バブ30
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響古がラミアをお仕置きすると宣言してから、男鹿達は部屋の前で待機。
待機する間は暇なので、何をしているのか扉に耳を当てると……パンッパンッ、と叩く音と、
「ごめんなさい、ごめんなさい!!」
ひたすら謝る哀れっぽい声が。
十分後、非常に満足顔な響古が出てきて言った。
「ふぅ、スッキリした」
響古に促され、疲れた顔をした男鹿と頬を染めるヒルダが部屋に入ると……服の上からでもわかる、赤くなった尻を押さえて、ラミアがしくしくと泣いていた。
「「…………」」
二人が無言でそれを見ていることに気づいた響古は、申し訳なさそうに、かつ何故か嬉しそうに笑みを浮かべる。
「やりすぎちゃった」
せっかくなので、男鹿も腹いせにラミアの尻を強く叩いた。
汚れた身体で東条に喧嘩を挑むのもなんなので――身体を洗って清潔になりたいのも理由――まず最初に、響古が風呂に入る。
すると、ヒルダの目が煌めき、ラミアに耳打ちする。
そんなわけで、ヒルダは長い黒手袋を、ラミアは白衣を脱いで風呂場に突入する。
ちょうど、響古がシャワーを浴び終え、身体を洗っていた。
お湯を染み渡らせるようにスポンジで身体を擦るところへ、突然乱入してきた二人に愕然とし、悲鳴をあげた。
「きゃああっ!!な、なな、何しに来たの、二人とも!?」
「ん?ただ背中を流そうと思ってな。この国では、背中を洗い合う『裸の付き合い』があると聞いたものだが」
「だ、だからって、服着たままで来なくても……というか、昔はそうだったと思うけど、時代の最先端をいく現代日本ではそんなことしないから!」
(ダメだ、この人!早くなんとかしないと!日本を勘違いしちゃってる、典型的な「なんちゃって日本かぶれ外国人」だよ!)
思い当たる節を響古が慌てふためいてると。
「き――響古さん!」
緊張を必死に諫めて。
ラミアは全ての勇気を振り絞って声を出し、響古を見上げる。
緊張で指先が震え出しそう、というかもう震えている。
頬が熱くて赤くなっているのが自分でもわかる。
響古はラミアの大声に少し驚いた様子で、
「な、なに」
と身構えた。
「ご、ごめんなさい!!私、さっきまで失礼な事言って、謝りたいんです!!その、響古お姉様って呼んでもいいですかっ!?呼ばせてください!というか呼びます!」
「あの……ええっと。ちょっと待って。待ちなさい。っていうか、待てって言ってるでしょう!」
響古は顔を近づけたラミアをぐいと押し返し、困惑し、混乱しきった表情で、一体何故、こんな状況になっているの、とぐるぐる思考が空転する。
「ラミアも、あの艶めかしい肌をじっくりねっとり舐 るように鑑賞した方がいい」
「舐る…!?」
ヒルダのその言葉に、響古は胸元を腕で隠し、どこか警戒したような顔で見やる。
「ヒルダ、何言って……じっくりねっとりって、まるでストーカーか何かみたいな言い方やめてよね!!そりゃあ、辰巳に告白しようと、一週間近くも付け回したけど――」
「うわぁ……」
ラミアは露になった、自分についていない豊かなふくらみを見て興味津々。
汗の流れゆく彼女の肢体は、同性も羨 む起伏に富んでいる。
上気したきめ細やかな肌が、色っぽい仕草と相まって、なんとも扇情的だった。
「おお、これは……」
「あ、あんまりジロジロ見ないで。は、恥ずかしいんだけど…」
ヒルダとラミアは豊満な肉体を、その熟れた二つの果実を白魚のような指で……って、これ以上いくと、禁断の百合世界に入ってしまうので自粛。
「相変わらず、いい身体をしているな。特に引き締まった腰から長い足にかけてのシルエットが何とも言えん」
「へ?」
「水滴を弾く肌がたまらん。水滴がうなじを通って……ああ、水滴になりたい」
「え~と、ヒルダ?」
「濡れた髪がピッタリと張りついて」
「何、ラミアちゃんまで!?」
「ああ、お姉様……私、幸せです。めちゃくちゃ美しいもう素敵すぎ!」
響古のシャワーシーンを実況生中継です。
女の子は実に複雑ですねとか言えば綺麗に収まりますかね。
「もう!一人でゆっくりシャワー浴びたいの、早く出てって!」
「濡れたまま脱衣所を走るのはどうかと思うぞ」
「あと裸で走るのもどうかと思います」
「だから、出てけーー!!」
「ああっ、裸で押し倒すなんて!……でも、響古なら私は……」
「アホかっ!!」
そんな感じで、なんとも百合っぽい会話がどたばたと実況された後、何も知らない男鹿が脱衣所に入ってきた。
疲れた表情の男鹿はバスタオルと着替えを引っ張り出して部屋を出た。
(さすがに響古も上がっててるだろうし)
それらを置き、洗面台の鏡の前に立つ。
さすがに洗面台の前に二人並ぶとなかなか狭いが、なんとか鏡に自分の姿は映っている。
ふう、と溜め息をつきながら、Tシャツを脱ぐ。
隣で髪を拭いている響古の邪魔にならいよう、遠慮がちに――。
(……隣で、髪を、拭いて、いる?)
