第三訓
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ヘルメットを被る銀時は原付の運転中にジャンプの発売日に気づき、顔を歪ませる。
「しまったァ。今日ジャンプの発売日じゃねーか。今週は土曜日なの忘れてた。引き返すか」
読者層が低年齢寄りの少年漫画雑誌に夢中の銀時。
後ろには、ヘルメットを被る響古と新八が乗っていた。
「もういいでしょ、スキヤキの材料は買ったんだから」
「まァ、これもジャンプ卒業するいい機会かもしれねェ。いい歳こいて、少年ジャンプって、お前…いや、でも男は死ぬまで少年だしな…」
「スンマセン。恥ずかしい葛藤は心の中でしてください」
そこへ、響古が銀時の肩に細い顎をのせて言う。
「銀、迷うんだったら買いな。どーせジャンプを卒業するなんて無理だから」
「断言かよ」
きっぱりと言い切る響古の清々しさ、あるいは毒舌に呆れてしまう。
この時、運転中によそ見をしていたせいで曲がり角に差しかかったところ、チャイナドレスを着た少女が前へ飛び出してきた。
「あぶね!!」
咄嗟にブレーキを踏むが既に遅く、少女をひいてしまった。
銀時と新八は目の前で起こった事故に目を剥き、響古は慌てて原付から降りる。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!ひいちゃったよ、ちょっとォォォ!!どーすんスか、コレ!!アンタ、よそ見してるから…」
「騒ぐんじゃねーよ。とりあえずおちついて、タイムマシンを探せ」
何故か自動販売機の商品取り出し口に頭を突っ込む。
時間を遡る未来道具を本気で探しているようだ。
「アンタがおちつけェェェ!!」
「青色のタヌキみたいな猫ネコ型ロボットォォォ!!」
響古も口許に手を当てて叫ぶ。
不思議な効力を持った数々のアイテムを持つネコ型ロボット。
本来なら机の引き出しから現れるのだが、その代わりに新八のツッコミが飛ぶ。
「確かに、そいつタイムマシンもってますけど!ってか、軽くバカにしてるよね!」
「だ…大丈夫だよ、オメーよォ。お目覚めテレビの占いじゃ、俺の運勢は最高だった。きっと奇跡的に無傷に違いねェ」
自分に自己暗示をして落ち着かせ、少女の肩を揺する。
「なァ、オイ、お嬢…!!」
だが、身体を向けた際に少女の肩から血が流れ、地面に血だまりをつくっていた。
「お目覚めテレビぃぃぃぃぃ!!」
物凄い形相で、テレビの星座占いに苦情を叫びながら原付を走らせる。
「てめっ、もう二度と見ねーからなチクショー!!いや、でもお天気お姉さん、かわいんだよな」
今後も占い番組を見ようか見まいか葛藤する銀時とは対照的に、響古は真剣な表情で訊ねる。
「新八、その娘 の様子はどう?」
「ピクリともしません」
少女を落とさないよう、小柄な身体を新八の腹と一緒に縄で固定してある。
「早く、医者連れてかなきゃ」
そこに後ろから黒い高級車が近づいてきて、男が拳銃を抜いた。
「ちょ…何ィィィ!?」
新八はいきなり銃口を向けられてパニックに陥る。
零距離で響き渡る銃声。
撃ち抜いた音はしたが、痛覚がないのを不思議に思った新八が閉じていた目を開けると、気絶していたはずの少女が傘を開いて銃弾を防いでいた。
弾頭の潰れた弾がポロポロと落ちる。
次に傘を閉じ、先端を車に向けて撃つ。
フロントガラスに弾痕と亀裂が走って、車は木に激突した。
開いた口が塞がらない新八をよそに、少女は傘の先から出た煙をフッと吹く。
ひとまず謎の男達から逃げ切り、路地裏に避難する。
