このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

800字ss

生まれた瞬間に、その存在が世界にとって善となるか悪となるか。その全てが決定してしまうのがデジモンという生き物だ。人間と違い、彼らは属性を持って生まれてくる。時にそれは世界を救うためのデータの集合体となり、時にそれは、存在するだけで世界を脅かすデータの集合体となる。
生まれたばかりの一つの小さな命は、後者だった。
生まれた時から何も知らずに生きていた。何が良いことで何が悪いことなのか教えてくれる者はいなかった。だから生きたいように生きてきた。お腹が空けばまわりのデータを食べ、疲れれば眠り、遊びたくなったら遊んだ。ただ普通に生きていた。だけどどんなデジモンと遊んでもどんな場所で遊んでも、気が付けば相手はいつもいなくなっていたし、周りのデータはバグを起こしていた。それが自分のせいなのだということさえそのデジモンが気付くことはなく、ただ、最後まで一緒に遊んでくれる相手をずっとずっと探し続けた。探して探して、そうして気づけばその生き物は急速に進化を繰り返し、もう誰一人として傍には寄り付かなかった。
進化の過程で、あらゆるデータを食らったそれは己は全知全能とさえ思った。自分でも気づかないうちに成長した残虐性は、破壊と暴虐しか生み出さなかった。けれどそれさえ、生き物にとっては遊びの範疇でしかなかった。だから世界は、それを害と見なした。ある2体のデジモンがそれを倒すためにやってくれば、それは久しぶりに現れた遊び相手に心を躍らせた。だけどそれも長くは続かず、気づけば相対する2体はすでに虫の息だった。

なんだ、もう遊ばないの?つまんないなぁ。

今まで通りなら、そこで終わるはずだった。けれど世界が望んだ。あらゆる生き物が平和を強く望んだ。その先に、一つの奇跡があった。
世界が産み落とした純白を、それは純粋に綺麗だと思った。その純白が、なぜだか欲しくてたまらなかった。

君なら、ボクと最ゴまでアそんでくれる?

向けられる視線に敵意しかないことさえ気付かず、それは、ディアボロモンは、どうしようもなく胸を高鳴らせた。
7/22ページ
スキ