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デジタルハザードをその身に刻まれて生まれたデュークモンは、並みの平穏や幸福を手にすることは恐らくできないのだろうなと、最初から諦めている節があった。聖騎士型へと進化して尚、彼のウイルス種という本質は変わらない。彼の生には、常に影が付きまとう。けれどそれでいいと思ってきた。それはもう、仕方のないことだから。デュークモンの力でその運命をどうにかできるのなら、彼はとっくにしている。できないから甘んじて受け入れている。誰かを守るために力を振えるうちは、きっと幸福なのだ。
だから彼といる時、自分が酷く満たされているということに、デュークモンは最初こそ慣れることができなかった。デュークモンよりも先にロイヤルナイツとなり、デュークモンよりも圧倒的な強さで任務をこなす、究極体の更に上の存在、オメガモン。彼の側にいるうちは、不思議と自分は今幸福なのだということを受け入れることができた。息がしやすく、居心地がよかった。
(きっと、最初からだった)
胸に宿ったその感情の名前を、デュークモンは知っている。ただ純粋な、綺麗なだけの好意ではないことを、よく分かっている。彼といれば、自分はどこまでも幸福でいられる。誰よりも笑っていられる。だからこそ、オメガモンには何も言わない。その想いは、ただのエゴでしかないと理解しているから。今でも十分すぎるほどに幸福なのに、これ以上を望んだらどうなるのだろう。オメガモンのいなかった頃の自分には、到底戻れやしなかった。側にいられるだけでいいのだ。それ以上は決して望んだりしないから、どうかこの先もずっと、傍にいてほしい。
「お前はウイルス種のくせに、随分待てが得意だな。わざわざ俺から言わなければ分からないか?」
だから、そんな風に言われるなんて、そんなの。きっとこれは、都合のいい夢なのだ。
「仕方のない奴だな。デュークモン」
ふと細められた瞳は、どこまでも優しかった。
「お前と同じように、俺もお前を愛している」
だから彼といる時、自分が酷く満たされているということに、デュークモンは最初こそ慣れることができなかった。デュークモンよりも先にロイヤルナイツとなり、デュークモンよりも圧倒的な強さで任務をこなす、究極体の更に上の存在、オメガモン。彼の側にいるうちは、不思議と自分は今幸福なのだということを受け入れることができた。息がしやすく、居心地がよかった。
(きっと、最初からだった)
胸に宿ったその感情の名前を、デュークモンは知っている。ただ純粋な、綺麗なだけの好意ではないことを、よく分かっている。彼といれば、自分はどこまでも幸福でいられる。誰よりも笑っていられる。だからこそ、オメガモンには何も言わない。その想いは、ただのエゴでしかないと理解しているから。今でも十分すぎるほどに幸福なのに、これ以上を望んだらどうなるのだろう。オメガモンのいなかった頃の自分には、到底戻れやしなかった。側にいられるだけでいいのだ。それ以上は決して望んだりしないから、どうかこの先もずっと、傍にいてほしい。
「お前はウイルス種のくせに、随分待てが得意だな。わざわざ俺から言わなければ分からないか?」
だから、そんな風に言われるなんて、そんなの。きっとこれは、都合のいい夢なのだ。
「仕方のない奴だな。デュークモン」
ふと細められた瞳は、どこまでも優しかった。
「お前と同じように、俺もお前を愛している」
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