髪を両側頭でお団子に結い上げたチャイナ服の少女は、原付にはねられたにもかかわず気丈に言い放つ。
「お前ら、馬鹿デスか?私…スクーターはねられた位じゃ死なないヨ。コレ、奴らに撃たれた傷アル。もうふさがったネ」
そう言って、チャイナ服の紐を外して、右肩にあった傷を響古に見せる。
同性の響古が傷を診ている間、銀時はゴミ箱の上に座り、新八は見張りをしていた。
「お前、ご飯にボンドでもかけて食べてんの?」
「でも、よかった。たいしたことなくて」
響古が安堵の溜め息をついて微笑むと、少女の透けるような白い顔が微 かに赤くなる。
「お姉さん、とっても綺麗アルな」
「フフ、ありがとう」
「まァ、いいや。大丈夫そうだから、俺ら行くわ。お大事に~」
面倒事に巻き込まれたくないと銀時と新八はヘルメットを被り、原付に乗る。
アクセルを握り、発進しようとするが、
「アレ?新八、お前、急に重くなっ!?」
少女が片手でスクーターを止めていた。
その異常な怪力を目 の当たりにした響古は、美貌が強張っているのに気づく。
「まさか…」
この小さなつぶやきは、二人の耳に入ってなどいなかった。
「ヤクザに追われる少女、見捨てる大人、見たことないネ」
「ああ、俺、心は少年だからさァ。それに、この国では原チャリ片手で止める奴を少女とは呼ばん。マウンテンゴリラと呼ぶ」
その時、路地裏を歩いていたパンチパーマの髪型をした男達に見つかってしまった。
「おっ、いたぞォォ、こっちだァァ!!」
「わっ、わっ、わっ」
銀時は原付を置いて、四人は一目散に逃げる。
「ちょっ、何なの!?アイツら、ロリコンヤクザ?」
「何?ポリゴン?」
「ロリコンね」
あまり日本語ができていないのか、訂正してやる。
すると、少女は悲しそうに表情を揺らし、静かに話し始めた。
「私…江戸 に来たらマネーつかめる聞いて、遠い星からはるばる出稼ぎきたヨ」
一番後ろにいる銀時は少しでも男達が近づかないように、道端にあったゴミ箱を蹴り倒す。
「私のウチ、めっさビンボー。三食ふりかけご飯。せめて三食、卵かけご飯食べたいアル」
――父子家庭であった少女の家はとても貧しく、父、兄と共にちゃぶ台を囲い、ご飯の上にふりかけをかけるサラサラという音が虚しく響く。
「いや、あんま変わんないんじゃ」
「そんなとき、奴らに誘われた」
――出稼ぎに来たのはいいものの、見知らぬ土地に一人きり。
――少女が困り果てているところ、パンチパーマの髪型が特徴的な男が声をかけてきた。
「ウチで働いてくれたら三食鮭茶漬け食べれるよ」
――三食同じメニューという微妙な条件つきで雇ってくれた。
「私、それ聞いてとびついたネ」
「なんでだよ。せめて三食バラバラなもの食べようよ」
胡乱な目つきでつっこむ新八に構わず、話を続ける。
「私、地球人に比べてちょっぴ頑丈。奴らの喧嘩、ひきうけた。鮭茶漬け、毎日サラサラ幸せだたヨ」
ゴミ捨て場に隠れる四人の前を、男達は気づくことなく通り過ぎる。
「でも最近、仕事内容エスカレータ」
「いや、エスカレートね」
「人のキンタマまでとってこい言われるようになったアル」
「いや、キンタマじゃなくて命 ね、命」
少女の話から察するに、声をかけた男達はまともな連中ではない。
ヤクザの用心棒として働いているらしい。
○○組系暴力団、△△組というような組織を想像して、響古は頷いた。
「私もう嫌だヨ。江戸とても恐い所、故郷 、帰りたい」
暗い面持ちで、少女は弱音をこぼす。
それまで黙っていた銀時が、口を開くなり少女の言葉を鼻で笑う。
「バカだなオメー。この国じゃよォ、パンチパーマと赤い服着た女の言うことは信じちゃダメよ。まァ、てめーではいりこんだ世界だ。てめーでおとし前つけるこったな。響古、後はヨロシク~」
