バブ102
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人間界の清々しい青空とは違う、魔界の濁った紫色の空。
魔界にそびえ立つ宮殿の広々とした一室で、その会合は行われていた。
書類の束をテーブルの上でトントンと整え、滑らかな金髪の美女が話を締めくくる。
「そうですか、ナーガ達が…分かりました。では、ベヘモット団長には私から報告しておきます」
――ベヘモット34柱師団、柱爵 レイミア。
柔らかな美貌を厳しくさせ、言うべきことだけを手短に伝える。
「皆さんも、この事はくれぐれも内密に。彼らの処遇についてはまた、追って伝えます――では、解散」
大きなテーブルを囲む人数は、彼女を入れて四人。
「まてまて、レイミア。おとがめなしかよ。完全なぬけがけだぜ、こりゃ」
即座に異を唱えたのは、顔の下半分を無精ひげで覆われた男だった。
テーブルの上に足を組んでふんぞり返り、葉巻を吸っている。
――柱爵 バジリスク。
それに同意するように、日本人の顔立ちをした男が頷く。
その手には日本刀を持っていて、無害そうな顔をして物騒な発言をし出した。
「そうだな。少なくとも、柱将二人に関しては、ここで処分すべきだ。殺そう」
――柱爵夜刀 。
世間話でもするように、長髪の男が組んだ両手に顎を乗せて朗らかに言う。
「どーでもいいよ。どーせ、ベヘモット団長だって気にも止めちゃいないさ。それより次、誰がいくかジャンケンしようよ」
――柱爵 サラマンダー。
ナーガによく似た少年の方も、雑談でも楽しむように気安く応じる。
「賛成だな。もうすぐ、転送玉が使えるようになるんだろ?私のチョパグを見せてやる」
――柱爵 ヴリトラ。
「ヴリトラさん、それグチパだよ」
「いや、チョパグだ」
「どーでもいーわ」
ジャンケンで盛り上がる柱師団に困り果て、レイミアは語気強く割り込んだ。
「とにかく――…」
厳しく目を細め、これ以上、勝手な行動は慎むよう他の柱師団に強く言い聞かせる。
「ベルゼ様の契約者抹殺に関しては、もっと慎重に行うべきです。各々、勝手な行動は慎んで下さい」
独断で動いたヘカドスとグラフェルは、現在牢屋に閉じ込められていた。
狼藉を働いた自覚はなく、簡素な服を身に纏い、顔にはうっすらと髭が生えている。
「勝手な行動?心外だな。オレ達は焔王様の為に動いただけだ」
「下らん功名心など、一握りもありはしない」
牢屋越しに立つレイミアが二人の心中を察し、それでも厳しく咎める。
「その事については疑いません。ですが、独断で動いてしまったのも事実です」
「――しかしっ…」
ヘカドスは、なんとか忠誠心で事実を抑圧しようと試みるが、
「何より、失敗してきたというのが問題なのです」
レイミアはその事実で忠誠心を圧倒する。
「……っ」
それ以上言葉は出てこず、苦虫を噛み潰した顔をうつむかせる。
「契約者自体は大した事なかった。注意すべき小娘を除いて。あの男さえ来なければ」
「――そこで、ナーガ」
その時、レイミアが視線を外して牢屋の向こう側に声をかけた。
彼女の傍には、小柄な人影が佇んでいる。
「待たせたな」
グラフェルを補佐する介添 え役のナーガが待ち構えていたように出てきた。
注目すべきは彼が持っている宝具。
転移用の魔法陣を使って瞬間移動する宝具に、二人は驚きを露にする。
「ナーガ!!」
「それは――…転送玉…!!」
「――…べへモット団長の言葉を、そのまま伝えます。『負けておめおめと帰ってくんじゃねぇ』」
転送玉に意識を向けていたので、レイミアが何を言いたいのか理解するのが遅れた。
「『やるんなら最後までやれ』」
最後まで聞いて、レイミアの言いたいことがやっとわかった。
「――…」
「ありがてぇ…さすが団長」
起死回生のチャンスが巡ったと悟って、それまで厳しく引き締まっていた二人の唇の端が歪む。
意気込む二人を視界に入れながら、彼女だけは物憂げな顔をする。
柱師団の会合、独断で動いた仲間への処罰……休む暇もなく仕事に忙殺され、宮殿の廊下を歩いている時、声をかけられた。
「うかない顔だな、レイミア」
聞き慣れた声だった。
振り返ると長身の人物がいた。
整った顔立ちで仕立てのよいスーツを着崩している。
「フォルカス先生…」
男の名はフォルカス――極度の人間嫌いで有名な彼は、ムームーというスライムを使って行き来している。
