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ウィッチェルニーとは、イグドラシルが管理するデジタルワールドとはまた違う次元に存在する魔法が広く伝わっている世界だ。デジタルワールドで見られるウィザーモンたちも、もとはこのウィッチェルニーという世界からやって来ている。そんなもう一つの世界、そこに伝説の英雄と崇められるデジモンがいた。名前をメディーバルデュークモンといい、彼はデジタルワールドではまず姿を見ることがなく、こちらでは幻想の戦士という異名を持つ。デジタルワールドにおいてはフォレストリーフが採れる森でその目撃情報が時折挙げられるが、そもそも存在しているのかどうかも定かではなく、デジタルワールドでその名前が出ることはほぼないと言っても過言ではない。
けれど、ウィッチェルニーにおいてはそうでもない。
「…ほう」
メディーバルデュークモンが覗くのは隣接するデジタルワールドの様子。あちらの世界に自分と同じ名前を持つ戦士がいることは彼もずっと前から知っていた。イグドラシルのことなどはよく知らないし興味もないが、同じ名前の戦士には興味があった。最初はそれが目的で盗み見ていたが、その中で一際目を惹く存在がいた。デュークモンとよく共に姿を見る、純白の騎士。
「…オメガモンといったか」
彼のようにどこまでも白い姿を持つ者を見たのは初めてだった。デュークモンがあまり自身の感情を隠さない一方で、何かに縛られるように、何かに追われるように生きている瞳をしていた。だから気になった。いったいどう生まれればそんな目をするのかと。騎士ではなく戦士として生きてきたメディーバルデュークモンにはわからない。けれどせっかく生きているのにあんな目をするのはいただけないと思った。何より。
「あんなに綺麗な目をしているのに」
いつかその青が輝くところを見られるものだろうか。メディーバルデュークモンは小さくそう呟くと、もう一度その純白を瞳に収めた。
「一度こちらに連れてきてしまうのもいいかもしれないなぁ」
そんな秘かな思いを抱きながら。
けれど、ウィッチェルニーにおいてはそうでもない。
「…ほう」
メディーバルデュークモンが覗くのは隣接するデジタルワールドの様子。あちらの世界に自分と同じ名前を持つ戦士がいることは彼もずっと前から知っていた。イグドラシルのことなどはよく知らないし興味もないが、同じ名前の戦士には興味があった。最初はそれが目的で盗み見ていたが、その中で一際目を惹く存在がいた。デュークモンとよく共に姿を見る、純白の騎士。
「…オメガモンといったか」
彼のようにどこまでも白い姿を持つ者を見たのは初めてだった。デュークモンがあまり自身の感情を隠さない一方で、何かに縛られるように、何かに追われるように生きている瞳をしていた。だから気になった。いったいどう生まれればそんな目をするのかと。騎士ではなく戦士として生きてきたメディーバルデュークモンにはわからない。けれどせっかく生きているのにあんな目をするのはいただけないと思った。何より。
「あんなに綺麗な目をしているのに」
いつかその青が輝くところを見られるものだろうか。メディーバルデュークモンは小さくそう呟くと、もう一度その純白を瞳に収めた。
「一度こちらに連れてきてしまうのもいいかもしれないなぁ」
そんな秘かな思いを抱きながら。