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終わりを司る者と、始まりを司る者。きっと彼との接点などその程度で、過ごしてきた時間を見れば、彼を追う理由などないに等しいはずだと。ドルモンの中に微かに残るアルファモンとしての意識は疑問に思っていた。そもそも初めて会った時など、オメガモンにとってドルモンという存在は、いや、ドルモンだけに留まらず他のすべてのデジモンが排除するべき対象だったから、散々だったはずだ。圧倒的な力の前に為す術もなく地に倒れ伏したのは記憶に新しい。デュークモンの導きによってイグドラシルへと向かった先でも、決して優遇などされなかった。あの時切りつけられた痛みも何もかも、ドルモンは1つだって忘れてはいない。けれど。
(それでも、彼を綺麗だと思った。思ってしまった)
そして同時に、ただ純粋に、欲しいと。
アルファモンとは本来ロイヤルナイツの抑止力であるから、有事の時以外にその姿を現す必要はないし、現すべきではない。しかしドルモンのままでは彼の前に姿を出せなかった。だから今、ドルモンはアルファモンへと姿を変えてオメガモンに会いに来た。当然オメガモンは戸惑ったけれど、逃げようとするその手を黒く大きな手で捉えられて仕舞えば、逃げ出そうにもできなかった。
「…どういうつもりなんだ」
「どういう…?言った通りだが」
「お前には他に信頼できる仲間がいるのではないのか」
妙な言い回しをしても決して伝わらないと思ったから、アルファモンは素直に語った。その口で、貴方が欲しいと言った。オメガモンは、アルファモンに好い
ているなどと言われても信用できなかった。好かれる要素が見つからなかった。嫌われる覚えならいくらでもあるけれど。
「…私である必要はないだろう」
「なぜ?俺は貴方がいい」
間髪入れずアルファモンがそう伝えれば、オメガモンは困ったように顔を逸らす。力の差だって歴然なのに、それを差し引いても、オメガモンには自分が彼から逃れるという未来はついぞ見えなかった。
(それでも、彼を綺麗だと思った。思ってしまった)
そして同時に、ただ純粋に、欲しいと。
アルファモンとは本来ロイヤルナイツの抑止力であるから、有事の時以外にその姿を現す必要はないし、現すべきではない。しかしドルモンのままでは彼の前に姿を出せなかった。だから今、ドルモンはアルファモンへと姿を変えてオメガモンに会いに来た。当然オメガモンは戸惑ったけれど、逃げようとするその手を黒く大きな手で捉えられて仕舞えば、逃げ出そうにもできなかった。
「…どういうつもりなんだ」
「どういう…?言った通りだが」
「お前には他に信頼できる仲間がいるのではないのか」
妙な言い回しをしても決して伝わらないと思ったから、アルファモンは素直に語った。その口で、貴方が欲しいと言った。オメガモンは、アルファモンに好い
ているなどと言われても信用できなかった。好かれる要素が見つからなかった。嫌われる覚えならいくらでもあるけれど。
「…私である必要はないだろう」
「なぜ?俺は貴方がいい」
間髪入れずアルファモンがそう伝えれば、オメガモンは困ったように顔を逸らす。力の差だって歴然なのに、それを差し引いても、オメガモンには自分が彼から逃れるという未来はついぞ見えなかった。