特別編2
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おまけというかこの話を読むにあたっての注意。
完全に時系列順に書いていったらごちゃ混ぜでわからなくなるので、ラミアが魔界に帰る前の話です。
男鹿家に滞在している魔界の少女は、とっても暇だった。
――私の名はラミア、探偵だ。
――今日の依頼は、ある家族の素行調査。
――まったくつまらん仕事だが、部屋でワイドショーを見てるよりはマシだ。
今、ラミアの身体を覆っているのは地味なシャツに黒いネクタイ、茶色の渋いコート。
まさにドラマの探偵といった風情。
ただし、完全に暇つぶし。
「午前8時30分。男は、まだ起きず。赤ん坊も寝ているよう」
コートの襟を立てて誰にともなく報告すると、少女が見張っている部屋から響古が寝ぼけまなこで出てきた。
「あれ~、ラミアちゃん、何してるの~?」
艶やかな黒い髪はところどころ跳ねて、夜もかなり暑くなるのは必至という天候に合わせ、寝間着はキャミソールに短パンだ。
――この人の名は響古、私はお姉様と呼んでいる。
――黒髪美人で胸が大きいと言ってもいいくらいのサイズを誇る、私のお姉様だ。
――それだけじゃ"お姉様"という理由がわからないって?
――何を言う、自由気ままに見えて自分の大切なものを護るためには自らを犠牲にすることをいとわない、あの気高き精神。
――厳しさの合間に時折見える優しさ。
――そして、あの容赦のない折檻 、冷たい眼差し。
若干興奮して自分の世界に入るラミアを横目に、
「ん~~~っ!」
響古は全身に強い力を行き渡らせるように伸びをする。
その拍子に、寝乱れた裾から白い素肌――たまに紅い華がちらり――の露出が広がっていく。
廊下の前で突っ立つ二人に、起きたばかりのヒルダが声をかけてきた。
「何をしておる、ラミア」
ヒルダは普段の三つ編みを下ろし、白のネグリジェを身につけている。
――この人はヒルダ姐さん、この家に居候する有能な侍女悪魔。
――お姉様と同等の美人でお姉様よりも胸の大きい、私の理想だ。
「あ、おはよう、ヒルダ~」
「おはよう、響古。とりあえず、服を直したらどうだ?いろいろと見えるぞ」
「…ん~、ご指摘ありがと」
実際、キャミソールの紐からは、今やすっかり右肩が露出しきっているし、寝相に耐えきれなかった短パンはどんどんローライズ化してきている。
どうにもこうにも目に毒である。
視線を落として、今度はラミアの格好を確認、首を傾げる。
「探偵ごっこ?テレビでも見たのか?」
疑問符を浮かべる二人を黙らせ、退場していただいた。
ラミアの暇つぶし――もとい、調査は続く。
午後3時を過ぎて、強烈な陽射しに伴い、気温はどんどん上がっていく。
――午後3時。
――男は、まだ起きない。
――まさか奴ら、5度目に突入する気か。
廊下の曲がり角から様子を窺うこと、7時間以上。
未だ部屋から出ない男鹿とベル坊に、疑念は渦巻く。
いっこうに起きてこない二人を訝ったのか、部屋に向かう響古に忠告した。
「お姉様、気をつけて」
「……?うん」
そのまま、響古も部屋から出てこない。
――だが、その時私は、ふと疑問に思った。
――今は夏。
――昼下がりのこの暑さの中、エアコンもない部屋で寝続けられるのか?
――否、奴らは一体――…。
おそるおそる開けたドアの隙間から覗く。
そこでは冷房の効いた……極寒の部屋の中で男鹿は、日本には生息していない北極グマと対峙していた。
真っ二つに割れたアランドロンの身体が北極とつながり、豪快な吹雪が包み込む。
「このやろう…妙なもんまで連れてきやがって…」
「ゴァァアアアアッ!!」
「うるせぇ、てめぇクマ、北極帰れっ!!この、このっ…!!」
「辰巳、気をつけてー!!」
「ダーッ!!」
凶暴なクマと格闘する男鹿を、響古とベル坊が応援する。
その光景に言葉を失うラミアに気づき、アランドロンが穏やかに誘う。
「おや、ラミア嬢。あなたも涼んでいきますか?」
誘いを断り、静かに扉を閉めたラミアは、何も見なかったことにした。
現在も続いている男鹿VSクマの行為に対し、
(――もう、ドアを開けたらいきなり極寒の地で、おまけに白クマだもん、信じらんない!)