「「…………」」
鏡越しに、目が合った。
その瞬間、鏡に映るお互いの表情はどちらも、何が起こったのか理解できていない、きょとんとしたものだった。
シャツを脱ぐ男鹿。
どこからどう見てもお風呂上がり、下着を身につけて、タオルで髪の毛を拭いている響古。
どちらも動きを止め、まばたきすらしていない。
「「…………」」
人間というものは――本当に困った時、思考回路を一撃で叩き壊すようなとんでもないことが起こった時、意外と笑ってしまうものである。
蛍光灯の明かりを受けて真っ白に輝く響古の裸体を鏡越しに見て、男鹿は微かに笑う。
スタイル抜群、重量感のある胸のふくらみの先端は桜色に色づいている。
腰は上下の部分に比べて驚くほど細く、くびれは悩ましい。
そして、腰の辺りから至る丸みは扇情的でありながら、どこか可憐で――。
そのまばゆい裸体を鏡越しに見られて、響古は微かに微笑んで、頭を下げた。
完全に停止している脱衣所の時間の中、
(えっと……)
と男鹿は必死に考える。
(響古が…………裸で。すぐ、隣に――)
「――お姉様!」
その時、にこやかにお風呂場から出てきたのは、上機嫌丸出しのラミアであった。
響古と一緒に入っていた、らしい。
先程までの勝ち気で生意気な時とは別物の、随分しおらしい言葉遣いと口調だ。
「すっかり、のぼせてしまったな」
続いて、ヒルダも出てくる。
「あれ?どうかしたんですか、お姉、様……?」
しゃべっていたその声が、だんだんとかすれて、脱衣所を包み込む静寂に呑まれていく。
二人と目が合ってしまったのだ、鏡越しに。
「あ、あんた……な、何してんの……?」
ラミアの呆然とした声が、脱衣所の時間を再開させる。
「………っ!」
「………っ!?」
――あああああっっ!!
男鹿と響古、双方の心の叫びが響き渡る。
点火させたかのごとき勢いで頬を染めた響古は、
「た、たたたた……!?」
狼狽し、バスタオルを抱いて思わずといった風情で飛び下がり、壁にぶつかって、きゃあ、と短い悲鳴。
火が燃え移ったかのごとき勢いで真っ赤になった男鹿は、
「ご、ごごごご……!?」
死ぬほど慌てふためき、脱衣所を飛び出そうとしてドアに激突、額を打って涙目になりつつもどうにか脱出。
「た、たたつっ………きゃーーーっっ!?」
「……ド変態め」
「ご、ごめんーーーっっ!?」
「何してんのバカ、この超絶変態ーーーっっ!!」
居間に逃げ帰って、そのままの勢いでソファにダイブする。
恥ずかしさに火を噴く顔を、またしても埋める男鹿だった。
「……な、なんてベタなことを……!」
――違う……違うんだ!
(ごめん響古、そんなつもりじゃ、全くちっとも一欠片もなかった、たしかに少しばかりラッキーという気持ちもないが、というかラッキーだけど、網膜に焼きつけはしたけど!)
