バブ55~60
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古市と葵が驚きの眼差しで見る先、倒した神崎には目もくれず、中学以来の男鹿との再会に、三木はゆっくりと歩みながら話す。
「久しぶりだね、男鹿。驚いたよ。まさか、こんな形でまた、君に会えるとは思わなかったからね…」
言葉を紡ぐ彼の身に、特別変わったところは見られない。
姿形も、態度も、服装も、ごく普通。
しかしその、ごく普通の見かけが、尋常ならざる存在感と違和感を撒き散らしている。
「あれ?もしかして、忘れてる?非道(ヒド)いな。中学の頃、あんなに」
三木の発言を遮って、ベル坊が声を荒げた。
「マ゙ーーーーーッ!!マ゙マ゙マ゙ーマ゙、マ゙ーーッ!!!※」
※とても汚い言葉のつもり。
ここまでストレートな感情表現を示すことは、めったにない。
もう一度、三木は繰り返す。
「……………中学の頃、あんなにかわいがってくれ」
しかし、それは逆効果だった。
「マ゙ーーーッ!!!※」
※しゃべるな的なカンジ。
ベル坊は理解していた。
目の前の少年が、どうしても気にくわなかった。
理解して、首肯したくはなかった。
できることは、少しでも彼の発言を遅らせることだけ。
「………」
男鹿は驚いた顔で黙り込み、響古は険しい顔で睨み、生徒達はベル坊の怒鳴り声に圧倒される。
「何?」
「子供、すげーキレてる」
バブ55
みんな帰ります
居心地の悪い沈黙が教室を覆う。
これを打ち破るためには、唐突な話題転換もやむを得ない、と誰に対する言い訳がさだかではない……そして、響古が割り込んだ。
「こらー!そんなウソをつくなー!」
勢いよく出てきたものだから、その両胸が大きく跳ね上がった。
(す、すげぇもん見ちまったな)
響古は今、衝撃的な胸の揺れを見せつけられて動揺する男鹿の腕に抱きついてきた。
「あたし、わかった!わかっちゃった!」
彼女お得意な、超理論錬成。
本人しか理解不能な方程式によって、日常の些細な事象を曲解し、一足飛んで暴走する。
「――コレ、超ヤバイ!フラグばっきばきに立ってる!」
言うなれば、響古が皆から羨み恐れる"黒雪姫"よりも上の段階――ヤンデレに変わる予兆。
ヤンデレ注意報だ。
「ベル坊がこんなにも嫌がる理由……謎、謎でしょ!?でも、あたしには推理できた!こいつ、あたしと辰巳の仲を引き裂く邪魔者だ!辰巳とあたしの絆の間には、男も女も入る隙間はないんだから!ほらないでしょっ!」
響古は男鹿の右腕を、ぎゅぎゅうっ、と抱き、腕だけではなく両胸の谷間も活用して完全にホールドしてくる。
「ちょっ……!」
感触も見た目もとんでもない我が腕の危機に、男鹿は顔を赤らめる。
――む、むんにゅりと……!
