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ロイヤルナイツというのはネットワークセキュリティの最高峰に位置する聖なる騎士団であるが、彼らは決してデジタルワールドに生きる全てのデジモンに対して味方になってくれるわけではない。彼らはあくまで己が信じる正義によってのみ行動する者たちである。時に闇を主君とすることさえあれば、時にデジモンを葬ることさえも。

「だから先ほどから貴様らの言う『ロイヤルナイツがこんなことを』などという言葉は無意味だと言っているだろうに」
「ひっ、助け、」
そのデジモンが助けを乞うよりも先に、デュークモンのグラムがそれを電脳核諸共貫いてしまう。痛みを感じる暇さえなく一体のデジモンは跡形もなく消え去った。デュークモンの瞳は冷たい。ウイルス種の本能が解放されたのか、否。彼はまだ、真紅の騎士のままだ。デュークモンは心底腹を立てていた。単独で任務に向かっていた盟友のオメガモンが負傷して帰ってきたからだ。聞けば任務先で彼自身に恨みを持つデジモンから攻撃を受けたという。本人は対して気にしていない様子だったが、誰よりデュークモンがそれを許さなかった。
「…あまりやりすぎると俺が動かなくてはいけなくなるから、控えめにしてほしいんだがな」
「何を言う、抑止力の貴様こそ私よりご立腹だろうに」
背後にひっそりと降り立ったアルファモンがわざとらしく言えば、デュークモンは嘲笑を返した。辺りは見るも無残な光景が広がっている。並みの究極体や完全体は、全てデュークモンの敵ではなかった。そこにあるのは明らかな私怨であるが、それを咎める者はそこに存在しない。
彼は聖騎士である前にウイルス種、他者が己の物に手を出すことを何よりも嫌う。そこにロイヤルナイツという肩書きがあろうとなかろうと変わらない。
「勝手に動くのはいいけど、本人にバレないようにしろよ」
「はは、無論だ。私を誰だと思っている」
清々しい笑顔で笑うデュークモンは、例え私怨によって他者をその手にかけようと、例えそこにウイルス種の本能を見せようと、どこまでも正義を司る聖騎士、ロイヤルナイツであった。
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