響古はあっさり酷評した。
が、攻撃はせず、自分の斜め後ろに視線を移した。
そこにアランドロンが、割れた身体から冷気を吹かせて立っている。
「……アランドロン、辰巳に何言われたのかわからないけど、もうこんなバカな事はやめてよね」
「了解でありますが……一体、何をなさるつもりで?」
「あれには、力ずくで帰ってもらう」
静かに戦闘態勢に入り始める響古。
二人の相談する意味を図りかねる男鹿は、
「……?」
構えたままという一種、間抜けな姿でクマと睨み合う。
やがて、神経を張りつめさせて攻撃に備える響古が頷いた。
「うん、こっちの心の準備は整った」
「では、ご武運を祈りますぞ」
短い同意を経て、ようやくアランドロンは男鹿へと向き直り、短く注意を喚起した。
「入念防備」
「は?なんだ、そりゃ――」
「勝負は、ただ一撃」
男鹿に答えを与えぬまま、アランドロンは忠告する。
ベル坊が見つめる、男鹿が息を呑む、その前で、
「いい加減に――北極に帰りなさい!」
響古が鋭く息を吐いて、抗う心を表し、また表すように、前に飛び出した。
本体は棒立ちのまま、鞭のように伸びたクマの太い腕が振られ、すかさず屈んで蹴り上げる。
巨腕は軌道を逸らされたが、クマの闘志は消えていなかった。
瞬間、無慈悲な爪が真下から振り上げられる。
「響古!」
「ダー!」
「ッ!」
辛うじて、かわした。
Tシャツの下部を半分、縦に割っただけですんだ。
もう前に身体があれば、白い肌に赤い血がぶちまけられていたところだった。
が、それを見下ろして、
「ああっ」
情けない声を出すと、端正に整った美貌を怒りに歪めた。
「お気に入りだったのに、この……クマ畜生が!」
三人の目の前で、いきなり形勢が変わった。
柳眉をつり上げ、烈火のごときオーラを纏う少女は、クマが振り下ろす前足の一撃を、初めて避けなかった。
鋭い爪で切り裂かれないよう、そこは触れないようにして前足へ飛びつくや否や、両腕で抱え込んだ。
それを間近で見てしまった開いた男鹿は口がふさがらず、ベル坊も目を見開く。
クマの四つ足は地上を離れ、虚しく宙を掻き回すだけ。
そのまま回転させ、アランドロンの身体――元の生息地である北極にぶち込んだ。
「おわっ!」
「ダッ!」
「おっと」
部屋は頑丈に建てられているはずなのだが、強く揺れた。
その揺れに耐えられず、男鹿は思わずその場にすっ転んだ。
爽やかな夏空にはあまり似つかわしくない、ズゴン、と無粋な音が轟いた。
ズン、と住宅が揺れ、居間でくつろぐヒルダとラミアにも、その振動が伝わる。
「む」
「わっ」
少しよろめき、揺れが収まってから顔を見合わせる。
(おまけ)
「もう!ちゃんと説明してくれるまで、動かないからね!」
「わ、悪かったと思ってる、響古。まさかクマまで来るとは思わなくて……」
何が響古を怒らせているのか、男鹿はようやく理解した。
同時に困った。
口下手な自分が、あれは涼しくなるためだったと説明するのは難しい。
顔色を窺うようにちらりと視線を向ければ、響古は男鹿に気づいて小さく頬を膨らませる。
滅多に見ることができない彼女の怒る様子にバクバクとなる心臓を抑えつつ、顔が赤いのがバレないように下を向く。
「あっ」
「え?」
響古は言われて、視線を下に向けた。
クマの爪のせいで、Tシャツの下部は縦に切り裂かれていた。
「すっかり忘れてた!あーあ、お気に入りだったのにぃ…」
シャツをパタパタとするたびに見える色白のお腹に、男鹿の心臓が破裂しそうなほど音を立てる。
「…くしゅ」
すると、小さく響古はくしゃみをし、身体を震わせた。
「少し体が冷えたみたい……」
「オレもだな……シャワー浴びるとスっか」
「じゃあ……一緒に入る?」
――理性なんてもろいものさ。
かくして、ご褒美を目前につられた男鹿は全力でタオルなど準備し、風呂場までダッシュするのであった。
風呂場での件に関しては……ノーコメントで。
まぁ、色々ヤったのは否定しないけど、彼だって健全な男だから我慢できないこともある。
後に男鹿はこう証言する。
――オレは悪くない!!