今、この場にいるフォルカスはマスコットキャラのようなスライムではなく人型の姿だった。
「――やはり、人間界にいる娘が心配か?」
「――いえ。あの娘には、あの娘の道があります。あなたに預けた以上、心配はしておりませんわ」
「――そうか」
ひとまず娘の心配を棚上げし、レイミアは胡乱な視線を投げかける。
「――それより、先生。あなた一体どちらの味方なの?ヒルダに肩入れしたり、うちの師団の手当てをしたり」
予想していた質問に、フォルカスは肩をすくめた。
「私は病める者、すべての味方だよ」
いかにも医者らしいコメントで原則不可侵を保つフォルカスに、レイミアはまだ言いたげだったが、口をつぐむ。
不意に深く優しい笑みを浮かべて、最後に娘――ラミアのために念を押す。
「――…くれぐれも、ラミアの事、よろしくお願いしますね」
世界は移って人間界、噂されているとは知らずにゲームをするラミアはくしゃみをした。
「うー」
くしゃみの音が聞こえ、古市が顔を向けて訊ねると、顔を真っ赤にして鼻水を垂らしていた。
「風邪か?」
「――…無理もねぇ」
古市の隣、ソファに頭をもたれながら神崎はつまみをくちゃくちゃ噛む。
「もう、丸3日もゲームやってんだ。ガキにはきついだろ」
「あー…そっすねー」
相槌を打つ古市は一応起きてはいるものの、その目は寝不足で濁り、ほとんど表情もない。
「――…てゆーかなんで、こんな事になったんでしたっけ?」
「あ?なんでって、そりゃオメー……なんでだっけ……?」
虚ろな目の神崎も、寝不足のせいで視野を広げられず、
「アレ?」
ゲーム漬けとなった理由に首を捻る。
「オレ達、確か勝ちましたよね?姫川先輩のド汚い手で…」
「勝ったよ?」
すると、ラミアにティッシュを渡しながら夏目が言う。
「はいティッシュ…」
「ども」
夏目からティッシュを受け取ったラミアは鼻をかむ。
「でも、その後、むこうがゴネたじゃん」
「夏目先輩…」
迫力のある大画面には、日本地図がボードの双六のようなゲームが表示されている。
「今のは無しじゃー、100回勝負じゃーとか言ってさ。結局、違うゲームで再戦する事になったんじゃない」
「つーか、それで選んだゲームが何故に桃鉄…?」
※桃太郎DE鉄人。
負けを認めたくなくて再戦を望んだ焔王は、かなりの負けず嫌いのようだ。
鼻をかんだラミアが物凄く不愉快そうな顔で焔王との思い出を告げる。
「いつもこうなのよ…忘れてたわ。あいつがゲームで負けを認めた事なんてないんだから。こっちが負けてあげるまで永遠に、もう一回って言い続けるわよ」
古市は少女の言おうとしていることがなんとなくわかり、あっ、と胸中で漏らす。
気づいた時には、神崎が口を開いていた。
「おいおい。じゃあ、今までの勝負はなんだったんだ?」
「つーか、一緒にゲームしたりなんかしてたんだな。エン王と…」
「昔、いやという程ね…」
学校をサボってまでゲームをしたのもかかわらず、現在も寝る間も惜しんでの勝負が無駄に終わり、
「もうやめだ、やめっ」
コントーラーを放り投げて寝っ転がる。
ラミアは古市に向き直ると、妙に疑わしげな表情で訊ねた。
「――そういえば、ヒルダ姉様から聞いたんだけど…あいつがお姉様に惚れたって本当なの?」
「オレも最初は何かの間違いだとは思ってたけど、焔王が結婚の約束まで言い出した時は、さすがに驚いたけど。もちろん、断ってたぜ。なんたって、響古には男鹿がいるからな」
ラミアは釈然としない顔をしたまま、目を細めて深く考え込む。
「どーしたんだよ?響古の事は、まぁ…心配しなくても、なんとかなるだろ」
「そーじゃないのよ。あいつに惚れられたら最後、絶対ロクな目に遭うんだから」
笑おうとした古市だったが、ラミアの顔つきが真剣そのものだったからできなかった。
確信を抱いているようなので、実際そうなのだろう。
ますますよくわからなくなる古市である。
どうして他人の恋愛問題に、ラミアが考え込む必要があるのか。
何はともあれ、姫川が所有するマンション一室で迎えた朝だった。
困惑する古市だったが、起き上がりの寧々、千秋、由加が欠伸混じりでやって来た。
「おはよ~~~。交代の時間よ~」
いつもならキレイにセットされている髪は少し乱れ、眠たげな目を擦って、微笑ましい光景だ。
しかし、部屋に入ってきた寧々は、いきなり声を荒げる。
「――って、アンタ達は、また、こんなにチラかして…!!」
