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ロイヤルナイツの中でも最もイグドラシルから命を受けることが多いのはオメガモンで、だから彼はいつもデジタルワールドを飛び回っているし、自身のデジタルスペースにいる間はそのほとんどの時間を睡眠に充てることが多い。そうしなければ倒れてしまうほどに、オメガモンはいつもイグドラシルからの命で動いていた。
デュークモンがそんなオメガモンを見つけたのはたまたまだった。自分の分の仕事を終えイグドラシル内を歩いていたところで、前から歩いてくるオメガモンを見つけた。姿を見れたのが少しだけ嬉しくてそのまま声をかけようとしたが、どこか足取りがおぼつかないというか、前方にいるデュークモンにも気づいていなさそうな様子に首を傾げれば、次の瞬間その体が傾いた。
「ッ、オメガモン!」
体を地面へ打ち付ける前に慌てて倒れてくる彼を受け止める。任務先で大きなけがを負ったという報告は受けていなかったはずだが、何か悪質なウイルスをもらってきたのだろうか。意識を確かめようと顔を覗き見れば、耳を澄ますとすぅすぅという微かな息の音が聞こえた。
「…寝ているのか?」
その顔に苦し気な様子は見られない。そういえば最近はずっと任務ばかりで姿を見ていなかったなと思い出したデュークモンは、少し笑ってオメガモンを抱えると自分のデジタルスペースへと足を運んだ。抱える時ですら少しも覚醒する気配が見られなかったから、よほど疲れていたのだろう。本当はこんな風に倒れてしまう前に頼ってほしいというのがデュークモンの本音だが、どうせ言ったところで改善されるとも思っていないから、デュークモンはもうあえて言うのをやめた。
起こしてしまわないようにベッドへそっと体を横たわらせる。一度目が覚めたのかデュークモンの名前を小さく呼んだが、結局そのまままた眠ってしまった。安心しきっている寝顔がなんだか少し憎らしかった。
「…信頼されてる証なんだろうがなぁ」
これはこれで少し複雑な気分だなと、デュークモンは愛おしそうに頬に触れた。
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