風呂上がりの響古は、お肌も行動も生き生きしていた。
彼女は喧嘩が強く、鍛えているので体力があります(男鹿ほどではないが)。
完全に時系列順に書いていったらごちゃ混ぜでわからなくなるので、ラミアが魔界に帰る前の話です。
男鹿家に滞在している魔界の少女は、とっても暇だった。
――私の名はラミア、探偵だ。
――今日の依頼は、ある家族の素行調査。
――まったくつまらん仕事だが、部屋でワイドショーを見てるよりはマシだ。
今、ラミアの身体を覆っているのは地味なシャツに黒いネクタイ、茶色の渋いコート。
まさにドラマの探偵といった風情。
ただし、完全に暇つぶし。
「午前8時30分。男は、まだ起きず。赤ん坊も寝ているよう」
コートの襟を立てて誰にともなく報告すると、少女が見張っている部屋から響古が寝ぼけまなこで出てきた。
「あれ~、ラミアちゃん、何してるの~?」
艶やかな黒い髪はところどころ跳ねて、夜もかなり暑くなるのは必至という天候に合わせ、寝間着はキャミソールに短パンだ。
――この人の名は響古、私はお姉様と呼んでいる。
――黒髪美人で胸が大きいと言ってもいいくらいのサイズを誇る、私のお姉様だ。
――それだけじゃ"お姉様"という理由がわからないって?
――何を言う、自由気ままに見えて自分の大切なものを護るためには自らを犠牲にすることをいとわない、あの気高き精神。
――厳しさの合間に時折見える優しさ。
――そして、あの容赦のない
若干興奮して自分の世界に入るラミアを横目に、
「ん~~~っ!」
響古は全身に強い力を行き渡らせるように伸びをする。
その拍子に、寝乱れた裾から白い素肌――たまに紅い華がちらり――の露出が広がっていく。
廊下の前で突っ立つ二人に、起きたばかりのヒルダが声をかけてきた。
「何をしておる、ラミア」
ヒルダは普段の三つ編みを下ろし、白のネグリジェを身につけている。
――この人はヒルダ姐さん、この家に居候する有能な侍女悪魔。
――お姉様と同等の美人でお姉様よりも胸の大きい、私の理想だ。
「あ、おはよう、ヒルダ~」
「おはよう、響古。とりあえず、服を直したらどうだ?いろいろと見えるぞ」
「…ん~、ご指摘ありがと」
実際、キャミソールの紐からは、今やすっかり右肩が露出しきっているし、寝相に耐えきれなかった短パンはどんどんローライズ化してきている。
どうにもこうにも目に毒である。
視線を落として、今度はラミアの格好を確認、首を傾げる。
「探偵ごっこ?テレビでも見たのか?」
疑問符を浮かべる二人を黙らせ、退場していただいた。
ラミアの暇つぶし――もとい、調査は続く。
午後3時を過ぎて、強烈な陽射しに伴い、気温はどんどん上がっていく。
――午後3時。
――男は、まだ起きない。
――まさか奴ら、5度目に突入する気か。
廊下の曲がり角から様子を窺うこと、7時間以上。
未だ部屋から出ない男鹿とベル坊に、疑念は渦巻く。
いっこうに起きてこない二人を訝ったのか、部屋に向かう響古に忠告した。
「お姉様、気をつけて」
「……?うん」
そのまま、響古も部屋から出てこない。
――だが、その時私は、ふと疑問に思った。
――今は夏。
――昼下がりのこの暑さの中、エアコンもない部屋で寝続けられるのか?
――否、奴らは一体――…。
おそるおそる開けたドアの隙間から覗く。
そこでは冷房の効いた……極寒の部屋の中で男鹿は、日本には生息していない北極グマと対峙していた。
真っ二つに割れたアランドロンの身体が北極とつながり、豪快な吹雪が包み込む。
「このやろう…妙なもんまで連れてきやがって…」
「ゴァァアアアアッ!!」
「うるせぇ、てめぇクマ、北極帰れっ!!この、このっ…!!」
「辰巳、気をつけてー!!」
「ダーッ!!」
凶暴なクマと格闘する男鹿を、響古とベル坊が応援する。
その光景に言葉を失うラミアに気づき、アランドロンが穏やかに誘う。
「おや、ラミア嬢。あなたも涼んでいきますか?」
誘いを断り、静かに扉を閉めたラミアは、何も見なかったことにした。
現在も続いている男鹿VSクマの行為に対し、
(――もう、ドアを開けたらいきなり極寒の地で、おまけに白クマだもん、信じらんない!)