そんな感じで一人で悶々としていた男鹿に、居間を通り過ぎるヒルダとラミアが無表情無言で見つめ、見つめ、見つめ……何も言わずに歩き去ります。
キツイです、無言はキツイです。
これなら、何か言われた方がよっぽどマシです。
罵倒の方が、まだ優しさがある気がします。
そして、何よりキツイのが無表情で、蔑んだ視線だけを向ける。
これ、かなりキます。
「みっ、見るな!!オレをそんな目で見るなーー!!」
さすがの男鹿も、この二人の視線には耐えられなかったようだ。
「……うあぁ~~、響古に何て言えばいいんだ~~」
返事は来た、後ろから。
「なぁに?」
「うぉわぁ!」
男鹿は我に返って跳ね起きた。
ばにゅよん、と振り向きかけた男鹿の横顔が、柔らかいものに当たる。
一瞬の張りと、すぐ後の溶け込むようなソフトさ。
触れ覚えのある……顔面を埋め覚えのある感覚が、耳、頬、頭を包み込んだ。
離れようとした男鹿の頭を、細い腕がしっかりと包み込む。
「……痛かったよ」
ぼそっと、響古は男鹿の頭の上でつぶやいた。
「女の子の胸は、とってもデリケートなんだよ。辰巳、そんな、乱暴に当たったりしちゃダメ」
「き、響古?ごめん。びっくりしたから、それで」
「ううん、いいの、痛かったけど……ふふっ、ちょっぴり気持ちよかったから」
その声音は、何やら桃色吐息が混ざっていた。
「き、気持ちよかった?」
「なんだかあたし、辰巳にされるのなら、もうなんでもいいみたい。電気がびりっと走って…あーあ。あたし、辰巳色にすっかり染められちゃった」
「オ、オレ色…!」
するりと腕は外され、飛び退く勢いで男鹿は離れる。
「どーしたの、辰巳、そんなに慌てて」
湯に温められて紅潮した白い肌は、今にも石鹸の香りを含んだ湯気が立つようで、それなりに艶めかしい。
「は、はは、いや、なんでも……響古、冗談がきついぞ」
「ううん」
待機する間は暇なので、何をしているのか扉に耳を当てると……パンッパンッ、と叩く音と、
「ごめんなさい、ごめんなさい!!」
ひたすら謝る哀れっぽい声が。
十分後、非常に満足顔な響古が出てきて言った。
「ふぅ、スッキリした」
響古に促され、疲れた顔をした男鹿と頬を染めるヒルダが部屋に入ると……服の上からでもわかる、赤くなった尻を押さえて、ラミアがしくしくと泣いていた。
「「…………」」
二人が無言でそれを見ていることに気づいた響古は、申し訳なさそうに、かつ何故か嬉しそうに笑みを浮かべる。
「やりすぎちゃった」
せっかくなので、男鹿も腹いせにラミアの尻を強く叩いた。
汚れた身体で東条に喧嘩を挑むのもなんなので――身体を洗って清潔になりたいのも理由――まず最初に、響古が風呂に入る。
すると、ヒルダの目が煌めき、ラミアに耳打ちする。
そんなわけで、ヒルダは長い黒手袋を、ラミアは白衣を脱いで風呂場に突入する。
ちょうど、響古がシャワーを浴び終え、身体を洗っていた。
お湯を染み渡らせるようにスポンジで身体を擦るところへ、突然乱入してきた二人に愕然とし、悲鳴をあげた。
「きゃああっ!!な、なな、何しに来たの、二人とも!?」
「ん?ただ背中を流そうと思ってな。この国では、背中を洗い合う『裸の付き合い』があると聞いたものだが」
「だ、だからって、服着たままで来なくても……というか、昔はそうだったと思うけど、時代の最先端をいく現代日本ではそんなことしないから!」
(ダメだ、この人!早くなんとかしないと!日本を勘違いしちゃってる、典型的な「なんちゃって日本かぶれ外国人」だよ!)