「オイ、ちょっと」
新八の返答を待たずしてどこかへ行ってしまい、響古は小さな溜め息をついた。
その頃、少女を誘った張本人が団子を食べながら、いつまで経っても捕らえられない男達に怒鳴っていた。
「バカですかァァ、お前ら!!娘っこ一人連れ戻すのに、何、手こずってんの!?それでも極道か、バカヤロォォ!!それでもパンチパーマなのか、コノヤロー!!」
「しかし兄貴ィ。相手はあの夜兎族ですぜ。俺らが束になったって、どーにも…」
一人の部下が自信なさげに言った途端、喝と拳が飛ぶ。
「バカですかァ、お前は!!」
それでも怒りは収まらず、二人に押さえられ、激昂する。
「だからこそだろーが!!あの怪物娘うまいこと使えば、我ら班池 組は天下とれっかもしれないんだぞ!?奴らの種族は、絶滅しかけてんだ。どれだけ希少価値があると思ってる」
悄然とうつむく彼らにヤクザの組長は最後の団子を食べると、ピンと串を弾いた。
「こっちの手に戻ってこねーようならよォ、もう構わねェ、殺 せ」
組長の物言いに、部下達も彼が何をしようとしているのか気がついたようだ。
「アレが他の組織に渡りゃ、とんでもねェ脅威になる。利用価値のねェ大きな道具は処分した方がいい」
歌舞伎町の駅に設置されたゴミ箱がガタガタと動き、響古達が顔を出す。
「なんとかここまで来れた。周囲にパンチパーマの影はない?」
「ないです」
「ないネ、大丈夫ヨ」
「ここから電車に乗れば、ターミナルまですぐだ、故郷 に帰れるよ。それにしても、アイツ…本当に帰るなんて…薄情な奴だ」
新八は、不甲斐ない銀時を厳しく叱咤する。
その目の前で、ターミナル行きの電車が停止する。
「気にしないネ、江戸の人、皆そうアル。人に無関心。それ、利口な生き方。お前らのよーなおせっかいの方が馬鹿ネ。でも私、そんな馬鹿の方が好きヨ」
少女は愛らしい笑顔を二人に向けた後、小声で新八だけに毒を吐く。
「お前は嫌いだけどな」
少し片言だった少女の言葉が突然標準語に聞こえ、新八は首を傾げた。
「アレ?今、標準語で辛辣 な言葉が聞こえたよーな」
「しまったァ。今日ジャンプの発売日じゃねーか。今週は土曜日なの忘れてた。引き返すか」
読者層が低年齢寄りの少年漫画雑誌に夢中の銀時。
後ろには、ヘルメットを被る響古と新八が乗っていた。
「もういいでしょ、スキヤキの材料は買ったんだから」
「まァ、これもジャンプ卒業するいい機会かもしれねェ。いい歳こいて、少年ジャンプって、お前…いや、でも男は死ぬまで少年だしな…」
「スンマセン。恥ずかしい葛藤は心の中でしてください」
そこへ、響古が銀時の肩に細い顎をのせて言う。
「銀、迷うんだったら買いな。どーせジャンプを卒業するなんて無理だから」
「断言かよ」
きっぱりと言い切る響古の清々しさ、あるいは毒舌に呆れてしまう。
この時、運転中によそ見をしていたせいで曲がり角に差しかかったところ、チャイナドレスを着た少女が前へ飛び出してきた。
「あぶね!!」
咄嗟にブレーキを踏むが既に遅く、少女をひいてしまった。
銀時と新八は目の前で起こった事故に目を剥き、響古は慌てて原付から降りる。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!ひいちゃったよ、ちょっとォォォ!!どーすんスか、コレ!!アンタ、よそ見してるから…」
「騒ぐんじゃねーよ。とりあえずおちついて、タイムマシンを探せ」
何故か自動販売機の商品取り出し口に頭を突っ込む。
時間を遡る未来道具を本気で探しているようだ。