シャツを押し上げる二つのふくらみの、なんという柔らかさ。
まるで、つきたての餅に腕が絡め取られた気分だ。
「う…うらやまけしからん……!」
「うおぉ……」
色恋沙汰が苦手な葵は動揺し、眉をつり上げて真っ赤になる。
古市は鼻から出そうな血を懸命に押さえてせき止める。
通常、信じられない状況だ。
「古市さん!!何があったんスか!?これ…大騒ぎじゃないスか」
「山村君…」
遅れて、問題の教室に到着した山村に顔を向ける古市の横で、
「ダレ?」
何も知らない千秋は首を傾げる。
「ちょうどよかった。あの三木って奴の事、聞きてーんだけど…」
「三木…?」
指差した方向へ視線を移すと、1年の教室にいる男鹿と響古を発見し、狼狽する。
「――って、うわ!!アニキに篠木さん!!」
不意に、三木の細められた視線が一瞬、響古に向けられた。
「変わったね……」
彼女が口を開く前に、男鹿に視線を戻す。
「――…うるさい子供だね…人の話を聞かない、すぐキレる。君にそっくりじゃないか…これじゃ、思い出話も出来やしない」
「マ゙ーーーッ」
(※もう死ね的な)
一触即発の状況を見守っていた葵は、胸中に感じた疑問を古市に訊ねる。
「あの二人って、知り合いなの?」
「ええ…中学の時の同級生で。オレも」
「響古とも?」
「いえ。響古とは完全に初対面です」
二人の間で、身長の低い千秋は背伸びして眺める。
「マジっすか!!アニキと三木さんが!?ぎゃ!!窓ガラス、バキバキ!!」
山村の目に、ようやく教室の全景が入った。
窓ガラスは全て枠ごと吹き飛んで、机や椅子が無惨に散らばっている。
彼にとっては、自分のよく知る場所だけに昨日の裏路地での光景よりも受けた衝撃は大きかった。
「見えねーぞ、コラ」
悲惨な教室の場面に今さら気づき、大声をあげる山村、視界の悪さに苦情する男達。
「……」
あまりにも雑然とした空間に言葉も出ない寧々は、三木について訊ねる。
「あいつはなんの部活?」
「え?」
「主将なんでしょ?」
「あぁ…空手っス…三木さんは史上初めて、1年にして六騎聖に選ばれた、本物の怪物っスよ」
答えは出たが、神崎を一撃のもと気絶させた攻撃に不可解そうに眉を寄せる。
――空手…?
――あれが…?
突きや蹴りを主体とする空手にしては、殺意の威力が段違いすぎる。
すると、昔の彼を知っていた古市が割って入る。
「まじかよ。あいつ中学の頃はそんなじゃなかったぞ?」
「あれ?でも待てよ…本当は、もっと違う武術をやってるとか言ってたような…なんだっけ?ほら、ナンタラ拳とかいう中国の拳法…」
「………とにかくっ!!神崎を運ぶわよ。ほらっ、あんた達もぼさっとしてない!!」
未だ疑問はつきねど、教室に倒れた神崎を男達に運ばせる。
「うっす」
「オ…オレもっスか?」
勝手に自分も含められていることに、山村は困惑する。
教室に足を踏み入れると、呆然と立ち尽くす男鹿と抱きつく響古に言い放つ。
「男鹿!!あんたも、そいつと戦っちゃダメよ。ほら響古、いつまでくっついてるの」
「……はーい」
間延びした返事と共に、仕方なく男鹿から離れる。
「あん?戦わねーよ。だって、ベル坊、こんなだぜ?」
ベル坊は顔を青ざめ、ないない、とひたすら首を振る。
「神崎を沈めた一撃…正直、ゾッとした。相手にしない方がいいわよ。あんたでも勝てるかどうか…」
言う中で、神崎を一瞬一撃で倒した三木の実力に、驚きを隠せない。
今は、不安が覗いていた。
「…響古、あなたに聞きたい事があるんだけど。姐さんの稽古相手として互角に闘ったあなたに」
「……かまいませんよ。あたしが答えられる範囲なら」
響古は動揺の欠片もない、素っ気ないというより涼やかな声で答えを返した。
「だから、戦わねっつーの。オレをなんだと思ってんだ」
そう言いながら話す内容に、三木は無表情で見つめる。
見た目にも露骨な落胆ぶりを見せた。
そして、自分が倒した神崎を、僅かに首だけを前に傾けて見下ろす。
「――ふぅん…それが東邦神姫の神崎…石矢魔のトップって、その程度なんだ…」
陰になったその顔に、より以上の侮蔑が凝 っていくように、寧々には見えた。
――…。
彼女にとってはあまりに長い、しかし実際にはほんの数秒の沈黙を経て、目の前の少年を睨みつける。
「あ?」
「ちょっと思っただけですよ。こんなのに勝っても自慢にならないって…だってそうでしょ?弱すぎますよ」
聖石矢魔の生徒は教壇に隠れる教師へ訴えるが、
「先生、止めないんですか?」
「三木君を信じてるからね」
完全に三木任せ。
(弱っ…)
それを見た男子生徒は辛辣な言葉を胸中でつぶやく。
――挑発…!!
