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ガンダムビルドファイターズSEED

 『ガンプラバトル』――それは『機動戦士ガンダム』シリーズのプラモデルを使用して対戦することだ。自分で製作したガンプラを思いのままに操ることができるという画期的なシステムの登場により、この『ガンプラバトル』は世界中で大流行していた。最近では部活動として『模型部』を作り、大会出場を図る学校も増えてきている。
 ここ、私立プラント学園もそんな学校の一つだが、珍しいことに部員はたったの二人。ガンプラブーム最高潮の今、プラント学園の模型部は異様と言って良いほど活気が無い。 だが部長であるキラ・ヤマトはそれを気にする様子も無く、むしろ「これくらい静かなほうが集中できていい」とこの環境をいたく気に入っている。
――しかしある日、模型部を揺るがす大事件が発生した。


「え…廃部、ですか?」
 キラは何を言われたのか一瞬理解が出来なかった。
 部活動時間に突然生徒会室に呼び出され、何事かと来てみれば生徒会長のラクス・クラインから直々に模型部の廃部を通告されたのだ。
「ちょ、ちょっと待ってください!そんな、いきなり廃部だなんて…」
「貴方の仰りたいことはよく分かりますわ。ですが部員はたったの二人。大した功績もございません。我が校の規則では部員は二人以上、そして年に一度は大会やコンクールに出場することが部活動を行う際の条件となっています。ヤマトさんもそれはご存知でしょう?」
 返す言葉も無い。
 この学園の部活動は基本学園にとってメリットがあるものしか認めていない。他の部活は大会に出て結果を残し、学園の宣伝をしている。だが模型部はどうだ。何か大きな大会に出場するわけでもなく、ただただ部室に篭ってプラモデルを作っているだけ。所謂穀潰し。むしろ今まで存続していたことが奇跡だ。
 しかしここの模型部は、はいそうですかと手放すには惜しすぎる環境だった。塗装用の塗料はどのガンプラを作ろうと困らない程の種類があり、墨入れペンは流し込みタイプ、細ペンタイプ、筆ペンタイプなどよりどりみどり。ニッパーは高級すぎて手が届かなかった高品質のもの。そして何よりバトルシステムが置いてある。まさにガンプラの為に作られたような部屋だった。キラの自宅にも勿論それなりの物は揃っているが、この部室と比べたら断然少ない。
 それにキラにはある大きな夢がある。その夢へ少しでも近づくためには、やはり模型部が必要だ。
「…ですが、まだ確定したわけではありませんわ。」
「え?」
 どうするべきかと途方に暮れていたキラは、ラクスのその言葉にばっ、と顔を上げた。ラクスはそんなキラに優雅に微笑んで言葉を続けた。
「廃部までの間に学園にとってメリットになることをすれば良いのです。幸い、一週間後に隣のアプリリウス市でガンプラの大きな大会が予定されています」
 嫌な予感がする。アプリリウスでの大きな大会、そんなものは一つしかない。だがしかし、それは今のキラにはとてつもなくハードルが高いものだ。頼む、間違いであってくれ…
そんなキラの想いも空しく、ラクスは天使のような微笑で悪魔のような一言を放った。
「一週間後、アプリリウス市で行われるガンプラバトル選手権の予選に参加すること。それが模型部存続の条件ですわ。」

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