「アンタがおちつけェェェ!!」
「青色のタヌキみたいな猫ネコ型ロボットォォォ!!」
響古も口許に手を当てて叫ぶ。
不思議な効力を持った数々のアイテムを持つネコ型ロボット。
本来なら机の引き出しから現れるのだが、その代わりに新八のツッコミが飛ぶ。
「確かに、そいつタイムマシンもってますけど!ってか、軽くバカにしてるよね!」
「だ…大丈夫だよ、オメーよォ。お目覚めテレビの占いじゃ、俺の運勢は最高だった。きっと奇跡的に無傷に違いねェ」
自分に自己暗示をして落ち着かせ、少女の肩を揺する。
「なァ、オイ、お嬢…!!」
だが、身体を向けた際に少女の肩から血が流れ、地面に血だまりをつくっていた。
「お目覚めテレビぃぃぃぃぃ!!」
物凄い形相で、テレビの星座占いに苦情を叫びながら原付を走らせる。
「てめっ、もう二度と見ねーからなチクショー!!いや、でもお天気お姉さん、かわいんだよな」
今後も占い番組を見ようか見まいか葛藤する銀時とは対照的に、響古は真剣な表情で訊ねる。
「新八、その
「ピクリともしません」
少女を落とさないよう、小柄な身体を新八の腹と一緒に縄で固定してある。
「早く、医者連れてかなきゃ」
そこに後ろから黒い高級車が近づいてきて、男が拳銃を抜いた。
「ちょ…何ィィィ!?」
新八はいきなり銃口を向けられてパニックに陥る。
零距離で響き渡る銃声。
撃ち抜いた音はしたが、痛覚がないのを不思議に思った新八が閉じていた目を開けると、気絶していたはずの少女が傘を開いて銃弾を防いでいた。
弾頭の潰れた弾がポロポロと落ちる。
次に傘を閉じ、先端を車に向けて撃つ。
フロントガラスに弾痕と亀裂が走って、車は木に激突した。
開いた口が塞がらない新八をよそに、少女は傘の先から出た煙をフッと吹く。
ひとまず謎の男達から逃げ切り、路地裏に避難する。
髪を両側頭でお団子に結い上げたチャイナ服の少女は、原付にはねられたにもかかわず気丈に言い放つ。
「お前ら、馬鹿デスか?私…スクーターはねられた位じゃ死なないヨ。コレ、奴らに撃たれた傷アル。もうふさがったネ」
そう言って、チャイナ服の紐を外して、右肩にあった傷を響古に見せる。
同性の響古が傷を診ている間、銀時はゴミ箱の上に座り、新八は見張りをしていた。
「お前、ご飯にボンドでもかけて食べてんの?」
「でも、よかった。たいしたことなくて」
響古が安堵の溜め息をついて微笑むと、少女の透けるような白い顔が
「お姉さん、とっても綺麗アルな」
「フフ、ありがとう」
「まァ、いいや。大丈夫そうだから、俺ら行くわ。お大事に~」
面倒事に巻き込まれたくないと銀時と新八はヘルメットを被り、原付に乗る。
アクセルを握り、発進しようとするが、
「アレ?新八、お前、急に重くなっ!?」
少女が片手でスクーターを止めていた。
その異常な怪力を
「まさか…」
この小さなつぶやきは、二人の耳に入ってなどいなかった。
「ヤクザに追われる少女、見捨てる大人、見たことないネ」
「ああ、俺、心は少年だからさァ。それに、この国では原チャリ片手で止める奴を少女とは呼ばん。マウンテンゴリラと呼ぶ」
その時、路地裏を歩いていたパンチパーマの髪型をした男達に見つかってしまった。
「おっ、いたぞォォ、こっちだァァ!!」
「わっ、わっ、わっ」
銀時は原付を置いて、四人は一目散に逃げる。
「ちょっ、何なの!?アイツら、ロリコンヤクザ?」
「何?ポリゴン?」
「ロリコンね」
あまり日本語ができていないのか、訂正してやる。
すると、少女は悲しそうに表情を揺らし、静かに話し始めた。
「私…