思い当たる節を響古が慌てふためいてると。
「き――響古さん!」
緊張を必死に諫めて。
ラミアは全ての勇気を振り絞って声を出し、響古を見上げる。
緊張で指先が震え出しそう、というかもう震えている。
頬が熱くて赤くなっているのが自分でもわかる。
響古はラミアの大声に少し驚いた様子で、
「な、なに」
と身構えた。
「ご、ごめんなさい!!私、さっきまで失礼な事言って、謝りたいんです!!その、響古お姉様って呼んでもいいですかっ!?呼ばせてください!というか呼びます!」
「あの……ええっと。ちょっと待って。待ちなさい。っていうか、待てって言ってるでしょう!」
響古は顔を近づけたラミアをぐいと押し返し、困惑し、混乱しきった表情で、一体何故、こんな状況になっているの、とぐるぐる思考が空転する。
「ラミアも、あの艶めかしい肌をじっくりねっとり
「舐る…!?」
ヒルダのその言葉に、響古は胸元を腕で隠し、どこか警戒したような顔で見やる。
「ヒルダ、何言って……じっくりねっとりって、まるでストーカーか何かみたいな言い方やめてよね!!そりゃあ、辰巳に告白しようと、一週間近くも付け回したけど――」
「うわぁ……」
ラミアは露になった、自分についていない豊かなふくらみを見て興味津々。
汗の流れゆく彼女の肢体は、同性も
上気したきめ細やかな肌が、色っぽい仕草と相まって、なんとも扇情的だった。
「おお、これは……」
「あ、あんまりジロジロ見ないで。は、恥ずかしいんだけど…」
ヒルダとラミアは豊満な肉体を、その熟れた二つの果実を白魚のような指で……って、これ以上いくと、禁断の百合世界に入ってしまうので自粛。
「相変わらず、いい身体をしているな。特に引き締まった腰から長い足にかけてのシルエットが何とも言えん」
「へ?」
「水滴を弾く肌がたまらん。水滴がうなじを通って……ああ、水滴になりたい」
「え~と、ヒルダ?」
「濡れた髪がピッタリと張りついて」
「何、ラミアちゃんまで!?」
「ああ、お姉様……私、幸せです。めちゃくちゃ美しいもう素敵すぎ!」
響古のシャワーシーンを実況生中継です。
女の子は実に複雑ですねとか言えば綺麗に収まりますかね。
「もう!一人でゆっくりシャワー浴びたいの、早く出てって!」
「濡れたまま脱衣所を走るのはどうかと思うぞ」
「あと裸で走るのもどうかと思います」
「だから、出てけーー!!」
「ああっ、裸で押し倒すなんて!……でも、響古なら私は……」
「アホかっ!!」
そんな感じで、なんとも百合っぽい会話がどたばたと実況された後、何も知らない男鹿が脱衣所に入ってきた。
疲れた表情の男鹿はバスタオルと着替えを引っ張り出して部屋を出た。
(さすがに響古も上がっててるだろうし)
それらを置き、洗面台の鏡の前に立つ。
さすがに洗面台の前に二人並ぶとなかなか狭いが、なんとか鏡に自分の姿は映っている。
ふう、と溜め息をつきながら、Tシャツを脱ぐ。
隣で髪を拭いている響古の邪魔にならいよう、遠慮がちに――。
(……隣で、髪を、拭いて、いる?)
「「…………」」
鏡越しに、目が合った。
その瞬間、鏡に映るお互いの表情はどちらも、何が起こったのか理解できていない、きょとんとしたものだった。
シャツを脱ぐ男鹿。
どこからどう見てもお風呂上がり、下着を身につけて、タオルで髪の毛を拭いている響古。
どちらも動きを止め、まばたきすらしていない。
「「…………」」
人間というものは――本当に困った時、思考回路を一撃で叩き壊すようなとんでもないことが起こった時、意外と笑ってしまうものである。
蛍光灯の明かりを受けて真っ白に輝く響古の裸体を鏡越しに見て、男鹿は微かに笑う。
スタイル抜群、重量感のある胸のふくらみの先端は桜色に色づいている。
腰は上下の部分に比べて驚くほど細く、くびれは悩ましい。
そして、腰の辺りから至る丸みは扇情的でありながら、どこか可憐で――。
そのまばゆい裸体を鏡越しに見られて、響古は微かに微笑んで、頭を下げた。
完全に停止している脱衣所の時間の中、
(えっと……)
と男鹿は必死に考える。
(響古が…………裸で。すぐ、隣に――)
「――お姉様!」
その時、にこやかにお風呂場から出てきたのは、上機嫌丸出しのラミアであった。
響古と一緒に入っていた、らしい。
先程までの勝ち気で生意気な時とは別物の、随分しおらしい言葉遣いと口調だ。
「すっかり、のぼせてしまったな」
続いて、ヒルダも出てくる。
「あれ?どうかしたんですか、お姉、様……?」
しゃべっていたその声が、だんだんとかすれて、脱衣所を包み込む静寂に呑まれていく。
二人と目が合ってしまったのだ、鏡越しに。
「あ、あんた……な、何してんの……?」
ラミアの呆然とした声が、脱衣所の時間を再開させる。
「………っ!」
「………っ!?」
――あああああっっ!!