「おはよーっス」
普通なら家族しか見られない寝起きの無防備な光景に、
「わーー、ねおきだーー」
古市は頬を緩ませる。
魔界にそびえ立つ宮殿の広々とした一室で、その会合は行われていた。
書類の束をテーブルの上でトントンと整え、滑らかな金髪の美女が話を締めくくる。
「そうですか、ナーガ達が…分かりました。では、ベヘモット団長には私から報告しておきます」
――ベヘモット34柱師団、柱爵 レイミア。
柔らかな美貌を厳しくさせ、言うべきことだけを手短に伝える。
「皆さんも、この事はくれぐれも内密に。彼らの処遇についてはまた、追って伝えます――では、解散」
大きなテーブルを囲む人数は、彼女を入れて四人。
「まてまて、レイミア。おとがめなしかよ。完全なぬけがけだぜ、こりゃ」
即座に異を唱えたのは、顔の下半分を無精ひげで覆われた男だった。
テーブルの上に足を組んでふんぞり返り、葉巻を吸っている。
――柱爵 バジリスク。
それに同意するように、日本人の顔立ちをした男が頷く。
その手には日本刀を持っていて、無害そうな顔をして物騒な発言をし出した。
「そうだな。少なくとも、柱将二人に関しては、ここで処分すべきだ。殺そう」
――柱爵
世間話でもするように、長髪の男が組んだ両手に顎を乗せて朗らかに言う。
「どーでもいいよ。どーせ、ベヘモット団長だって気にも止めちゃいないさ。それより次、誰がいくかジャンケンしようよ」
――柱爵 サラマンダー。
ナーガによく似た少年の方も、雑談でも楽しむように気安く応じる。
「賛成だな。もうすぐ、転送玉が使えるようになるんだろ?私のチョパグを見せてやる」
――柱爵 ヴリトラ。
「ヴリトラさん、それグチパだよ」
「いや、チョパグだ」
「どーでもいーわ」
ジャンケンで盛り上がる柱師団に困り果て、レイミアは語気強く割り込んだ。
「とにかく――…」
厳しく目を細め、これ以上、勝手な行動は慎むよう他の柱師団に強く言い聞かせる。
「ベルゼ様の契約者抹殺に関しては、もっと慎重に行うべきです。各々、勝手な行動は慎んで下さい」
独断で動いたヘカドスとグラフェルは、現在牢屋に閉じ込められていた。
狼藉を働いた自覚はなく、簡素な服を身に纏い、顔にはうっすらと髭が生えている。
「勝手な行動?心外だな。オレ達は焔王様の為に動いただけだ」
「下らん功名心など、一握りもありはしない」
牢屋越しに立つレイミアが二人の心中を察し、それでも厳しく咎める。
「その事については疑いません。ですが、独断で動いてしまったのも事実です」
「――しかしっ…」
ヘカドスは、なんとか忠誠心で事実を抑圧しようと試みるが、
「何より、失敗してきたというのが問題なのです」
レイミアはその事実で忠誠心を圧倒する。
「……っ」
それ以上言葉は出てこず、苦虫を噛み潰した顔をうつむかせる。
「契約者自体は大した事なかった。注意すべき小娘を除いて。あの男さえ来なければ」
「――そこで、ナーガ」
その時、レイミアが視線を外して牢屋の向こう側に声をかけた。
彼女の傍には、小柄な人影が佇んでいる。
「待たせたな」
グラフェルを補佐する
注目すべきは彼が持っている宝具。
転移用の魔法陣を使って瞬間移動する宝具に、二人は驚きを露にする。
「ナーガ!!」
「それは――…転送玉…!!」
「――…べへモット団長の言葉を、そのまま伝えます。『負けておめおめと帰ってくんじゃねぇ』」
転送玉に意識を向けていたので、レイミアが何を言いたいのか理解するのが遅れた。
「『やるんなら最後までやれ』」
最後まで聞いて、レイミアの言いたいことがやっとわかった。
「――…」
「ありがてぇ…さすが団長」
起死回生のチャンスが巡ったと悟って、それまで厳しく引き締まっていた二人の唇の端が歪む。
意気込む二人を視界に入れながら、彼女だけは物憂げな顔をする。
柱師団の会合、独断で動いた仲間への処罰……休む暇もなく仕事に忙殺され、宮殿の廊下を歩いている時、声をかけられた。
「うかない顔だな、レイミア」
聞き慣れた声だった。
振り返ると長身の人物がいた。
整った顔立ちで仕立てのよいスーツを着崩している。
「フォルカス先生…」
男の名はフォルカス――極度の人間嫌いで有名な彼は、ムームーというスライムを使って行き来している。
今、この場にいるフォルカスはマスコットキャラのようなスライムではなく人型の姿だった。
「――やはり、人間界にいる娘が心配か?」
