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今はもう四代目頑駄無大将軍へと出世した荒烈駆主の活躍によって、戦乱の世は終わった。自分が最初に辿っていた未来は過去を大きく変えたことで随分と変わってしまった。殺駆頭はもう敵ではなかったし、死んでしまったはずの初代大将軍も二代目も、みんな当たり前に生きている。そして、死んでしまったはずの自分も。
三代目大将軍である武者は、自分が死んだ瞬間をなんとなく覚えている。荒烈駆主の話では自分は敵に体を真っ二つに切られて死んだらしい。きっと共に戦っていた仲間には、特に農丸には心配をかけたのだろうなと呑気なことを思いながら、武者は荒烈駆主に連れられ過去へと飛んだ。初代を救い、4人の大将軍の力で闇の大本を断ち切って、そこで全ては終わったはずだった。その後各々の時代へ戻った時、武者はほんの少しだけ期待していた。もしかしたら、彼が帰ってきてはいないかと。
かつて肩を並べたはずの仲間。かつて僅かの間でも共に戦った仲間。
「…真悪参」
結局、どれだけ探しても真悪参の姿を見つけることは叶わなかった。銀の盾を持ち出し、雷と共にどこかへ消えてしまった。武者はその時ほど己の未熟さを恨んだことはない。頭としてもっと何かできたはずだった。もっと話をするべきだった。どれだけ拒まれどれだけ無体を働かれようとも。戦乱のなくなった世界でなら、もしかしたらそれが叶うのではないかと、武者はほんの少しだけ、期待したのだ。けれど世界はあまりにも無慈悲に、現実はあまりにも残酷に、武者の希望を簡単に裏切っていく。真悪参を、見つけることはできなかった。
「…どれだけ過去を変えようと、お前はもう戻ってこないのだな」
きっと誰かに必要とされたのだろう。彼は強かったから。きっと今ごろは、どこかで誰かを救っているのだろう。それならいい。どこかで生きているのなら、それで。
「…会いたかったなぁ」
それは、どうしようもないほどに武者の本音で。

誰に聞かれるでもなく、武者の言葉はただ空気に溶けるのみだった。
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