Short
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
パサっとテーブルにカードが投げられる。
「ストレート!!」
ニヤリとマルコは笑った。
そして、パサリとカードを投げる。
「フルハウスだよい」
「うわぁー!!マルコつえぇ!」
「10連勝かよ!」
「今日やべぇな!」
「ほらほら、早く次やろうぜい!今日はツイてるよい!」
食堂の一角で大騒ぎしているクルー達が居る。
大負けしたであろうクルーは、がっくりと肩を落としている。
「ポーカー?」
その集団へひょっこりと顔を出したのはナマエ。
「お!ナマエじゃん」
「あぁ。マルコの一人勝ちだよ」
テーブルをキョロキョロと見る。
「私もやっていいんだよね?」
「ナマエ、ちゃんとベリー賭けろよ」
「ベリーじゃなくて、今度の船番賭けない?」
ゆっくり見たいものがあるのに船番が確定していたから、交換してほしいとナマエは笑った。
「いいよい!今のオレは絶好調だからねい!負けねぇよい」
余裕のある勝ち誇った笑顔のマルコの向かいに、ナマエは静かにニコリと笑って座った。
「お手やわらかにお願いね?」
マルコとナマエの前へカードが配られていく。
「ナマエ、ギャンブル強かったよな?」
「カジノじゃ、そこそこ勝ってるはずだぜ」
「マルコ、知らねぇのか?」
――――――
「ストレートフラッシュ」
「……フラッシュだよい」
「じゃあ、船番3回分交換ね!マルコ」
「クソッ」
「ベリーは賭けてないんだから、いいでしょ。次の島で美術館巡りしたかったのー!船番変わってもらえて嬉しい!マルコありがとう!」
マルコにわざとらしく投げキスして食堂を後にする。
――目的の島に到着。
「マルコ、船番よろしくね!」
「うるせぇよい!さっさと行け!」
あの日、ポーカーの野次馬をしてたクルー達が、ギャハハと笑って船を降りていく。
甲板から、小さくなるナマエの背中を見ていた。いつもとは違う服装。
美術館を巡ると言っていた。
だからなのだろう、品のあるワンピースを着て背筋を伸ばして歩いている。
その背中は、凛として美しい。
誰が見ても"白ひげ海賊団のクルー"とは思えないだろう。
船縁に両肘をついて頭を垂れ、深いため息をひとつ。
「一緒に出掛けてぇな…」
口を出た本音に自嘲気味に笑った。
ため息ではなく、フッと息を吐き出し甲板を見渡す。
7番隊のクルー達がのんびりと過ごしている。
違う隊の奴らと過ごす船番もいいかもしれない。
普段あまり話さないクルーも居るし、いい気分転換になるかもしれない。
「まぁ、たまにはいいかもな…」
大きな伸びをして、ポケットに手を突っ込み歩き出す。
――――
夕方
「お疲れー。船番ありがとう」
「お前、それ何買ったんだよい?」
両手に大量の袋を抱えているナマエ。
いつも簡単に纏めている髪は、陸に降りる時だけは下ろされる。
彼女の方から、柔らかい香りが風にのって流れてくる。
それは、シャンプーの香りなのか、香水なのか。
「画材とか、素敵な画集とか」
「届けさせるとか、やり方あったんじゃねぇのかい?」
「すぐ読みたかったから、いいの。大切なものだし」
「画集が?」
「そう!すっごく素敵なの!!」
ナマエは、目を輝かせてマルコに説明するがマルコにはちっとも理解できない。
それを見かねたナマエは、少し冷めた笑いをした。
「ごめん。興味ないよね……。あ!船番のお礼つーか、土産」
袋を床に置き、バッグから何か取り出す。
「おい!危ねぇよい!」
マルコの胸元にポイっと投げられたのは、小さな包み。
「?なんだこれ?」
「医務室って風が入りやすいから、書類飛ぶって言ってたでしょ?ペーパーウェイト。マルコの羽みたいな色だったからね」
包みを開けると、自身の羽にそっくりな色のペーパーウェイトだった。思わず「おぉ‥」と声が漏れる。
