第五十三訓
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12月31日。
日本国民が揃って年越しという一大イベントを迎える日。
大晦日の夕方から始まった歌合戦には、様々なアーティストの面々が集められて歌やパフォーマンスを披露する。
《オ~レ~、オ~レ~》
テレビから流れる軽快なリズムと歌に合わせ、神楽はノリノリで踊り出した。
テーブルの上に行儀悪く足を乗せ、ポーズを真似る。
「カトケンサッンッバァァァ!!」
携帯コンロに乗せてあった鍋が大きく揺れ、新八は焦った。
「ウフフ、神楽。少しおとなしくしてしなさい」
「アツアツのおでん、顔にあびせられたいの?」
笑顔で脅しをかける響古と妙に神楽は冷や汗を浮かべながら、大人しくコタツへ戻る。
今年もあと数時間で終わり、新年を迎える。
まだ家が直っていないため、志村家でお世話になっていた。
「いや~。やっぱ大晦日はこたつに紅白ですね、姉上」
「そうね~。お父上が健在の頃は、三人、こたつに入ってハジけたものだわ~」
ちなみに、定春もコタツの一方を占領して丸くなっている。
「それにしても遅いな、銀さん。ジャンプ合併号、買いに行ったっきりですよ」
「全く…どこまで行ってんだか」
「また事故って、記憶喪失になってるんじゃないだろうな」
冗談のつもりで言った新八は、まずい、という顔をして視線を移す。
「………」
物凄く思いつめた表情をした響古の様子に慌てて話しかけた。
「冗談ですよ!鵜呑みにしないでください、響古さん!!」
「どこぞの娘と合併でもしてるんでしょ。ほうっておきなさい」
追い討ちをかけるような妙の発言。
「――っ!?」
響古は目を見開き、真っ青になってわなわなと震えた。
「ちょっ、ちょっと姉上!響古さんの傷口に塩を塗り込んでバーナーを炙るような言い方、止めてください!!」
今にも泣きそうな響古を慰め、火に油を注ごうとする妙をたしなめ、その場をどうにか沈静させた。
二人の言いつけでおとなしく紅白を見ていた神楽だったが、
《オ~レ~、オ~レ~》
一番盛り上がるサビ部分にまた暴れ出す。
「カトケンサッンッバァァ!!」
「神楽ちゃん、アツアツのチクワ、鼻につっこまれたいの?」
妙の脅しで神楽が再び大人しくなる。
どうにか記憶喪失のショックから復活した響古が立ち上がる。
「ヤバ、もうこんな時間。あたし、そろそろ行くわね」
すると、テレビに釘付けだった神楽が顔を向け、寂しそうな声をあげた。
「え~、響古。ホントに行っちゃうアルか~」
「せっかく誘われたんだから、断るのも悪いし…」
「あんなクソ野郎のことなんて、いちいち気にしないヨロシ!食べられちゃうヨ」
「そーですよ、響古さん。ゴリラが支配するむさ苦しいチンピラに行ったら、どんな目に遭われるか…」
女の子同士の会話でこんな台詞を連発されると、健全な青少年としては聴覚が意識に働きかける。
もはや男性扱いされていないのか、もはやいることさえ忘れられてるのか――故意に、という可能性もあるが――本来ならば異性の耳をはばかるはずの話だというのに、当たり前のように告げられる。
新八は十八禁とはいかないまでも十五禁には該当するであろう女の子同士の会話で、真選組のフォローに入った。
「二人とも言いすぎですよ。一応あの人達、警察なんですから取って食うようなマネは――」
「何言ってるアルか!!薄汚い性欲を散らす汚職警察どもアルヨ!特に盛りのついたふぁっきん野郎に、響古がいい様にもてあそばれて――」
「神楽ちゃん、ストップ、ストーップ!」
十八禁に突入しそうな発言を抑えるべく、新八は顔を真っ赤にして止める。