何はなくとも、その言葉が思い浮かんだ。
葵も幾度か、喧嘩の線上に踊った経験を持っている。
それが、危機感を教える。
「待って、寧々!!」
この彼女の焦燥と危機感は当然、伝わっているはずだった。
「……」
「……そのクセ、やる事だけはハデだ。人の迷惑もかえりみず、虚勢をはる為だけに暴力を振るう。不良って、こんなのばかりですか?」
不用意な少年の本音が、侮蔑の凝りを一気に塊へと変えた。
すると、城山を鉄アレイで後頭部を強打させた二人が賛同した。
「そ…」
「そうだ…」
それが引き金になったのは間違いなく、聖石矢魔生徒の怒りが一斉に爆発した。
「そうだ、そうだ、帰れバカヤロウ!!」
「いいぞ、三木!!」
「てめえらなんか、さっさと六騎聖にやられちまえばいいんだ!!」
「迷惑なんだよ、チンピラ共が!!」
「オレ達の平穏を乱すんじゃねーよ!!」
三木の言葉が発端となって、恐れず、怯まず、熱狂の迸るまま、行動の堰 を切る、聖石矢魔の生徒達。
熱狂に晒され、男鹿達の立場は圧倒的不利になる。
「――やめなよ、みんな…これでも、この人達、本気なんだ」
三木が不自然に優しい、猫撫で声を発する。
いたぶるように、同情の眼差しを向けた。
「かわいそうじゃないか」
寧々の瞳に怒りの火が灯り、それまで伏せていた顔を険しく引きつらせ、勢いよく振り返って激昂する。
「もとはといえば、あんたんトコのバカ共が…」
今にも爆発しそうな殺気を噴き出した途端、古市と葵は身動きのできないまま、唖然とする。
その肩に響古が手を置いて、男鹿が言葉で引き止めた。
「ここで買ったら、負けだぜ?」
「………」
寧々は驚きに目を見開いて振り返る。
「へえ…君が止めるんだ。残念…もう一人、退学に出来ると思ったのに…」
胸ぐらを掴まれた三木はネクタイを直し、六騎聖との対戦場所を告げる。
「久しぶりだね、男鹿。驚いたよ。まさか、こんな形でまた、君に会えるとは思わなかったからね…」
言葉を紡ぐ彼の身に、特別変わったところは見られない。
姿形も、態度も、服装も、ごく普通。
しかしその、ごく普通の見かけが、尋常ならざる存在感と違和感を撒き散らしている。
「あれ?もしかして、忘れてる?非道(ヒド)いな。中学の頃、あんなに」
三木の発言を遮って、ベル坊が声を荒げた。
「マ゙ーーーーーッ!!マ゙マ゙マ゙ーマ゙、マ゙ーーッ!!!※」
※とても汚い言葉のつもり。
ここまでストレートな感情表現を示すことは、めったにない。
もう一度、三木は繰り返す。
「……………中学の頃、あんなにかわいがってくれ」
しかし、それは逆効果だった。
「マ゙ーーーッ!!!※」
※しゃべるな的なカンジ。
ベル坊は理解していた。
目の前の少年が、どうしても気にくわなかった。
理解して、首肯したくはなかった。
できることは、少しでも彼の発言を遅らせることだけ。
「………」
男鹿は驚いた顔で黙り込み、響古は険しい顔で睨み、生徒達はベル坊の怒鳴り声に圧倒される。
「何?」
「子供、すげーキレてる」
バブ55
みんな帰ります
居心地の悪い沈黙が教室を覆う。
これを打ち破るためには、唐突な話題転換もやむを得ない、と誰に対する言い訳がさだかではない……そして、響古が割り込んだ。
「こらー!そんなウソをつくなー!」
勢いよく出てきたものだから、その両胸が大きく跳ね上がった。
(す、すげぇもん見ちまったな)
響古は今、衝撃的な胸の揺れを見せつけられて動揺する男鹿の腕に抱きついてきた。
「あたし、わかった!わかっちゃった!」
彼女お得意な、超理論錬成。
本人しか理解不能な方程式によって、日常の些細な事象を曲解し、一足飛んで暴走する。
「――コレ、超ヤバイ!フラグばっきばきに立ってる!」
言うなれば、響古が皆から羨み恐れる"黒雪姫"よりも上の段階――ヤンデレに変わる予兆。
ヤンデレ注意報だ。
「ベル坊がこんなにも嫌がる理由……謎、謎でしょ!?でも、あたしには推理できた!こいつ、あたしと辰巳の仲を引き裂く邪魔者だ!辰巳とあたしの絆の間には、男も女も入る隙間はないんだから!ほらないでしょっ!」
響古は男鹿の右腕を、ぎゅぎゅうっ、と抱き、腕だけではなく両胸の谷間も活用して完全にホールドしてくる。
「ちょっ……!」
感触も見た目もとんでもない我が腕の危機に、男鹿は顔を赤らめる。
――む、むんにゅりと……!