光にかざしてみれば、中に黄色かゴールドのような色も入っている。
「……よく覚えてるな。ありがとねい。大切に使わせてもらうよい」
「船番のお礼だよ。じゃあねー」
ナマエが、一瞬だけはにかんだ笑顔に見えた。
すぐにいつもの表情に戻ったから、自分の気のせいだろうかとマルコは思った。
――できれば、そういう顔をもっと見せてほしいんだけどな
「ナマエ!!荷物持ってやるよい」
「いいよー。筋トレだから」
「オレは、1日中船番してて鈍ってるんだよい!」
貰ったペーパーウェイトをポケットへしまい、ナマエの隣へ駆け寄る。
「ありがとう」
「荷物持ちが必要な時は言ってくれ」
「あはは。隊長を独り占めするのは気が引けちゃうな」
いつもと違った雰囲気のナマエと並んで歩くことは、マルコにとって心が躍ることだった。
例え、それが船内の廊下だとしても。
他のクルーへの牽制――なんて言えば聞こえはいいが、要は隣を譲りたくないだけ。我ながら柄じゃねぇと思いながらも、マルコは彼女の隣を歩いた。
――――
「あ…使ってくれてるんだね」
ナマエは、マルコに聞きたいことがあって医務室を訪れた。
彼のデスクにある書類の上に、プレゼントしたペーパーウェイトが置かれていた。
「あぁ。助かってるよい」
「ひとつじゃ足りないね」
「そうなんだよい。紙が多すぎだよな」
この部屋は、書類やカルテが多い。
マルコが、たまに描いてる海図もあるから尚更。
「ナマエが前話してくれた画集の画家覚えてるかい?」
「うん。なんで?興味持ったの?」
「たまたま……」
「ん?」
「初期の頃の画集を見つけたんだ。これ」
茶色の包みを渡され、驚きつつ丁寧に包みを開ける。
「え……これ、本当に?マルコ…どうして?」
「ペーパーウェイトの礼だよい。それと…」
マルコは少しだけ気恥ずかしそうに視線を外した。
「お前が楽しそうに話してるの、嫌いじゃねぇから。……今度はオレにも、その中身を教えてくれよい」
一人の男として、彼女の世界に興味があることを伝えるマルコ。
照れくさそうに笑うマルコを見ていると、この画集だけじゃなくて彼の表情も、ナマエにとって宝物となった。
「ペーパーウェイトより高価なモノいただいちゃった……
マルコ、ありがとう。本当に大切にするね!!」
「あぁ。そうしてくれるとおれも嬉しいよい」
好きな人からのプレゼントだったら、なんだって嬉しいけれど……欲しかった画集となると、嬉しくてマルコを抱き締めたくなる。
――彼女になれたら……こういう時に抱き締めてもいいんだよね
複雑な表情のナマエをマルコは不思議に思った。
「ナマエ、どうした?」
「ううん。なんでもない」
そう誤魔化して、画集を抱き締めたまま、本来の目的を聞きはじめた。
――いつになったらマルコに告げる勇気が出るのかな……
―――
「マルコー。今暇?」
「上陸の準備終わったから暇だよい」
「じゃあさ、勝負しない?」
「へぇ。また船番か?」
「ちょっと違うかなー」
「酒か?飯?」
「マルコの1日」
トランプを切りながら、聞こえるか聞こえないかの小さな声。
「ん?」
「……私が勝ったら、マルコの1日ちょうだい?」
「っ……」
「私が負けたら、言う事聞くから……」
「……1日じゃ、足りねぇよ」
「え?」
「オレが勝ったらナマエの一生くれよ?」
「それ…勝負する意味ある?」
お互いに吹き出して、ナマエはトランプをテーブルに置いた。
「マルコ、もう1回言って?」
「お前の一生、オレにくれよい」
カンカンカンカン!!!!
「バカップル!さっさと船降りろ!!!食堂でイチャつきやがって!!!」
船番のサッチがフライパンをレードルで叩いてめちゃくちゃ怒鳴った。
「うるさっ!!」
「サッチ!!うるせぇよい!!」
トランプも片付けずに、2人は笑いながら食堂を飛び出す。
廊下に出て、改めて互いの顔を見ると、少しだけ照れくさそうな表情。
「……ナマエのこと、好きだよい。」