このチャイナ少女は、たまに予想しえない発言を放つ。
「フフ。ちょっと甘い声を出したら、すぐ急所が無防備。その後、どうなるかも知らずに」
響古が目を細めて言い放つ。
新八でなくても男性なら肝を冷やしたことだろう。
「初詣は一緒に行きましょう」
「……はい、気をつけてくださいね」
「何かあったら、私と響古の愛のテレパシーを使うアル!すぐ駆けつけるネ!」
「響古さんにナニをしようとした人は、私が血祭りにしときますから」
「ワン!」
一部恐ろしい発言が出たが、響古は気にせず手を振って居間を出た。
玄関でブーツを履いたその時、後ろから歩いてくる足音に気づいた。
「どーしたの、神楽?」
言う間に、気がついた。
なんだか今の神楽は、明るくて可愛らしい少女、という常の感じではない。
その硬い表情の中、重たげに唇が開く。
「響古…ホントに大丈夫アルか」
口の中だけで、もごもごと声を転がすように言った。
いよいよもって、らしくない。
響古は、そんな少女の様子を不審に思い、同じ目線になるようにしゃがむ(例え急いでる時であっても、困っている者を邪険に扱わないのが彼女の美点である)。
「あたしに言いたい事でもあるの?」
「うん……」
促されても、神楽はなかなか言葉を濁して答えない。
が、やがて躊躇いがちに本題を口にした。
「真選組はマヨがいるアル」
「えっ」
響古は、思わず素っ頓狂な声をあげていた。
一旦口にして楽になったのか、次の言葉は早く、単刀直入に来る。
「だって、あの時の二人はいい雰囲気だったネ。銀ちゃんもうろたえてたヨ」
今度は、響古が返答に困って立ち尽くした。
「き、響古!?やっぱり行かない方が…」
「へ…平気、大丈夫…」
幸い、二人のいる場所は玄関。
姉弟には聞こえてはいない、と安堵しつつ頬を掻いてから苦笑いする。
確かに、前はあれほどスムーズに対話していなかった。
彼はもっと遠慮がちだったはずだ。
それが解消されている。
「でも、あたしに何かあった時は、神楽が助けてくれるんでしょ?」
言われた神楽が、パッと顔を綻ばせる。
可愛らしい少女の笑顔に見送られ、響古は志村家を出た。
真っ白な雪道をスクーターで走るのは、ヘルメットにゴーグル、マフラーに手袋と防寒具を装備した響古。
ふと近くのコンビニに視線を向けると、ジャンプを買いに行ったきり戻ってこない銀時が、前髪で目を覆い隠した男とジャンプの取り合いをしていた。
「………………心配して損した」
響古のこぼしたつぶやきは、吐く息と共に消えていった。
沖田に誘われ、まっすぐ真選組の屯所を目指す。
年越しを迎えるというメモリアルな記念日に銀時はコンビニにいた。
一冊しかない少年雑誌を買うべく、二つの手が伸びた。
「「ん」」
銀時と男は顔を見合わせ、お互い確認を取る。
「え?何?ジャンプ合併号?」
「ジャンプ合併号?え?ジャンプ合併号?」
「ジャンプ合併号」
「まいったな、一冊しかねェ」
「どうしましょ」
ここは絶対に譲るわけにはいかない。
銀時はコホンと咳払いして、冷静に話し出した。
「俺…かれこれコンビニ二七、八軒まわったかな。やっぱ、正月暇だから、みんな買ってるみたいっスわ」
勿論、男も揺るぎない自負を込めて応える。
「いや、俺も十軒ぐらいまわったかな、ウン」
「あ。アレ入れたら俺、十五軒はいってるわ」
「いや、まいったな~。いやさ~、ヒロシの奴がね、ジャンプ欲しがっててェ。あ…俺の息子だけどォ、今年で5歳」
「俺はお袋がさァ、読みたいって。ちょっと病気でさァ、アレ年越せるかなァ。無理だろうな~アレ」