シャツを押し上げる二つのふくらみの、なんという柔らかさ。
まるで、つきたての餅に腕が絡め取られた気分だ。
「う…うらやまけしからん……!」
「うおぉ……」
色恋沙汰が苦手な葵は動揺し、眉をつり上げて真っ赤になる。
古市は鼻から出そうな血を懸命に押さえてせき止める。
通常、信じられない状況だ。
「古市さん!!何があったんスか!?これ…大騒ぎじゃないスか」
「山村君…」
遅れて、問題の教室に到着した山村に顔を向ける古市の横で、
「ダレ?」
何も知らない千秋は首を傾げる。
「ちょうどよかった。あの三木って奴の事、聞きてーんだけど…」
「三木…?」
指差した方向へ視線を移すと、1年の教室にいる男鹿と響古を発見し、狼狽する。
「――って、うわ!!アニキに篠木さん!!」
不意に、三木の細められた視線が一瞬、響古に向けられた。
「変わったね……」
彼女が口を開く前に、男鹿に視線を戻す。
「――…うるさい子供だね…人の話を聞かない、すぐキレる。君にそっくりじゃないか…これじゃ、思い出話も出来やしない」
「マ゙ーーーッ」
(※もう死ね的な)
一触即発の状況を見守っていた葵は、胸中に感じた疑問を古市に訊ねる。
「あの二人って、知り合いなの?」
「ええ…中学の時の同級生で。オレも」
「響古とも?」
「いえ。響古とは完全に初対面です」
二人の間で、身長の低い千秋は背伸びして眺める。
「マジっすか!!アニキと三木さんが!?ぎゃ!!窓ガラス、バキバキ!!」
山村の目に、ようやく教室の全景が入った。
窓ガラスは全て枠ごと吹き飛んで、机や椅子が無惨に散らばっている。
彼にとっては、自分のよく知る場所だけに昨日の裏路地での光景よりも受けた衝撃は大きかった。
「見えねーぞ、コラ」
悲惨な教室の場面に今さら気づき、大声をあげる山村、視界の悪さに苦情する男達。
「……」
あまりにも雑然とした空間に言葉も出ない寧々は、三木について訊ねる。
「あいつはなんの部活?」
「え?」
「主将なんでしょ?」
「あぁ…空手っス…三木さんは史上初めて、1年にして六騎聖に選ばれた、本物の怪物っスよ」
答えは出たが、神崎を一撃のもと気絶させた攻撃に不可解そうに眉を寄せる。
――空手…?
――あれが…?
