしゃい。」
もう一度キスをし、精一杯の笑顔を作る。気を抜いたら涙が決壊しそう。
「ナマエ、愛してるよい。」
ブワッと蒼い炎が広がり、風に乗って勢いよく飛び立った。
空の青によく似た蒼が見えなくなるまで、手を振る。
泣かない泣かない絶対泣かない。そう決めていたのに、見えなくなった途端に膝から崩れ落ちた。ボタボタと落ちる涙が地面に吸い込まれていく。
マルコ、無事に帰って来て。
神様なんて信じていないけれど、祈ってしまう。
お願いします。どうか…どうか、マルコが無事でありますように。
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