病人というフレーズを持ち出して一気にジャンプ購入へと近づく銀時。
それを受けて、男も口を挟んでくる。
「あ、実はヒロシも死ぬんだよ」
「ヒロシ死ぬの!?」
子供騙しのいいところの、男の思いつき発言。
いきなりの展開に銀時は狼狽した。
「まァ、そーゆうことだから、スイマセン」
ジャンプ購入の権利を獲得し、颯爽とレジへ持っていく。
「待て待て待て。え?ヒロシほんと、ジャンプ欲しがってた?ジャンプ最近落ちめだよ、こっちの方がいいって」
「…いや、ヒロシ5歳だから」
言いながら銀時が本棚から手に取ったのは、十八歳未満は思い切り購入禁止な雑誌。
「いや…でもコレ、ヒロシ読むかもしれないなコレ…買ってこうかな。いや、俺が読むんじゃなくて、ヒロシがさ…」
明らかに、息子よりお前の方が読む気満々だろ、みたいに躊躇なくページをめくる。
その隙に、銀時はジャンプをレジに持っていく。
「いらっしゃいませ~」
間延びした店員の声が聞こえたと同時に、男はハッとして銀時に詰め寄る。
「いや、ちょっと、それないんじゃないの!!」
「いやいや。ヒロシにはジャンプは早いって、そっちの方がいいって」
「こっちの方が早いわァァ!!」
まあ、妥当なツッコミだろう。
すると、男は会話に出てきた息子など存在しないと暴露する。
「っていうかな、ヒロシなんて、いないんだよ!この世に存在しないんだよ!バカめェェェ!!」
「バカはテメーだ。俺だって、死にかけた母ちゃんなんていないもんね、バーカ、バーカ」
ついでに銀時も母親など存在していないと暴露する。
「ハイ、金!!」
ここまでくると譲らない……意地を張り合う二人はレジの前で怒鳴り合い、同時に小銭を出す。
「いやいや、俺が買うから」
「てめェェェェ、いい加減にしろよォ!!いい年こいてジャンプなんて読んで恥ずかしくねーのかァ!?ピーターパン症候群かァ!?」
銀時の物言いは、妙に攻撃的だった。
日本国民が揃って年越しという一大イベントを迎える日。
大晦日の夕方から始まった歌合戦には、様々なアーティストの面々が集められて歌やパフォーマンスを披露する。
《オ~レ~、オ~レ~》
テレビから流れる軽快なリズムと歌に合わせ、神楽はノリノリで踊り出した。
テーブルの上に行儀悪く足を乗せ、ポーズを真似る。
「カトケンサッンッバァァァ!!」
携帯コンロに乗せてあった鍋が大きく揺れ、新八は焦った。
「ウフフ、神楽。少しおとなしくしてしなさい」
「アツアツのおでん、顔にあびせられたいの?」
笑顔で脅しをかける響古と妙に神楽は冷や汗を浮かべながら、大人しくコタツへ戻る。
今年もあと数時間で終わり、新年を迎える。
まだ家が直っていないため、志村家でお世話になっていた。
「いや~。やっぱ大晦日はこたつに紅白ですね、姉上」
「そうね~。お父上が健在の頃は、三人、こたつに入ってハジけたものだわ~」
ちなみに、定春もコタツの一方を占領して丸くなっている。
「それにしても遅いな、銀さん。ジャンプ合併号、買いに行ったっきりですよ」
「全く…どこまで行ってんだか」
「また事故って、記憶喪失になってるんじゃないだろうな」
冗談のつもりで言った新八は、まずい、という顔をして視線を移す。
「………」
物凄く思いつめた表情をした響古の様子に慌てて話しかけた。
「冗談ですよ!鵜呑みにしないでください、響古さん!!」
「どこぞの娘と合併でもしてるんでしょ。ほうっておきなさい」
追い討ちをかけるような妙の発言。
「――っ!?」
響古は目を見開き、真っ青になってわなわなと震えた。
「ちょっ、ちょっと姉上!響古さんの傷口に塩を塗り込んでバーナーを炙るような言い方、止めてください!!」