突きや蹴りを主体とする空手にしては、殺意の威力が段違いすぎる。
すると、昔の彼を知っていた古市が割って入る。
「まじかよ。あいつ中学の頃はそんなじゃなかったぞ?」
「あれ?でも待てよ…本当は、もっと違う武術をやってるとか言ってたような…なんだっけ?ほら、ナンタラ拳とかいう中国の拳法…」
「………とにかくっ!!神崎を運ぶわよ。ほらっ、あんた達もぼさっとしてない!!」
未だ疑問はつきねど、教室に倒れた神崎を男達に運ばせる。
「うっす」
「オ…オレもっスか?」
勝手に自分も含められていることに、山村は困惑する。
教室に足を踏み入れると、呆然と立ち尽くす男鹿と抱きつく響古に言い放つ。
「男鹿!!あんたも、そいつと戦っちゃダメよ。ほら響古、いつまでくっついてるの」
「……はーい」
間延びした返事と共に、仕方なく男鹿から離れる。
「あん?戦わねーよ。だって、ベル坊、こんなだぜ?」
ベル坊は顔を青ざめ、ないない、とひたすら首を振る。
「神崎を沈めた一撃…正直、ゾッとした。相手にしない方がいいわよ。あんたでも勝てるかどうか…」
言う中で、神崎を一瞬一撃で倒した三木の実力に、驚きを隠せない。
今は、不安が覗いていた。
「…響古、あなたに聞きたい事があるんだけど。姐さんの稽古相手として互角に闘ったあなたに」
「……かまいませんよ。あたしが答えられる範囲なら」
響古は動揺の欠片もない、素っ気ないというより涼やかな声で答えを返した。
「だから、戦わねっつーの。オレをなんだと思ってんだ」
そう言いながら話す内容に、三木は無表情で見つめる。
見た目にも露骨な落胆ぶりを見せた。
そして、自分が倒した神崎を、僅かに首だけを前に傾けて見下ろす。
「――ふぅん…それが東邦神姫の神崎…石矢魔のトップって、その程度なんだ…」
陰になったその顔に、より以上の侮蔑が
――…。
彼女にとってはあまりに長い、しかし実際にはほんの数秒の沈黙を経て、目の前の少年を睨みつける。
「あ?」
「ちょっと思っただけですよ。こんなのに勝っても自慢にならないって…だってそうでしょ?弱すぎますよ」
聖石矢魔の生徒は教壇に隠れる教師へ訴えるが、
「先生、止めないんですか?」
「三木君を信じてるからね」
完全に三木任せ。
(弱っ…)
それを見た男子生徒は辛辣な言葉を胸中でつぶやく。
――挑発…!!
何はなくとも、その言葉が思い浮かんだ。
葵も幾度か、喧嘩の線上に踊った経験を持っている。
それが、危機感を教える。
「待って、寧々!!」
この彼女の焦燥と危機感は当然、伝わっているはずだった。
「……」
「……そのクセ、やる事だけはハデだ。人の迷惑もかえりみず、虚勢をはる為だけに暴力を振るう。不良って、こんなのばかりですか?」
不用意な少年の本音が、侮蔑の凝りを一気に塊へと変えた。
すると、城山を鉄アレイで後頭部を強打させた二人が賛同した。
「そ…」
「そうだ…」
それが引き金になったのは間違いなく、聖石矢魔生徒の怒りが一斉に爆発した。
「そうだ、そうだ、帰れバカヤロウ!!」
「いいぞ、三木!!」
「てめえらなんか、さっさと六騎聖にやられちまえばいいんだ!!」
「迷惑なんだよ、チンピラ共が!!」
「オレ達の平穏を乱すんじゃねーよ!!」
三木の言葉が発端となって、恐れず、怯まず、熱狂の迸るまま、行動の
熱狂に晒され、男鹿達の立場は圧倒的不利になる。
「――やめなよ、みんな…これでも、この人達、本気なんだ」
三木が不自然に優しい、猫撫で声を発する。
いたぶるように、同情の眼差しを向けた。
「かわいそうじゃないか」
寧々の瞳に怒りの火が灯り、それまで伏せていた顔を険しく引きつらせ、勢いよく振り返って激昂する。
「もとはといえば、あんたんトコのバカ共が…」
今にも爆発しそうな殺気を噴き出した途端、古市と葵は身動きのできないまま、唖然とする。
その肩に響古が手を置いて、男鹿が言葉で引き止めた。
「ここで買ったら、負けだぜ?」
「………」
寧々は驚きに目を見開いて振り返る。
「へえ…君が止めるんだ。残念…もう一人、退学に出来ると思ったのに…」
胸ぐらを掴まれた三木はネクタイを直し、六騎聖との対戦場所を告げる。