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大きな力というものは安堵の対象として見られることもあれば、恐怖の対象として見られることもある。特にロイヤルナイツという集団はその傾向が強く見られ、中にはアルフォースブイドラモンのように親しみを持って接するものもいるが、大半は己が信じる正義の為に動くためなかなかどうして簡単に受け入れられるものではないらしい。それはロイヤルナイツで最も力を持つとされるアルファモンも例外ではなく、アルファモンはちりちりと痛む右手に顔をしかめながら、自分を待つオメガモンの元へ急いだ。
「オメガモン」
見慣れた純白へと背後から声をかければ、振り向いた彼はアルファモンの名前を呼び返そうとして、しかしその右手を視界に入れると目を見開いて駆け寄った。その様子にアルファモンも少々戸惑う。右手をとられまじまじと見られると、違うとわかっていても自分の失態を責められているような錯覚さえした。
「この右手はどうした」
「いや、このくらい掠り傷だ」
「お前の場合傷を負っているという時点で問題だろう」
アルファモンがその強さゆえに滅多なことでは傷を負ってくることがないということを、オメガモンは誰より知っている。だからこそアルファモンの傷に驚き、一体何があったのかと心配もしているのだ。そんな言葉と共に少し不安げな顔をするオメガモンを見て、アルファモンはなんだかこそばゆいような、だけれど嬉しいような、そんな感情が溢れた。オメガモンもアルファモンと同様よく畏敬の目で見られることがあるが、彼のこの優しさを知っているのはいったいどれほどいるのだろう。たったこの程度の傷でも身を案じてくれるこの優しさを、どれほど理解されているのだろう。アルファモンは衝動のままにその額と額をくっつけるように顔を近付ける。
「おい」
「もう修復され始めてる。それに私はこれくらい平気だ」
「…お前がそう言うなら構わないが」
決して無理はしてくれるなと近付けた顔から離れようともせずそう言うオメガモンに、できることならこの優しさを知るのは自分だけであってほしいと思いながら、アルファモンは笑って頷いた。
「オメガモン」
見慣れた純白へと背後から声をかければ、振り向いた彼はアルファモンの名前を呼び返そうとして、しかしその右手を視界に入れると目を見開いて駆け寄った。その様子にアルファモンも少々戸惑う。右手をとられまじまじと見られると、違うとわかっていても自分の失態を責められているような錯覚さえした。
「この右手はどうした」
「いや、このくらい掠り傷だ」
「お前の場合傷を負っているという時点で問題だろう」
アルファモンがその強さゆえに滅多なことでは傷を負ってくることがないということを、オメガモンは誰より知っている。だからこそアルファモンの傷に驚き、一体何があったのかと心配もしているのだ。そんな言葉と共に少し不安げな顔をするオメガモンを見て、アルファモンはなんだかこそばゆいような、だけれど嬉しいような、そんな感情が溢れた。オメガモンもアルファモンと同様よく畏敬の目で見られることがあるが、彼のこの優しさを知っているのはいったいどれほどいるのだろう。たったこの程度の傷でも身を案じてくれるこの優しさを、どれほど理解されているのだろう。アルファモンは衝動のままにその額と額をくっつけるように顔を近付ける。
「おい」
「もう修復され始めてる。それに私はこれくらい平気だ」
「…お前がそう言うなら構わないが」
決して無理はしてくれるなと近付けた顔から離れようともせずそう言うオメガモンに、できることならこの優しさを知るのは自分だけであってほしいと思いながら、アルファモンは笑って頷いた。