今にも泣きそうな響古を慰め、火に油を注ごうとする妙をたしなめ、その場をどうにか沈静させた。
二人の言いつけでおとなしく紅白を見ていた神楽だったが、
《オ~レ~、オ~レ~》
一番盛り上がるサビ部分にまた暴れ出す。
「カトケンサッンッバァァ!!」
「神楽ちゃん、アツアツのチクワ、鼻につっこまれたいの?」
妙の脅しで神楽が再び大人しくなる。
どうにか記憶喪失のショックから復活した響古が立ち上がる。
「ヤバ、もうこんな時間。あたし、そろそろ行くわね」
すると、テレビに釘付けだった神楽が顔を向け、寂しそうな声をあげた。
「え~、響古。ホントに行っちゃうアルか~」
「せっかく誘われたんだから、断るのも悪いし…」
「あんなクソ野郎のことなんて、いちいち気にしないヨロシ!食べられちゃうヨ」
「そーですよ、響古さん。ゴリラが支配するむさ苦しいチンピラに行ったら、どんな目に遭われるか…」
女の子同士の会話でこんな台詞を連発されると、健全な青少年としては聴覚が意識に働きかける。
もはや男性扱いされていないのか、もはやいることさえ忘れられてるのか――故意に、という可能性もあるが――本来ならば異性の耳をはばかるはずの話だというのに、当たり前のように告げられる。
新八は十八禁とはいかないまでも十五禁には該当するであろう女の子同士の会話で、真選組のフォローに入った。
「二人とも言いすぎですよ。一応あの人達、警察なんですから取って食うようなマネは――」
「何言ってるアルか!!薄汚い性欲を散らす汚職警察どもアルヨ!特に盛りのついたふぁっきん野郎に、響古がいい様にもてあそばれて――」
「神楽ちゃん、ストップ、ストーップ!」
十八禁に突入しそうな発言を抑えるべく、新八は顔を真っ赤にして止める。
このチャイナ少女は、たまに予想しえない発言を放つ。
「フフ。ちょっと甘い声を出したら、すぐ急所が無防備。その後、どうなるかも知らずに」
響古が目を細めて言い放つ。
新八でなくても男性なら肝を冷やしたことだろう。
「初詣は一緒に行きましょう」
「……はい、気をつけてくださいね」
「何かあったら、私と響古の愛のテレパシーを使うアル!すぐ駆けつけるネ!」
「響古さんにナニをしようとした人は、私が血祭りにしときますから」
「ワン!」
一部恐ろしい発言が出たが、響古は気にせず手を振って居間を出た。
玄関でブーツを履いたその時、後ろから歩いてくる足音に気づいた。
「どーしたの、神楽?」
言う間に、気がついた。
なんだか今の神楽は、明るくて可愛らしい少女、という常の感じではない。
その硬い表情の中、重たげに唇が開く。
「響古…ホントに大丈夫アルか」
口の中だけで、もごもごと声を転がすように言った。
いよいよもって、らしくない。
響古は、そんな少女の様子を不審に思い、同じ目線になるようにしゃがむ(例え急いでる時であっても、困っている者を邪険に扱わないのが彼女の美点である)。
「あたしに言いたい事でもあるの?」
「うん……」
促されても、神楽はなかなか言葉を濁して答えない。
が、やがて躊躇いがちに本題を口にした。
「真選組はマヨがいるアル」
「えっ」
響古は、思わず素っ頓狂な声をあげていた。
一旦口にして楽になったのか、次の言葉は早く、単刀直入に来る。
「だって、あの時の二人はいい雰囲気だったネ。銀ちゃんもうろたえてたヨ」
今度は、響古が返答に困って立ち尽くした。
「き、響古!?やっぱり行かない方が…」
「へ…平気、大丈夫…」
幸い、二人のいる場所は玄関。
姉弟には聞こえてはいない、と安堵しつつ頬を掻いてから苦笑いする。
確かに、前はあれほどスムーズに対話していなかった。