一番後ろにいる銀時は少しでも男達が近づかないように、道端にあったゴミ箱を蹴り倒す。
「私のウチ、めっさビンボー。三食ふりかけご飯。せめて三食、卵かけご飯食べたいアル」
――父子家庭であった少女の家はとても貧しく、父、兄と共にちゃぶ台を囲い、ご飯の上にふりかけをかけるサラサラという音が虚しく響く。
「いや、あんま変わんないんじゃ」
「そんなとき、奴らに誘われた」
――出稼ぎに来たのはいいものの、見知らぬ土地に一人きり。
――少女が困り果てているところ、パンチパーマの髪型が特徴的な男が声をかけてきた。
「ウチで働いてくれたら三食鮭茶漬け食べれるよ」
――三食同じメニューという微妙な条件つきで雇ってくれた。
「私、それ聞いてとびついたネ」
「なんでだよ。せめて三食バラバラなもの食べようよ」
胡乱な目つきでつっこむ新八に構わず、話を続ける。
「私、地球人に比べてちょっぴ頑丈。奴らの喧嘩、ひきうけた。鮭茶漬け、毎日サラサラ幸せだたヨ」
ゴミ捨て場に隠れる四人の前を、男達は気づくことなく通り過ぎる。
「でも最近、仕事内容エスカレータ」
「いや、エスカレートね」
「人のキンタマまでとってこい言われるようになったアル」
「いや、キンタマじゃなくて
少女の話から察するに、声をかけた男達はまともな連中ではない。
ヤクザの用心棒として働いているらしい。
○○組系暴力団、△△組というような組織を想像して、響古は頷いた。
「私もう嫌だヨ。江戸とても恐い所、
暗い面持ちで、少女は弱音をこぼす。
それまで黙っていた銀時が、口を開くなり少女の言葉を鼻で笑う。
「バカだなオメー。この国じゃよォ、パンチパーマと赤い服着た女の言うことは信じちゃダメよ。まァ、てめーではいりこんだ世界だ。てめーでおとし前つけるこったな。響古、後はヨロシク~」
「オイ、ちょっと」
新八の返答を待たずしてどこかへ行ってしまい、響古は小さな溜め息をついた。
その頃、少女を誘った張本人が団子を食べながら、いつまで経っても捕らえられない男達に怒鳴っていた。
「バカですかァァ、お前ら!!娘っこ一人連れ戻すのに、何、手こずってんの!?それでも極道か、バカヤロォォ!!それでもパンチパーマなのか、コノヤロー!!」
「しかし兄貴ィ。相手はあの夜兎族ですぜ。俺らが束になったって、どーにも…」
一人の部下が自信なさげに言った途端、喝と拳が飛ぶ。
「バカですかァ、お前は!!」
それでも怒りは収まらず、二人に押さえられ、激昂する。
「だからこそだろーが!!あの怪物娘うまいこと使えば、我ら
悄然とうつむく彼らにヤクザの組長は最後の団子を食べると、ピンと串を弾いた。
「こっちの手に戻ってこねーようならよォ、もう構わねェ、
組長の物言いに、部下達も彼が何をしようとしているのか気がついたようだ。
「アレが他の組織に渡りゃ、とんでもねェ脅威になる。利用価値のねェ大きな道具は処分した方がいい」
歌舞伎町の駅に設置されたゴミ箱がガタガタと動き、響古達が顔を出す。
「なんとかここまで来れた。周囲にパンチパーマの影はない?」
「ないです」
「ないネ、大丈夫ヨ」
「ここから電車に乗れば、ターミナルまですぐだ、
新八は、不甲斐ない銀時を厳しく叱咤する。
その目の前で、ターミナル行きの電車が停止する。
「気にしないネ、江戸の人、皆そうアル。人に無関心。それ、利口な生き方。お前らのよーなおせっかいの方が馬鹿ネ。でも私、そんな馬鹿の方が好きヨ」
少女は愛らしい笑顔を二人に向けた後、小声で新八だけに毒を吐く。
「お前は嫌いだけどな」
少し片言だった少女の言葉が突然標準語に聞こえ、新八は首を傾げた。
「アレ?今、標準語で