「――いえ。あの娘には、あの娘の道があります。あなたに預けた以上、心配はしておりませんわ」
「――そうか」
ひとまず娘の心配を棚上げし、レイミアは胡乱な視線を投げかける。
「――それより、先生。あなた一体どちらの味方なの?ヒルダに肩入れしたり、うちの師団の手当てをしたり」
予想していた質問に、フォルカスは肩をすくめた。
「私は病める者、すべての味方だよ」
いかにも医者らしいコメントで原則不可侵を保つフォルカスに、レイミアはまだ言いたげだったが、口をつぐむ。
不意に深く優しい笑みを浮かべて、最後に娘――ラミアのために念を押す。
「――…くれぐれも、ラミアの事、よろしくお願いしますね」
世界は移って人間界、噂されているとは知らずにゲームをするラミアはくしゃみをした。
「うー」
くしゃみの音が聞こえ、古市が顔を向けて訊ねると、顔を真っ赤にして鼻水を垂らしていた。
「風邪か?」
「――…無理もねぇ」
古市の隣、ソファに頭をもたれながら神崎はつまみをくちゃくちゃ噛む。
「もう、丸3日もゲームやってんだ。ガキにはきついだろ」
「あー…そっすねー」
相槌を打つ古市は一応起きてはいるものの、その目は寝不足で濁り、ほとんど表情もない。
「――…てゆーかなんで、こんな事になったんでしたっけ?」
「あ?なんでって、そりゃオメー……なんでだっけ……?」
虚ろな目の神崎も、寝不足のせいで視野を広げられず、
「アレ?」
ゲーム漬けとなった理由に首を捻る。
「オレ達、確か勝ちましたよね?姫川先輩のド汚い手で…」
「勝ったよ?」
すると、ラミアにティッシュを渡しながら夏目が言う。
「はいティッシュ…」
「ども」
夏目からティッシュを受け取ったラミアは鼻をかむ。
「でも、その後、むこうがゴネたじゃん」
「夏目先輩…」
迫力のある大画面には、日本地図がボードの双六のようなゲームが表示されている。
「今のは無しじゃー、100回勝負じゃーとか言ってさ。結局、違うゲームで再戦する事になったんじゃない」
「つーか、それで選んだゲームが何故に桃鉄…?」
※桃太郎DE鉄人。
負けを認めたくなくて再戦を望んだ焔王は、かなりの負けず嫌いのようだ。
鼻をかんだラミアが物凄く不愉快そうな顔で焔王との思い出を告げる。
「いつもこうなのよ…忘れてたわ。あいつがゲームで負けを認めた事なんてないんだから。こっちが負けてあげるまで永遠に、もう一回って言い続けるわよ」
古市は少女の言おうとしていることがなんとなくわかり、あっ、と胸中で漏らす。
気づいた時には、神崎が口を開いていた。
「おいおい。じゃあ、今までの勝負はなんだったんだ?」
「つーか、一緒にゲームしたりなんかしてたんだな。エン王と…」
「昔、いやという程ね…」
学校をサボってまでゲームをしたのもかかわらず、現在も寝る間も惜しんでの勝負が無駄に終わり、
「もうやめだ、やめっ」
コントーラーを放り投げて寝っ転がる。
ラミアは古市に向き直ると、妙に疑わしげな表情で訊ねた。
「――そういえば、ヒルダ姉様から聞いたんだけど…あいつがお姉様に惚れたって本当なの?」
「オレも最初は何かの間違いだとは思ってたけど、焔王が結婚の約束まで言い出した時は、さすがに驚いたけど。もちろん、断ってたぜ。なんたって、響古には男鹿がいるからな」
ラミアは釈然としない顔をしたまま、目を細めて深く考え込む。
「どーしたんだよ?響古の事は、まぁ…心配しなくても、なんとかなるだろ」
「そーじゃないのよ。あいつに惚れられたら最後、絶対ロクな目に遭うんだから」
笑おうとした古市だったが、ラミアの顔つきが真剣そのものだったからできなかった。
確信を抱いているようなので、実際そうなのだろう。
ますますよくわからなくなる古市である。
どうして他人の恋愛問題に、ラミアが考え込む必要があるのか。
何はともあれ、姫川が所有するマンション一室で迎えた朝だった。
困惑する古市だったが、起き上がりの寧々、千秋、由加が欠伸混じりでやって来た。
「おはよ~~~。交代の時間よ~」
いつもならキレイにセットされている髪は少し乱れ、眠たげな目を擦って、微笑ましい光景だ。
しかし、部屋に入ってきた寧々は、いきなり声を荒げる。
「――って、アンタ達は、また、こんなにチラかして…!!」
「おはよーっス」
普通なら家族しか見られない寝起きの無防備な光景に、
「わーー、ねおきだーー」
古市は頬を緩ませる。