彼はもっと遠慮がちだったはずだ。
それが解消されている。
「でも、あたしに何かあった時は、神楽が助けてくれるんでしょ?」
言われた神楽が、パッと顔を綻ばせる。
可愛らしい少女の笑顔に見送られ、響古は志村家を出た。
真っ白な雪道をスクーターで走るのは、ヘルメットにゴーグル、マフラーに手袋と防寒具を装備した響古。
ふと近くのコンビニに視線を向けると、ジャンプを買いに行ったきり戻ってこない銀時が、前髪で目を覆い隠した男とジャンプの取り合いをしていた。
「………………心配して損した」
響古のこぼしたつぶやきは、吐く息と共に消えていった。
沖田に誘われ、まっすぐ真選組の屯所を目指す。
年越しを迎えるというメモリアルな記念日に銀時はコンビニにいた。
一冊しかない少年雑誌を買うべく、二つの手が伸びた。
「「ん」」
銀時と男は顔を見合わせ、お互い確認を取る。
「え?何?ジャンプ合併号?」
「ジャンプ合併号?え?ジャンプ合併号?」
「ジャンプ合併号」
「まいったな、一冊しかねェ」
「どうしましょ」
ここは絶対に譲るわけにはいかない。
銀時はコホンと咳払いして、冷静に話し出した。
「俺…かれこれコンビニ二七、八軒まわったかな。やっぱ、正月暇だから、みんな買ってるみたいっスわ」
勿論、男も揺るぎない自負を込めて応える。
「いや、俺も十軒ぐらいまわったかな、ウン」
「あ。アレ入れたら俺、十五軒はいってるわ」
「いや、まいったな~。いやさ~、ヒロシの奴がね、ジャンプ欲しがっててェ。あ…俺の息子だけどォ、今年で5歳」
「俺はお袋がさァ、読みたいって。ちょっと病気でさァ、アレ年越せるかなァ。無理だろうな~アレ」
病人というフレーズを持ち出して一気にジャンプ購入へと近づく銀時。
それを受けて、男も口を挟んでくる。
「あ、実はヒロシも死ぬんだよ」
「ヒロシ死ぬの!?」
子供騙しのいいところの、男の思いつき発言。
いきなりの展開に銀時は狼狽した。
「まァ、そーゆうことだから、スイマセン」
ジャンプ購入の権利を獲得し、颯爽とレジへ持っていく。
「待て待て待て。え?ヒロシほんと、ジャンプ欲しがってた?ジャンプ最近落ちめだよ、こっちの方がいいって」
「…いや、ヒロシ5歳だから」
言いながら銀時が本棚から手に取ったのは、十八歳未満は思い切り購入禁止な雑誌。
「いや…でもコレ、ヒロシ読むかもしれないなコレ…買ってこうかな。いや、俺が読むんじゃなくて、ヒロシがさ…」
明らかに、息子よりお前の方が読む気満々だろ、みたいに躊躇なくページをめくる。
その隙に、銀時はジャンプをレジに持っていく。
「いらっしゃいませ~」
間延びした店員の声が聞こえたと同時に、男はハッとして銀時に詰め寄る。
「いや、ちょっと、それないんじゃないの!!」
「いやいや。ヒロシにはジャンプは早いって、そっちの方がいいって」
「こっちの方が早いわァァ!!」
まあ、妥当なツッコミだろう。
すると、男は会話に出てきた息子など存在しないと暴露する。
「っていうかな、ヒロシなんて、いないんだよ!この世に存在しないんだよ!バカめェェェ!!」
「バカはテメーだ。俺だって、死にかけた母ちゃんなんていないもんね、バーカ、バーカ」
ついでに銀時も母親など存在していないと暴露する。
「ハイ、金!!」
ここまでくると譲らない……意地を張り合う二人はレジの前で怒鳴り合い、同時に小銭を出す。
「いやいや、俺が買うから」
「てめェェェェ、いい加減にしろよォ!!いい年こいてジャンプなんて読んで恥ずかしくねーのかァ!?ピーターパン症候群かァ!?」
銀時の物言いは、妙に攻撃的だった。