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最近の奴は自分の姿を見るなり逃げ出してしまったりメッセージを送っても何かと理由を付けて無碍にしてきたり。おかげでコマンダーの機嫌はすこぶる悪かった。周りの部下たちがその姿を視界に入れないでおきたいと願うほどには。まぁコマンダーの機嫌が悪いのもわからないわけではない。彼が本来敵であるキャプテンF91に並々ならぬ感情を抱いているというのは実は多くの部下が知っていることで、今まで当たり前に返事を返して来ていた相手が突然逃げるようになれば、気が短いコマンダーが耐えきれなくなるのも無理はないのだ。それがわかっているからこそ、部下たちは余計に関わりたくないのだけれど。

そういう日が続く中で、キャプテンF91が運悪くコマンダーに捕まったのは不運としか言いようがなかった。コマンダーに呼び出されたわけではなく、他の任務に訪れていただけだったキャプテンF91をたまたま見つけたのはコマンダーで、それに気づいて咄嗟に逃げようとしたものの、一歩遅かった。コマンダーに強く掴まれた腕の痛みにキャプテンF91は顔をしかめる。不運と言ったが、コマンダーはたまたま彼を見つけたわけではない。自分の感覚を頼りに追いかけてきたと言うほうが正しいだろう。それはそれで問題しかないのだが。
「貴様、なぜ逃げる!?」
「い、逃げている、わけでは…!」
「馬鹿を言うな!貴様の言葉が嘘なことくらいわかるわ!」
頑なに自分の方を向こうとしないキャプテンF91にコマンダーは苛立ちを募らせる。けれどそれはなんだか自分が彼の顔を見たいみたいで、こちらを向いてほしいみたいで。それが余計に神経を逆なでした。しびれを切らし強引に顔を向かせる。突然で反応できなかったキャプテンF91は、どこか泣き出しそうな、それでいて頬を少し赤く染めた顔をコマンダーに向けた。
「…は」
「~~ッ!!」
予想だにしなかったキャプテンF91の表情に固まったコマンダーは、その隙をつかれ腕を振り払われてしまい、結局今日もキャプテンF91を逃がしてしまったのだった。
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