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オメガモンはインペリアルドラモンを相棒だと思ってはいるが、けれど彼に言っていないことがたくさんある。打ち明けてもいいことは基本全て話しているが、オメガモンの持つ特性上、決して言えないことも多くあった。
オメガモンは、未来を見通す力を持っている。それは彼のデジコアに備わる力。己が辿る未来を見る力。生まれたばかりの頃はもっとはっきりと見えていたが、時が経つにつれ少しずつ見える未来は不鮮明になっている。それでも、インペリアルドラモンに初めて出会った時、オメガモンははっきりと自分の行く末を感じ取った。だから彼のそばにいた。彼にはまだ成長の余地がある。まだ強くなる可能性を秘めている。
そしてそれは、恐らく自分の命と引き換えだろう。
死んでしまいたいなどと思ったことはない。けれどインペリアルドラモンの成長が世界を救うというのなら、それを拒絶したいとも思わなかった。本人には伝えていない。言えば自分の前から姿を消すだろうことくらいは予測できた。何も知らず慕ってくれるその姿に酷く罪悪感を感じながら、それでもずっとずっと、隠し通してきた。もはや意地にも近いものだった。
インペリアルドラモンが自分に向けるその視線の意味に気づかないほど鈍感ではない。応えるわけにいかなかった。世界を見捨てられるほど、オメガモンは非道にはなれなかった。その代わりに、彼を酷く傷つけてしまうとわかっていても。
だからどうか泣かないでほしい。泣いてもらう資格もないから。
「オメガモンッ、だめだ、だめ、どうして…!」
両腕の感覚がない。きっともう落ちてしまったのだろう。悲痛な顔でオメガモンの名前を呼ぶインペリアルドラモンの涙を、最期に拭うこともできないのだなと。オメガモンはぼんやりそんなことを思った。
「…情けない顔をするな」
ずっと伝えたかったことがある。最期くらい、言ってしまっていいだろうか。
「俺は、お前を」
その先の言葉を紡ぐ前に、彼のデジコアが嫌な音をたてて砕け散った。
オメガモンは、未来を見通す力を持っている。それは彼のデジコアに備わる力。己が辿る未来を見る力。生まれたばかりの頃はもっとはっきりと見えていたが、時が経つにつれ少しずつ見える未来は不鮮明になっている。それでも、インペリアルドラモンに初めて出会った時、オメガモンははっきりと自分の行く末を感じ取った。だから彼のそばにいた。彼にはまだ成長の余地がある。まだ強くなる可能性を秘めている。
そしてそれは、恐らく自分の命と引き換えだろう。
死んでしまいたいなどと思ったことはない。けれどインペリアルドラモンの成長が世界を救うというのなら、それを拒絶したいとも思わなかった。本人には伝えていない。言えば自分の前から姿を消すだろうことくらいは予測できた。何も知らず慕ってくれるその姿に酷く罪悪感を感じながら、それでもずっとずっと、隠し通してきた。もはや意地にも近いものだった。
インペリアルドラモンが自分に向けるその視線の意味に気づかないほど鈍感ではない。応えるわけにいかなかった。世界を見捨てられるほど、オメガモンは非道にはなれなかった。その代わりに、彼を酷く傷つけてしまうとわかっていても。
だからどうか泣かないでほしい。泣いてもらう資格もないから。
「オメガモンッ、だめだ、だめ、どうして…!」
両腕の感覚がない。きっともう落ちてしまったのだろう。悲痛な顔でオメガモンの名前を呼ぶインペリアルドラモンの涙を、最期に拭うこともできないのだなと。オメガモンはぼんやりそんなことを思った。
「…情けない顔をするな」
ずっと伝えたかったことがある。最期くらい、言ってしまっていいだろうか。
「俺は、お前を」
その先の言葉を紡ぐ前に、彼のデジコアが嫌な音をたてて砕け散った。