響古はあっさり酷評した。
が、攻撃はせず、自分の斜め後ろに視線を移した。
そこにアランドロンが、割れた身体から冷気を吹かせて立っている。
「……アランドロン、辰巳に何言われたのかわからないけど、もうこんなバカな事はやめてよね」
「了解でありますが……一体、何をなさるつもりで?」
「あれには、力ずくで帰ってもらう」
静かに戦闘態勢に入り始める響古。
二人の相談する意味を図りかねる男鹿は、
「……?」
構えたままという一種、間抜けな姿でクマと睨み合う。
やがて、神経を張りつめさせて攻撃に備える響古が頷いた。
「うん、こっちの心の準備は整った」
「では、ご武運を祈りますぞ」
短い同意を経て、ようやくアランドロンは男鹿へと向き直り、短く注意を喚起した。
「入念防備」
「は?なんだ、そりゃ――」
「勝負は、ただ一撃」
男鹿に答えを与えぬまま、アランドロンは忠告する。
ベル坊が見つめる、男鹿が息を呑む、その前で、
「いい加減に――北極に帰りなさい!」
響古が鋭く息を吐いて、抗う心を表し、また表すように、前に飛び出した。
本体は棒立ちのまま、鞭のように伸びたクマの太い腕が振られ、すかさず屈んで蹴り上げる。
巨腕は軌道を逸らされたが、クマの闘志は消えていなかった。
瞬間、無慈悲な爪が真下から振り上げられる。
「響古!」
「ダー!」
「ッ!」
辛うじて、かわした。
Tシャツの下部を半分、縦に割っただけですんだ。
もう前に身体があれば、白い肌に赤い血がぶちまけられていたところだった。
が、それを見下ろして、
「ああっ」
情けない声を出すと、端正に整った美貌を怒りに歪めた。
「お気に入りだったのに、この……クマ畜生が!」
三人の目の前で、いきなり形勢が変わった。
柳眉をつり上げ、烈火のごときオーラを纏う少女は、クマが振り下ろす前足の一撃を、初めて避けなかった。
鋭い爪で切り裂かれないよう、そこは触れないようにして前足へ飛びつくや否や、両腕で抱え込んだ。
それを間近で見てしまった開いた男鹿は口がふさがらず、ベル坊も目を見開く。
クマの四つ足は地上を離れ、虚しく宙を掻き回すだけ。
そのまま回転させ、アランドロンの身体――元の生息地である北極にぶち込んだ。
「おわっ!」
「ダッ!」
「おっと」
部屋は頑丈に建てられているはずなのだが、強く揺れた。
その揺れに耐えられず、男鹿は思わずその場にすっ転んだ。
爽やかな夏空にはあまり似つかわしくない、ズゴン、と無粋な音が轟いた。
ズン、と住宅が揺れ、居間でくつろぐヒルダとラミアにも、その振動が伝わる。
「む」
「わっ」
少しよろめき、揺れが収まってから顔を見合わせる。
(おまけ)
「もう!ちゃんと説明してくれるまで、動かないからね!」
「わ、悪かったと思ってる、響古。まさかクマまで来るとは思わなくて……」
何が響古を怒らせているのか、男鹿はようやく理解した。
同時に困った。
口下手な自分が、あれは涼しくなるためだったと説明するのは難しい。
顔色を窺うようにちらりと視線を向ければ、響古は男鹿に気づいて小さく頬を膨らませる。
滅多に見ることができない彼女の怒る様子にバクバクとなる心臓を抑えつつ、顔が赤いのがバレないように下を向く。
「あっ」
「え?」
響古は言われて、視線を下に向けた。
クマの爪のせいで、Tシャツの下部は縦に切り裂かれていた。
「すっかり忘れてた!あーあ、お気に入りだったのにぃ…」
シャツをパタパタとするたびに見える色白のお腹に、男鹿の心臓が破裂しそうなほど音を立てる。
「…くしゅ」
すると、小さく響古はくしゃみをし、身体を震わせた。
「少し体が冷えたみたい……」
「オレもだな……シャワー浴びるとスっか」
「じゃあ……一緒に入る?」
――理性なんてもろいものさ。
かくして、ご褒美を目前につられた男鹿は全力でタオルなど準備し、風呂場までダッシュするのであった。
風呂場での件に関しては……ノーコメントで。
まぁ、色々ヤったのは否定しないけど、彼だって健全な男だから我慢できないこともある。
後に男鹿はこう証言する。
――オレは悪くない!!
風呂上がりの響古は、お肌も行動も生き生きしていた。
彼女は喧嘩が強く、鍛えているので体力があります(男鹿ほどではないが)。