幕間
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長い黒髪を白い帯で一つに結った少女は、殺気立った男達に凄まれる中で、刃物めいた剣呑さをちらつかせる。
少女――響古は、共に戦っていた攘夷志士達の仲間を殴ったのだ。
「何をやっとる!!」
「何って…殴った」
騒ぎを聞きつけた銀時、桂、高杉が駆けつけるが、響古にはどうだっていい。
「あたしはただ、そこにいる男にムカついただけ」
冷たい眼差しで、響古はそう言い放った。
「響古!!」
銀時は怯みそうになる心を奮い立たせて、真っ向から響古を睨みつける。
怒りを露にする銀時を前にしても、響古は表情を変えずに見つめるばかり。
桂は表情を険しくさせ、高杉は目を細めて見守る。
「そんなに、仲間が大事?」
「ああ、大事だね」
その言葉に反応の鈍い響古は、
「そう」
とだけ言って、部屋を出た。
後ろで自分を呼ぶ声が聞こえるが、無視する。
真実を知ろうとしないで、見た事実だけを知るなんて結局は能なしだ。
今の、怒りと悲しみに歪んだ顔を、誰にも見せないように、響古は歩く。
「派手にやっちょるのー」
先程の錯綜した状況を、遠くで眺めていた辰馬が、僅かに困った顔でやって来た。
「辰馬……」
彼の登場だけで、響古の顔から怒りと悲しみが霧散する。
その表情は硬く、ともすれば暗く、さらには緊張さえしていた。
「また殴ったのか」
「…ダメ、だった?」
返答も、微妙に歯切れが悪い。
「いやいや、わしの言いたいことは……このままじゃ、お主の仲間はいなくなるぜよ?」
あくまで平静に言葉を紡ぎ、辰馬は歩き去った。
残された響古は、苦虫を噛み潰す顔になる。
皆にアホだなんだの言われる辰馬が結局、一番賢い。
(白夜叉なんかしらない。あたしの仲間に白夜叉なんて存在しない。あたしの仲間にいるのは坂田銀時という人だけ)
天人との戦いで自分の命が持つ希望はない。
だが、何かを得るということは、何かを捨てることを意味している。
自分は全てを捨てた。
好きな男性と恋に落ち、子を産み温かい家庭を築く幸せなど、とうに供物に捧げている。
――この世界で、どうやって生きろと?
――あたしは、こんな狂った世界のためなんかに、生まれたわけじゃない。
「銀ちゃん」
――どうかあたしの存在意義が、ずっとあなたでありますように。
神は示現 しない。
悪魔も示現しない。
神なき世界において、ただ一つ信じられる我が心の拠り所は、銀時とこの剣のみ。
少女――響古は、共に戦っていた攘夷志士達の仲間を殴ったのだ。
「何をやっとる!!」
「何って…殴った」
騒ぎを聞きつけた銀時、桂、高杉が駆けつけるが、響古にはどうだっていい。
「あたしはただ、そこにいる男にムカついただけ」
冷たい眼差しで、響古はそう言い放った。
「響古!!」
銀時は怯みそうになる心を奮い立たせて、真っ向から響古を睨みつける。
怒りを露にする銀時を前にしても、響古は表情を変えずに見つめるばかり。
桂は表情を険しくさせ、高杉は目を細めて見守る。
「そんなに、仲間が大事?」
「ああ、大事だね」
その言葉に反応の鈍い響古は、
「そう」
とだけ言って、部屋を出た。
後ろで自分を呼ぶ声が聞こえるが、無視する。
真実を知ろうとしないで、見た事実だけを知るなんて結局は能なしだ。
今の、怒りと悲しみに歪んだ顔を、誰にも見せないように、響古は歩く。
「派手にやっちょるのー」
先程の錯綜した状況を、遠くで眺めていた辰馬が、僅かに困った顔でやって来た。
「辰馬……」
彼の登場だけで、響古の顔から怒りと悲しみが霧散する。
その表情は硬く、ともすれば暗く、さらには緊張さえしていた。
「また殴ったのか」
「…ダメ、だった?」
返答も、微妙に歯切れが悪い。
「いやいや、わしの言いたいことは……このままじゃ、お主の仲間はいなくなるぜよ?」
あくまで平静に言葉を紡ぎ、辰馬は歩き去った。
残された響古は、苦虫を噛み潰す顔になる。
皆にアホだなんだの言われる辰馬が結局、一番賢い。
(白夜叉なんかしらない。あたしの仲間に白夜叉なんて存在しない。あたしの仲間にいるのは坂田銀時という人だけ)
天人との戦いで自分の命が持つ希望はない。
だが、何かを得るということは、何かを捨てることを意味している。
自分は全てを捨てた。
好きな男性と恋に落ち、子を産み温かい家庭を築く幸せなど、とうに供物に捧げている。
――この世界で、どうやって生きろと?
――あたしは、こんな狂った世界のためなんかに、生まれたわけじゃない。
「銀ちゃん」
――どうかあたしの存在意義が、ずっとあなたでありますように。
神は
悪魔も示現しない。
神なき世界において、ただ一つ信じられる我が心の拠り所は、銀時とこの剣のみ。