男鹿と響古、双方の心の叫びが響き渡る。
点火させたかのごとき勢いで頬を染めた響古は、
「た、たたたた……!?」
狼狽し、バスタオルを抱いて思わずといった風情で飛び下がり、壁にぶつかって、きゃあ、と短い悲鳴。
火が燃え移ったかのごとき勢いで真っ赤になった男鹿は、
「ご、ごごごご……!?」
死ぬほど慌てふためき、脱衣所を飛び出そうとしてドアに激突、額を打って涙目になりつつもどうにか脱出。
「た、たたつっ………きゃーーーっっ!?」
「……ド変態め」
「ご、ごめんーーーっっ!?」
「何してんのバカ、この超絶変態ーーーっっ!!」
居間に逃げ帰って、そのままの勢いでソファにダイブする。
恥ずかしさに火を噴く顔を、またしても埋める男鹿だった。
「……な、なんてベタなことを……!」
――違う……違うんだ!
(ごめん響古、そんなつもりじゃ、全くちっとも一欠片もなかった、たしかに少しばかりラッキーという気持ちもないが、というかラッキーだけど、網膜に焼きつけはしたけど!)
そんな感じで一人で悶々としていた男鹿に、居間を通り過ぎるヒルダとラミアが無表情無言で見つめ、見つめ、見つめ……何も言わずに歩き去ります。
キツイです、無言はキツイです。
これなら、何か言われた方がよっぽどマシです。
罵倒の方が、まだ優しさがある気がします。
そして、何よりキツイのが無表情で、蔑んだ視線だけを向ける。
これ、かなりキます。
「みっ、見るな!!オレをそんな目で見るなーー!!」
さすがの男鹿も、この二人の視線には耐えられなかったようだ。
「……うあぁ~~、響古に何て言えばいいんだ~~」
返事は来た、後ろから。
「なぁに?」
「うぉわぁ!」
男鹿は我に返って跳ね起きた。
ばにゅよん、と振り向きかけた男鹿の横顔が、柔らかいものに当たる。
一瞬の張りと、すぐ後の溶け込むようなソフトさ。
触れ覚えのある……顔面を埋め覚えのある感覚が、耳、頬、頭を包み込んだ。
離れようとした男鹿の頭を、細い腕がしっかりと包み込む。
「……痛かったよ」
ぼそっと、響古は男鹿の頭の上でつぶやいた。
「女の子の胸は、とってもデリケートなんだよ。辰巳、そんな、乱暴に当たったりしちゃダメ」
「き、響古?ごめん。びっくりしたから、それで」
「ううん、いいの、痛かったけど……ふふっ、ちょっぴり気持ちよかったから」
その声音は、何やら桃色吐息が混ざっていた。
「き、気持ちよかった?」
「なんだかあたし、辰巳にされるのなら、もうなんでもいいみたい。電気がびりっと走って…あーあ。あたし、辰巳色にすっかり染められちゃった」
「オ、オレ色…!」
するりと腕は外され、飛び退く勢いで男鹿は離れる。
「どーしたの、辰巳、そんなに慌てて」
湯に温められて紅潮した白い肌は、今にも石鹸の香りを含んだ湯気が立つようで、それなりに艶めかしい。
「は、はは、いや、なんでも……響古、冗談がきついぞ」
「ううん」